20241106 あたたかな口実
Instagramで”Vote blue”というストーリーをいくつか見かけてすこし前向きな気持ちになってみたあとで、どうやらトランプ氏が勝ったらしい、というのを(イーロン・マスクの!)Xで見つけてしょんぼりするというのも馬鹿馬鹿しいというか何というか、やるせない気持ちになるのだった。
▼自分が生まれる時代は選べないし、世界がどうであれ、そこに分断があるのだとしてもどうにかもうちょっとマシな現実を思い描きながら与えられた場所で頑張っていくよりほかない。気が遠くなるような話だけれど私にとってそれは戸山公園でやる野外劇である。東京都の新宿区であってもコツコツと、具体的にこの場所でやるべきことを積み重ねていかないことには自分の人生が現実と交わることだってきっとない。
▼このかえるのおたまの記事を書き始める時にちょっとひと呼吸をとるために毎日少しずつ読んでいる本があって、今日読んだ箇所がまさにトランプ大統領が一期目の当選を果たした直後のアメリカ国内の様子について、だった。危機を前にして人は団結することができるし、声を上げることができる。人々にその自由が残っているうちはまだ希望は残っている。頼まれてもいないのにあまりしょんぼりしすぎると認知が歪んでしまってよくない。
▼もうひとつ、「食い物はただ食べればいいってもんじゃない。それについてしゃべらなくっちゃつまらない。それも、その食い物のことをよく知っている人間にしゃべらなくちゃいけないんだ」というのはカート・ヴォネガットの小説『ジェイルバード』からの引用であるらしい。
(カート・ヴォネガット&スザンヌ・マッコーネル『読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」』2022年 株式会社フィルムアート社 p.561)
▼このところずうっと考えていることを言葉にしてくれるようなページと出会えたことをありがたく、ちょっと嬉しく思った。考えていたことは野外演劇祭のことで、演劇を観にきてくれた観客の人たちがなんかすこし居心地よく過ごせる広場、みたいなものをつくれたらなぁ、ということをずっとずっと考えている。最近はオンラインでアフタートークやふりかえりをやることも多くて、それも便利だけれども結局のところそういうことはアナログで、人と人とが実際に会ってやらなくっちゃ熱が生まれないものな、と思っている。
▼わざわざ観にきてくれた人にその上「何か喋ってほしい!」というのはなんだかちょっと心苦しい話でもあるので、せめてちょっと居心地がよくなるとか、ほんのすこしのおもてなしやプレゼントみたいなものがあったらなぁ、と思ってあたたかいコーヒーやお茶のことを思い浮かべてみている。誰もがもうちょっとそこにいていいんだよ、というあたたかな口実。それだって雨が降れば平気ですべて吹いて飛ぶのが野外劇の怖いところでもあるのだけれど、そういうあたたかな時間を一つずつ丁寧に想像して積み重ねていけたらなぁと思っている。
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◆日本全国の73名の方々から535,000円の応援をいただき、資金調達が無事に成功しました。ありがとうございました!!
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「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」
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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【公演詳細】
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