20240913 祭りの夜の暗さに
小さな頃、夏の夜のお祭りが怖かった。近所のお祭りもなんだか怖かったし、旅先で見ていたよその街の夏祭りもなんだか怖かったことばかり覚えている。すこし大きくなって小学生、中学生くらいになるともう少しラフに楽しめるようになったものの根本的にお祭りはなんだか怖いもの、というイメージがあった気がする。
▼それがなんでだかはわからない。お祭りを見て楽しそうにしている大人たちの気持ちがあんまりよくわからなかったし、みんなが夜遅くまで出歩いている感じもいつも通りではない気がしてあまり好きではなかった。ただでさえ自分自身は不安なのに、大人たちは陽気な盆踊りの曲でそれを糊塗しているかのような不信感が募るのだった。
▼大人になって考えてみるとたぶんもともとちょっと鳥目というか、視覚的にあまり夜に強くない、ということもあったのかなと思う。夜になると誰が誰だかあまりよくわからない。薄暗い空間があまり好きではない。歩いていても不安感ばかり募って落ち着かない。
▼子供の頃に旅行した街の夏祭りは結構激しいもので、龍の神輿みたいなものをうねらせながら爆竹を鳴らしまくったりするタイプのものだったので、幼い私は早々に尻尾を巻いて宿へ帰ろうとしたところ一緒にいた父がもう少し見たいといい、ほとんど半泣きでそれに付き合っていたことが思い出される。ただでさえ苦手な夜の祭りに爆竹なんか鳴らされたのではたまったものではない、と幼心に憤慨していたのをよく覚えている。
▼それでもすこし我慢して見ていると爆竹の音に耳も慣れて、なんとなく見られるようになってくる。怖さがだんだん薄らいで、夜祭の華やかさに肌が慣れてくる。それでも子供の頃は夜9時には寝ていたから、夜遅くまで起きていることの不安感みたいなものも相まってなんだかずっと不安だった。
▼今思うとそこに集まる人々の異様なエネルギーみたいなものに気圧されて怖気付いていたのかな、とも思う。「お祭り」ということで一段上がった大人の、子供の活気みたいなものがすこし嫌いだった。それが大人になってみると演劇なんてやり始めてしまって、張り切って大きな音を出したり、あまつさえ場内を暗転したりしている。子供の頃の私が見たらなんだかきっと落ち着かない、嫌な空間をつくっているような気もする。ちょっとだけあの夜の居心地の悪さを、思い出してみてもいいような気がしている。
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