わたしの読書歴
「読書が趣味です。」
今は自信を持ってそう言える。
しかし活字中毒というほどではなく、人生ずっと読書人間だったわけではない。
全く読まなかった時期もある。
子供の頃の読書~たぶん本好きな子の王道
幼少期。
母が言うには「読み聞かせしなくても勝手に本を開いて静かに読んでる子だった」らしい。
まるで記憶にないが自分の性格ならそうかもね、と納得する。
我が家にあったのは外国の絵本で、英語版と日本語訳版がセットになった美麗なイラストの本。
そのイラストに惹かれ、「日本語訳版のほう」を熱心に読んでいた。
美女と野獣もラプンツェルもリトル・スチュワートも出会いは映画ではなく絵本だった。
それにしてもあの時「英語版」のほうに興味を持っていれば、その後の人生が変わったかもしれないのに…と、英語苦手意識のある私は半ば本気で悔やんでいる。
小学生になり、初めて文庫本を自分の意思で欲しいと言って買ってもらったのは「鏡の国のアリス」。
何故か「不思議の国」ではなく「鏡の国」から入った。
幼いなりに「人と同じのはイヤ」と思ったのかもしれない。
その後気づくと英国児童文学ばかり読んでいた。
別に狙ったわけではなく、好きだった本の作家がたまたまイギリス人だっただけだ。
アリスの他にも、
「ナルニア国物語シリーズ」
「メリー・ポピンズシリーズ」
「クマのプーさんシリーズ」
「ピーターパン」
「シャーロック・ホームズ」
「ミス・ビアンカシリーズ」
など。
よくイギリスは食べ物が…などと言われるが、本を読む限り美味しそうな料理がたくさん出てくる。
プディング、ターキー、ジンジャーブレッド、ターキッシュデライト…
なんだかよく分からないけどきっと美味しいに違いない…と、挿絵や本文の描写でほわほわと想像する。
漫画は「日本の歴史」と「世界の歴史」。
最初に歴史の知識を得るなら鉄板だろう。
のちに親戚に譲り渡されたが、今になってもう一度全巻セットを購入しなおしたいくらいだ。
最近の歴史マンガはキラキラした今時の絵柄になっているらしいと聞き、書店で確認してみた。
確かに可愛いイラストのもあるが「小学館学習まんが」シリーズは昔と同じ画風のようで、ちょっと安心。
小学5,6年生くらいになると、少しマセたクラスの女子が「コバルト文庫」や「X文庫」を読み始める。
私はおませさんとは程遠いタイプだったけど、ピンクの背表紙と可愛いイラストに惹かれて何冊か買ったことがある。
確かアリスを追いかけて少年少女が異世界に冒険に行く話だったような…と検索してみたら、すごいプレミア価格がついてるのが出てきた。心にしまっておこう。
中高生の頃の読書~オタク、方向性が逸れる
中高生になると「ザ・オタク真っ盛り!」な時代を過ごす。
X文庫からの流れで、角川スニーカー文庫やら富士見ファンタジア文庫を読み始めた。
いわゆるラノベ(当時そう呼ばれていたかは分からない)だ。
当時は冊数もそんなに無く、今のようなやたらタイトルの長いラブコメ系は少なかった気がする。
ラブコメが私の視界に入ってなかっただけかもしれない。
壮大な戦記ものとか、ライトな宇宙ものとかを読んでいた。
その後本格的なアニオタに成長し、読書から離れる・・かと思いきや、
「読書家の声優さんの愛読書と同じ本を読んでみる」という規格外なオタクムーブをかまし始めた。
こういう「ちょっとズレた影響の受け方をする」みたいなのが、人生に度々ある。
思春期辺りから、自分は凝り性な割に詰めが甘いのではないか?という自覚があった。
だから同じように凝り性で、尚且つとことん突き詰める学者肌の大人の人に憧れたのだろう。
佐々木望さんの影響で読んだバルガス・リョサやガルシア・マルケス。
ラテンアメリカ文学という言葉を初めて知った。
中高生の私に南米はなじみが薄いこともあり、少し難しくて背伸びした感があった。
正直内容も覚えてないので、その内もう一度読み直してみたいと思っている。
佐々木さんはその後40代の時に一般入試で東大法学部に入学、お仕事と二足のわらじで卒業されている。並大抵で出来ることではない。
何歳になっても学びに取り組む姿勢、見習いたい。
池澤春菜さんの影響でハヤカワ文庫のSFに手を出してみた。
「SFは映画やアニメの世界」だと思っていた私にとって、本格SF小説は新たな扉だった。
近年文筆家としてもご活躍の池澤さんは、たまに新聞に書評が載っているのをお見かけする。
大人になった今でも参考にさせて頂いてます。
ところで近頃は文豪を題材にしたゲームやらアニメやらが展開されている。
私が中高生の頃にあれば良かったのに…!と悔しく思ってしまう。きっと国語の勉強が楽しくなったことだろう。
今どきの中高生は文アルや文ストの影響で教科書の山月記にテンション上げたり、太宰治とか澁澤龍彦とか買うのだろうか。
私だったら絶対買ってた。絶対国木田独歩全集買ってた!
青春時代に純文学をあまり読まなかったことは少々コンプレックスである。
でもその時は興味が無かったのだから仕方ない。
大学生の頃の読書~大二病的なイキリ
大学生になると割とありがちな「大二病」が始まる。
大二病にも色々種類があるが、私の場合は「サブカル寄りイキリ」だった。
ちょっと難解なもの・小難しいものを求めて、
ダンテの「神曲」とかジョンミルトンの「失楽園」とか読み始めちゃう。
中高がカトリックだったので一応聖書の下地はあったが、理解出来てたかどうかは忘却の彼方だ。
大学の図書館では哲学書や表紙にやたら文字が羅列してある分厚い本(なんのジャンルだったかも思い出せない)にとりあえず手を出してみる。
映画もジム・ジャームッシュ監督作品とか急に見始めたり、「セブン」を観て「なんかラストそんな驚くほどでもなくない?」とか言ってた。
ふるーいモノクロ映画をレンタルで沢山借りてきて、よくわかってないのにわかったふりしたり。
映画は名作でも私の言動はちょっぴり黒歴史である。
でもこの頃に購入した岩波文庫は全て所有しているし、古い映画をたくさん観たこともたぶん現在の血肉になっているのでまあ良いです。
今触れたら違った感情が出るかもしれない。久々に読み直してみようかな。
黒歴史はともかく、物事にハマるきっかけは「イキリ」でも良いと思っています。
大人になってからの読書~途切れたと思ったら元に戻る
大学の反動なのか社会人になって数年、あまり文化的なものに触れていないダメ人間な時期があった。
一番吸収力があるはずの年齢だったのに。
今思えば勿体ないけど、きっと自分なりに忙しかったのだ。
もちろん読書の習慣も無くなっていた。
会社の同僚たちが昼休みに宮部みゆきや村上春樹の新作の話をしているのを聞いても、相槌すら打てない。
きっと「コイツ本読まないんだな」と思われてたと思う。
あの時期は一体なんだったんだろう。
「あれは何だったのか」という無為な数年を経て、ある時からまた読書を再開しはじめた。
ネットの情報量があまりに増え、玉石混交過ぎることに嫌気がさしてきたのかもしれない。
(まあ本にもピンキリあるがネットよりは選別しやすい)
原点回帰かも。
なんだかんだ活字は落ち着く。
もともと読書好きの過去があったおかげで、ブランクを経てもすんなり入っていける。
最近特に書店をウロウロすること自体が趣味になり、昔は全く見向きもしなかったジャンルも読むようになった。
苦手な理数系の本とか。
苦手な分野だと「理解をしよう」という意識がハナから無い分、気楽に手に取れる。
知らない世界をちょっと覗いてみる感覚だ。
最近は難解な本を優しく読みといたり、専門的な話を可愛いキャラクターが楽しく解説してくれる書物が多くて羨ましい。
それこそ「文系人間でもわかりやすい理数系の話」みたいな本もたくさんあって、ありがたい限り。
参考書もしかり。
もっと前から元素記号を擬人化してくれてたら、高校生の私は理科が好きになってたかもしれないのに!
そういう口惜しさを今まとめて取り戻している。
読書の量はきっとこの先年齢を重ねるとともに比例していくだろう。
知識が増えていくのがひたすら楽しい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
英李(hirari)