東京都中野区から新潟県新潟市に移住して二度目の夏。
新潟での春夏秋冬を一巡して、いろいろ分かってきたことがあるため、今後少しづつ共有していきたいと思います。
今回は「東京と比較したときの、新潟のイメージと実際」について記述していきます。
大前提として、新潟県は広い。
まずベースとして知っておいてもらいたい事実として、新潟県の面積は 12,580 km² あります。全国で5位の大きさです。これは「東京都」と「神奈川県」と「千葉県」と「埼玉県」の合計値に匹敵する大きさです。
つい先日、新潟を震源とする最大震度6強の地震がありましたが、都心部と山岳部では全く被害の状況が異なりました。その理由には地盤の違いなどもあるとは思いますが、やはり新潟県がそもそも広いことによって、地区ごとの差が浮き彫りになりやすかったといえると思います。
これまで僕は、ざっくばらんに「東京と新潟」を比較してきましたが、一年経った現在、これはフェアではないと感じています。面積ベースで比較する場合、「東京23区(619km²)と新潟市(726km²)」または「首都圏1都3県(13,560km²)と新潟県(12,580km²)」の比較の方がよりフェアです。
後述する文章は、基本的に新潟県のうち「新潟市」を前提として書いていきます。そのため、東京と比較する場合も基本的には「東京23区内」を前提としていきます。
「新潟の冬はすごい雪が降り積もる。電車もバスも止まり、まともに移動・外出できない」
新潟と言えば、というくらい良く言われる話だと思います。実際に、2018年の冬も新潟では何度か降雪がありました。降雪量は東京よりも新潟市の方が多いでしょう。しかし結論から言えば、積雪時およびその後の道路状況は東京23区よりも新潟市のほうがマシでした。
考えてみれば当然なのですが、そもそも新潟市の交通インフラは、雪が降り積もることを前提として設計されています。道路上には消雪パイプなど、雪を自動的に溶かすような設備がありますし、主要な道路には除雪車が通ります。バス停など公共施設には、待合中の暇つぶし用というノリで、ところどころに雪かきスコップが置いてあります。結果として、東京23区のように、誰もメンテしていないが故に、溶けては凍りを繰り返し、滑りやすくなったりビチョビチョになったりしている道はあまり見受けられませんでした。Amazonお急ぎ便も翌日に来ます。
フルリモートという僕自身のライフスタイルも加わると、降雪日に無理に外出する必要もないので、積雪が原因で生活が不便になるという体験はしませんでした。
「東京都と違って電車もバスも本数が少ないので、車がないとまともに生活できない」
結論から言うと、新潟では車のコスパが東京よりも圧倒的に良くなるため、相対的に新潟市民はバスや電車を不便だと印象づけているフシがあります。象徴的なエピソードとして、引っ越す際に不動産屋さんにいろいろヒアリングした際、「新潟市民は、徒歩3分の距離にあるコンビニに行く時にすら車に乗る」と言っていました。
東京だと、住宅地のコンビニには駐車場が無いことも多いですが、新潟市では大半の建造物に駐車場が隣接しています。僕のマンションにも、車が15台くらいは止められそうな専有スペースがありますが、半分近く空いています。自転車のメンテナンスをするのにちょうどいいとか、そういうちょっとしたスペースが街中いたるところにあるというのは意外と便利です。また、全体的に、新潟市の住宅地の道路は東京と比べて幅が広いです。僕は中野に住んでいた頃は、マンションから出てすぐに道路だったので毎日車を警戒していましたが、そういう面でも安全です。余談ですが、新潟のドライバーは歩行者第一の精神が根付いている紳士が多いです。たまに渋谷に戻ったときに容赦なさすぎて何度も弾き殺されるかと思いました。
電車やバスの単位時間あたりの本数については、事実として東京の方が多いです。利用する路線や時間帯によって異なりますが、東京都心部の地下鉄が6分に1本来るとしたら、感覚的には新潟市の電車は15分に1本くらいです。バスについては、都心部から離れて完全な住宅街となってくると、時間帯や曜日によっては20分に1本とか、45分に1本とかってこともあります。そのためバスを主力の移動方法にする場合は、新潟市内の移動と言えど、ところどころで地方っぽさを味わうかもしれません。
電車にしろバスにしろ、東京ほどは混みません。新潟駅の通勤ラッシュど真ん中の電車の車両ですら、NAVITIMEでいうところの混雑率120%くらいでしょうか。隣の人と肩が接触せずにつり革が握れる程度って感じです。
僕が最も利用する移動手段は自転車です。自転車においても先述の車同様、たいていどこに行っても無料で止められる駐輪場があります。いずれどこかのタイミングで詳細を書きたいと思いますが、このように、「スペース」に対する価値観が、東京と新潟(というよりも地方全般?)では大幅に異なります。
「新潟(というか地方)には高齢者しかいない。若者が楽しめる場所はない。」
統計データを見ると、マクロ的には、新潟は年々若者が流出しており、高齢者が多いのは事実のようです。世代別人口で言えば東京を含めてどこも似たり寄ったりの状況です。しかしなぜか、新潟駅周辺を四六時中散策していると、異様に若者の比率が多いと感じます。とくに、駅に隣接する商業地区「万代シテイ」に至っては、制服や部活のウェアを着た男女がマジョリティです。
新潟市内はどこにいってもタダで座れる場所がたくさんあるので、タピオカを飲みながらそういうスペースでくっちゃべっている若者を良くみかけます。ショッピング以外で彼らはどこでどうやって遊んでいるのか、僕には全くわかりません。リアル脱出ゲームみたいな、若者向けのアミューズメント施設みたいのは地方には少ないのかもしれませんが、僕自身そういうところには都内に住んでた頃から行かなかったので、具体的なことはよくわかりません。
中高生の客層を、高校生が接客していて、学生で経済がまわっているので、20代の働き盛りになってくると、ちょうどいいバイト先がない、結果としてバイトからの正社員化で新潟在留ルートではなく、東京での就活面接というルートに走る。新潟の大学が各所に分散してしまっているため、大学生をメインターゲットとした商業施設がなかなか生まれず、結果として東京の大学が魅力的に思えて上京してしまう。なんかそんなような気がしています。それくらい、新潟駅や万代シテイは中高生の多さの反面、大学生とか新卒社会人のような「学生じゃないけど、ファミリー層とかおじさんとまでは行かないレイヤー」は一体どこにいるんだろうって感じてしまいます。つまり僕と同世代らしき人間をちらほらとしか見かけません。古町とか沼垂にいそうな気がするので今度散策してみます。
代わりといってはなんですが、万代などの商業スポットを中心に、しょっちゅうちょっとした規模のイベントがあります。学生がこの手のイベントにどれだけ前のめりなのか良くわかりませんが、僕は小規模のイベントが継続的に行われている方が好きなので良くチラ見しにいきます。
電源カフェやコワーキングスペース的なところはずいぶん多いです。これは嬉しい誤算でした。またこの一年で新設された(る)話を何件か耳にしているので、増加傾向にあるようです。新潟はワーケーションやリモートワークしやすい土壌があるのは間違いないので、この潮流には賛成です。
六本木や渋谷のようなインキュベーションファンドやベンチャーエコシステムとパッケージになった施設は見たことがないので、スタートアップ起業家が集まりやすい感じは今のところしていません。文化的にも政治的にも、超良い意味で伝統と保守の地なので、リベラルさやグローバルさがどの程度受け入れられるのかは事前に検証しといた方がよいと思います。どちらにせよ、外資の息がかかった会員制の有料コワーキングなんて、他にいくらでもゆっくり座って作業できるところがある新潟市では受け入れられない気はします。万代シテイで高校生向け進路相談コミュニティスポットを作るとかの方がまだイメージが湧きます。
関連する話題として、首都圏と比べて、コンビニや飲食店などで働く外国人労働者が新潟ではかなり少なく、ほとんどが日本人です。店員の接客は都内のものと比べて全体的に落ち着いています。カフェなどではMacBookで作業している僕よりも滞在時間の長いお客さんがかなり多いです。これらは、全体的に混雑率が低く、店舗の賃料も低いため、客回転率を上げたり、儲からない時間帯に人件費を節約したりといった施策を無理に打つ必要が薄いことに総じて起因していると思われます。物価やアルバイトの時給なども軽くチェックしましたが、都内と比べて特筆すべき差はありませんでした。
まとめ
総括して言いたいこととしては、新潟市は、都内の利便性と地方の良さを併せ持っている場所だと思います。仕事の問題を既に解決していて、住む場所や働く場所を問われないリモートワーカーには、今後もどんどん新潟への移住の検討をおすすめしていきたいです。
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