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20241210 何になるって、文化人だろ

あるとき何気なく話していて、「お前は将来どうなりたいの?」と聞かれて「演劇をがんばって………、最終的には文化人になりたい」と答えて自分でもはた、と考え込んでしまった。文化人と、といってはみたものの何をもって文化人というのか、自分でもぜんぜん自信がなかった。

▼養成所を卒業して、さながら豊洲市場の競りみたいな人権もくそもないオーディションを経て小さな事務所に所属してみたはいいものの、あんまりにも自分のやりたいこととかけはなれていてすぐに辞めてしまった。映像の案件に放り込まれて何本かやったエキストラも割のいいアルバイトでこそあれ、それを頑張ってコツコツ続けていこうとは思えなかった。

▼養成所を出て事務所に所属して、それで上がりではなかった。「演劇(というか劇団)だけやっていたい」という、そういう強い思い込みがあって、これは人に習った方が早いなと思ってお手伝いにいった劇団が瞬く間に解散してしまってびっくりした。「ぜんぜん甘くねえんだな!」という現実を眼前に突きつけられた気がした。

▼養成所というのははじまりのきっかけとか口実でしかなくて、その先にものすごく長い道のりがあると思い込んでいた。劇団をつくったってそれもひとつのプロセスでしかなくて、その先で何をしたいと思っているんだろう、ということの先にたぶん「文化人」という言葉がぼんやりとあったのだと思う。

▼やっていることが演劇なので一般企業みたいに利益を上げて成長して、という風にはいかないけれど、ただ作品をつくるだけではなくて“場”や“つながり”をつくって育てていきたいと、心から思うようになった。自分の作品も大切だけれどそれ以上に周りの人たちや、若い人たちが気軽に演劇と関われるような、そんな環境を整えたいと思うようになった。場が豊かに耕され、人と人とが思いもかけない形でつながって新しい波を生むことを望んでいる。

▼世界情勢や、逃れられないこの国の貧しさが重くのしかかってくるのだとしても、広場があって人が集まり、そこで何かをシェアすることができるのならばまだ希望はそこに残る、と思い込んでいる。勘違いだとしてもまあよくて、そういうことのためなら自分は一生懸命働けるし、そういうことを考えているときの自分は楽しくて、幸せである。そういうことの積み重ねの果てに、文化人の端くれになれていたらいいなぁと思っている。

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◆2024年の年末に『桜の園』をソロで上演します。詳細はこちらをご覧ください。

◆日本全国の73名の方々から535,000円の応援をいただき、資金調達が無事に成功しました。ありがとうございました!!

【平泳ぎ本店 クラウドファンディングについて】「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)

※雨天決行

於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡

https://g.co/kgs/Ksc4VNJ

【公演詳細】

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