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20241118 ちびっこと舞台

あるときちびっこの演劇の発表会のお手伝いをしていたことがあった。普段の大人同士の演劇のリハーサルならば、本番が近くなると通し稽古がメインとなって何度となく同じことを繰り返しながら微調整、という感じになるけれども子どもたちは同じことを繰り返すことの意味があまりわからなくて飽きてしまう。

▼「どうやったら毎回新鮮に楽しくリハーサルができるのだろう」と考えながら、いろいろと工夫しながらなんとか本番を迎えた。普段の教室とはちがう、ホールの控え室で準備をしているとき、いつもと違う環境に普段なら元気を有り余らせている子たちまでもがそこはかとなく緊張していくさまがちょっとおかしかった。

▼ふだんの教室でやっていることも演劇だし、「本番」というものがあって、普段とちがう場所、普段とちがう環境でたくさんの人たちに見守られながらこれまでに練習してきたことの発表をする、というのもまた大きな意味での演劇というものの枠組みなのだな、という感慨を感じながら、サポートをするために彼らと一緒に舞台の上へと向かった。

▼控え室からみんなで舞台裏の階段を通って袖へと向かう。すこし暗い舞台の袖から、明るいステージの上へと出ていく時に思わず緊張してしまう子や、いつも上手に言えていた台詞がうまく言えない子なんかもいたけれども、客席にいる親御さんを見つけてこれまで見たことがないくらい張り切ってベストパフォーマンスを叩き出してくれる子もいたりして、しみじみと子どもというのはワンダーだなぁ、と思いながら見ていた。

▼演劇の発表といっても台詞はみんなで喋ったり、コールアンドレスポンスになっていたり、なるべく一人ひとりの難易度が高くなりすぎないように工夫していたのだけれど、その中でも最上級生の子達には一言ふたことちょっとした台詞があって、彼らがその台詞が言えるかどうかがその日のハイライトでもあったので、私もまた少し緊張しながらそばで見守っていた。

▼そんな中で、ひとりのちびっこの台詞で客席が沸いた。ビギナーズラックというか、間がよくて言い方もなんだかとぼけた感じで愛くるしくてうまくハマり、「ドン!」という感じで受けたのだった。その瞬間に、そのちびっこがもう隠しきれないくらいニコニコと得意げに笑みを零したのを私は見逃さなかった。これがもしかしたらその子にとって「人前で初めてウケた経験」になるのかなぁ、と思うとなんだかとても愛おしかった。

▼「おめでとう。あの台詞、今日イチウケてたね。でもその感覚をなぞろうとしちゃダメだよ。一回まぐれでウケたからって、毎回その間合いで笑いが取れるわけじゃないからね。なぞっちゃダメ。油断しちゃダメだ。」という、ろくでもない先輩のアドバイスみたいな言葉をぐっと飲み込んで、みんなとハイタッチをして控え室に帰った。

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「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【公演詳細】

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