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20240720 山の中へ

(2016年8月27日の写真より)

「この劇団が好き」とはっきりと思ったのは宮城聰さんのSPAC(静岡県舞台芸術センター)が最初で、ありがたいことにSPACの制作をしていた方とたまたま知り合う機会があっていろいろお話を聞いているうちに「もしまだ利賀村へ行ったことがないのなら、いつか必ず行った方がいい」と熱心に話してもらったのだった。

▼そのときに『世界の果てからこんにちは』という作品のことを『果てこん』と略すのだ、ということや、どうやら舞台で花火を上げるらしいということや、すごい野外劇場があるらしいということ、そもそもものすごい山奥であるということを初めて知った。

▼その後長く続けていたアルバイトがお店の移転に伴いひと段落して、すこし時間が出来た夏に初めて利賀村へ訪れた。電車やバスを乗り継いで合計6時間くらい掛かった。到着した夜はあいにくの土砂降りで、その日の夜に野外劇場で予定されていた作品を急遽室内の劇場に振り替えて上演されていた(いきなり劇場を変更できるというのも、今考えればすごいことではある)。

▼観客の中には平田オリザさんや渡辺保さんや菅孝行さんや、「なんかあの人知ってる!」という若手の劇作家、演出家、俳優の人たちの顔がいくつもあって、「ほんとにみんなここへ来てるんだ…」と思って静かに興奮していた。劇場から出て、雨の中を傘をさしながら次の作品の上演へと向かって真っ暗な山間の道を歩いた。

▼日本だけではなく世界各国から若い人たちがたくさん来ていて、彼女ら/彼らがなんだかものすごく楽しそうで元気なのも印象に残った。うわさに聞いていた『世界の果てからこんにちは』の至近距離での花火を食らいまくった後に舞台あいさつに現れた御大、鈴木忠志氏に向かって海外勢からむちゃくちゃ熱狂的な歓声が上がっていたのも、東京ではそんな光景を見たことがなかったからおもしろかった。

▼今年は『世界の果てからこんにちは』はもちろん、『シラノ・ド・ベルジュラック』も上演される。SCOTで一番好きな作品に『シラノ』を推す人も多い。しかもこの『シラノ』は国際版なので、各国の精鋭が一同に揃う。「ああ、お互いに話す言葉がちがっても一緒に演劇はできるんだ」と素朴に驚くことのできる作品である。もしも利賀村へ来たことがなかったら、人生で一度は見てみてもらえたらなと思う。

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「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【チケット】
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【公演詳細】

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