20241024 縦のものを横に、横のものを縦に
文章を書く人でも、たとえば紙とペンで書いているのか、パソコンで書いているのか、スマホで書いているのか、タブレットで書いているのかさまざまな形があると思う。最近だと音声入力を使っている人もそれなりの数いたりする。
▼太宰治とかもある時期の作品は口述筆記だったりするので、喋って記述というのもひとつの定型なのだろうなと思う。最近は音声の判定もかなり精度が上がっていて、手で書くのとほとんど遜色ないくらいの正確さで記述していくことができる。
▼口に比べて、手は遅い。『アルジャーノンに花束を』という小説(戯曲)だと、主人公のアルジャーノンが手術を受けて超天才になった時には頭のなかを常に新たな発想が駆け巡っており、とても手の記述では間に合わないということでテープレコーダーに音声でメモをとっていたりする。
▼自分くらいの世代ではほとんどスマホの入力に慣れきっていて、フリック入力を用いてそれなりの速度で文字を入力することができるようになっている。「スマホがあればいいし」ということで、あんまり紙とペンを使わなかったりもする。たまに手書きで文字を書くと明らかに学生時代なんかよりも萎えているのを感じてしょんぼりしたりする。
▼学生の頃からレポートを書くのにはパソコンだったし、使うソフトもWordだったのが最近はGoogleドキュメントをよく使っていたりする。一時期はそれがEvernoteだったり他のメモアプリだったりもした。それらのフォーマットではよほど面倒な設定を加えない限りは横書きなので、書くのにはもう横書きのレイアウトに慣れきっている。それでも読むのには本は縦書きなので、書くのと読むのとで90°のちがいがあるのにもまた慣れている。
▼そういえば先日白石加代子さんの『百物語』を観に行ったとき、舞台上の白石さんが手に持つ台本のページを右から左へ繰っていたのが気になった。縦書きの台本ならば左から右へとたぶん繰っていくことになるはずで、でも白石さんくらいの世代の俳優さんが横書きの台本を使うというのもなんとなく考えにくくて、どうなってんだろうと不思議な気持ちになった。
▼紙に書く文章には紙に書く文章の、パソコンで書く文章にはパソコンのリズムや質感があるのかな、と思う。手で書くよりも楽にパタパタとたくさん書けるから、くだらないことをたくさん書いている気もする。頭のなかを駆け巡っていることばのなかに、それでもなお紙とペンでしかつかまえられない種類のことばがあるのもまた確かで、不思議なものだなと思う。
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