映画「ルックバック」を観てきた③
「あの映画の面白さの本質は
京本が天才だったわけではなく
天才は藤野だったってところなんですよ」
話題になっていた「ルックバック」を見てきた。
と言ったけど、
どこで僕が「話題」と知ったかってのは
岡田斗司夫さんのyoutubeを見て「話題」
としたんだと記憶している。
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ネタバレは無く、
あらすじ内で収まる、引っかかっていることを
岡田斗司夫さんの考察から考察しています。
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確かに、
岡田斗司夫さんが言うまでもなく、
(うまく言語化してくれたとは思いますが)
物語の表面上は
クラスで「漫画が上手い」と認知されている
天才漫画家の藤野の前に、
それを超える天才画家の京本現る。
という、
あらすじが、映画を見る前から
パンフレットに書いてありましたが、
実際映画を観てみると、
そんなわかりきった物語より、
深い考察を感じる、多様な「想い」を
感じました。
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そこで、岡田斗司夫さんの言う
「天才は京本ではなく藤野」という解釈が、
的を得るのだけど、さらに
岡田さんが藤野を「天才」と呼ぶ、
岡田さんの人柄を汲むと、
僕個人としては
何とも言えない気持ちになてしまう。
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岡田斗司夫さんは、
もう「有名人」と言っていいですよね?
昔から「有名人」で
色々多彩に活躍されているようだけど、
ご本人は自分を
「オタク」で「サイコパス」と
キャラ付けしている。
自分の考えや論、発言が
いつか世の中の出所不明で構わないから
文化のネジの一役を担えることを
望んでおられる。
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そんな彼が、
藤野を「天才」と呼んだ。
本当に、
彼女、藤野は「天才」なんだと思う。
ただ、まだまだ天才でない部分は
影で「努力」をしてしまっているところ。
そして、
この「努力の虚しさ」が
全編にわたって漂っている。
と僕は感じた。
多分、僕が世界を
そう感じているんだ。
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そして、
藤野がもっと(いわゆる)「天才」だったら、
絵の上手い京本と出会った瞬間、
変なプライドで挫折なんかしてないで、
とっととこいつと組めばいいじゃん。
と、あらためて思った。
わざわざ自分で苦手な
「絵を描く才能」を克服しなくても、
ここに絵を描くことだけは上手な
京本さんという存在と出逢ったのだから、
お互いに得意なところを利用すれば
winwinでしょ?
と。
結果として、
物語はそっちの方へ進んでいく。
だから、
藤野の多少の挫折も、努力も
人生経験を積む上では
必要悪で、結果、ベストな人生サイクルに思える。
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サイコパス=天才という認識が
世の中には暗にあると思われる。
賢い選択は「情」から離れてこそ出来る。
その賢い選択ってなんだ?
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「面白いアイデアが浮かぶけど
絵が苦手なんだったら
得意な人に描いて貰えばいいじゃん。
ココナラとかで探せば、
絵が上手い人なんてたくさんいるし、
得意な人に仕事も回せるから
winwinでしょ?」
どこかのホリエモンのような人の声が
僕の頭の中から聞こえてくる。
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誰が「天才」だ?
「天才」って誰だ?
何が「天才」だ?
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絵が上手いだけで、
その絵をどんなふうに
世の中に役立てることが出来る?
それを考えられなければ、
ただの「絵が上手い人」
で終わってしまう。
その「絵」を
上手に利用できる「人」がいないと。
何かの役に立たないと。
感動の物語でもひとつくらい提供出来ないと!
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そして、現代、
確実に
京本みたいな才能は
要らなくなってきている。
「写真」が普及して、
写実的に上手な似顔絵画家は要らなくなり、
最近は生成AIの普及に伴い、
上手な絵はChatGPTで補えるようになった。
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ココナラや、外部に仕事を頼んでいた
ホリエモンや大人になった藤野、
僕らは、
無料か、月額で有料の
そのAIサービスでかまわなくなる。
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コストを安く抑え、
価格を安くして、販売し、
それでも東京で暮らせるくらいの
利益を出せる、
大きなマーケットを獲得する。
成功の人生・・・。
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成功の人生って何?
そこまで考えさせられる映画だった。
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何をすれば、人は面白がるのか。
人々は、何を望んでいるのか?
そこを察知して、時代のニーズを狙って
事業、表現、アウトプットを仕掛ける。
それを見事に、
時代を釣り上げることが出来た人を
「成功者」と呼ぶのか?
天から才を受けて、
誰もがここで生きている。
それぞれの天才で生きて、
出逢い、響き合い、綾なして、
時代は巡ってゆく。