20240923 なんでまた今年豊岡へ
Photo by Kyono Hirose
豊岡演劇祭のプロデューサーの方がたまたまうちの劇団のメンバーと学生時代の同期ということで、その方からフリンジに参加するでもなく、まして公式プログラムでもなく「あなた方はなんでまた今年豊岡へ?」という質問を受けた時に、同期の彼と、もう一人うちのメンバーと、そして私と、何度かに渡ってことの経緯を説明してみたものの一向に釈然としないので、お互いに狐につままれたような気持ちになったのがちょっと可笑しかった。
▼元々なんのあてもあったわけではなくて、「たぶんこれくらいの時期に行けばなにか起こるべな…!」という、けっこういい加減な勘に基づいて今回豊岡へと行ったのだった。日程なんかもう直感である。元はといえばパリにいる奥野さんのパートナーの詩子さんという方がある時ふとメッセージをくれて、「豊岡演劇祭にOFFの巻き起こる気配あり…」くらいのそれとないメッセージだったのを、読んだ途端に「ああ、これは豊岡に行かなくてはなるまいな」と強く曲解して受け取って、それで今回の豊岡行きにいたったのだった。
▼詩子さんのメッセージを受け取った時、私は何にそんなに興奮したのか?それはやっぱり「OFF」ということだったと、強く思う。演劇祭の「IN」と「OFF」の、「OFF」の方。演劇祭の公式プログラムによるのではなくて、自主的にアーティストが集まり、勝手になんかやる。「そうそう、そうでなくっちゃね!!」と叫ぶ小さな何者かが、私の中にはいた。勝手に何かをやりたくてうずうずしていた。
▼呼ばれていないのに、勝手に行って何かやる。そうして演劇祭の公式プログラムとはちょっとちがう角度から豊岡のことを見て、勝手に何か学んで帰る。ただでさえ豊岡演劇祭というのは私みたいな”そっちの文脈に乗っていない”ものからしたらちょっと、敷居が高い。けれども大好きなアーティストの方のお手伝いをするのなら喜んで行きたいし、そうとなれば会いたい人も行きたい場所もたくさんあるのだった。
いずれ万が一正式に行けることがあったら、と考えて試しに東京から陸路で行ってみた所、往路は冗談抜きで18時間掛かった(観光もほどほどにしていたけれども)。
▼そうしてほとんどわずかな手がかりを元に訪ねて行った先のMaison Defの下村さんという方がまた、とんでもなく腰の据わった素敵に面白い方で、「いいですよ、いいですよ」と、本当にパフォーマンスをすることができたのだった。豊岡のカバンストリートにあって若いのに気骨の溢れる、スタンド・アローンの、クリエイターでありインプレサリオ、といった下村さんが手がけるApartmentという場所は文字通り「クリエイターのための場所」だった。場所から強い影響を受けて、むしろ私たちの方が居住まいを正していた。
▼Apartmentに作品を出展している柳細工の作家さんから柳をお借りして、その柳を手に持って私たちは綱渡りをしていた。アヴィニョンで活躍する奥野さんのことを知ったその日から、私の脳裏には常に「アヴィニョン演劇祭=SPACの宮城さん=マハーバーラタ=ピーター・ブルック氏の稽古といえば=綱渡り」のイメージがあったからだった。ということは土取利行さんも召喚せねばならず、私はとりあえずジャンベをポコポコ叩いていた。鈴木と丸山が一生懸命綱を渡り、松永が豊岡演劇祭についての自由律の詩を詠んでいた。フランスといえばバゲット、ということで朝日軒でバゲットを買わないと、と思っていたらバゲットはなかったのでくるみパンを齧って、綱を渡り、ジャンベを叩いていた(めちゃくちゃ美味しかったので結局三つ買った)。カバンストリートの一隅で私たちは、確かにブルボン石切場の風を感じていた。
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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
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於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
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