20240515 たとえば床を敷くだけで俳優が。
野外劇のため、会場となる戸山公園に入っての設営が進んでいる。朝から荷物を搬入し、1日をかけて舞台の床を敷いていく作業を進めていく。この床をつくるために今回資金調達に挑戦している。
https://motion-gallery.net/projects/hiraoyogi_toyamaopenairtheater
▼昨夏幸運にも参加させてもらうことができた利賀村のサマーシーズンで、『果てこん』と呼ばれる野外劇に出演するためにひと夏野外劇場で過ごしていた。磯崎新さんが設計されたその劇場はギリシャの野外劇場を彷彿とさせるつくりで、時間など気にせずに世界中から集まった俳優たちが朝も夜も稽古に励んでいた(本番を上演する劇場で心ゆくまで稽古ができることの幸せというのはある)。
▼あるときチリから利賀を訪れていた友人に頼まれて利賀村で開催された国際的な演劇フェスティバルの記録映像を代わりに入手し、送ってあげたことがあった。その時に昔の映像(1982年)を見返してみるとできたばかりの野外劇場には所作台が未だ敷かれておらず、黒い大理石(?)のような美しい岩の肌に直接立って白石加代子さんらが『トロイアの女』を上演されていた。若かりし頃の伝説の白石さんである。
▼今回の舞台となる野外演奏場跡に所作台を敷きたいと思ったのは、まず利賀や静岡の野外劇場には必ず所作台が敷かれているから、それを見ていて強く憧れていたというのも隠し難くひとつの大きな理由としてある。べつに所作台を敷かなくたってコンクリの上でも演劇はできるし、敷かなくたっておもしろいことはできるだろうけども、自分(たち)が俳優としてこの場所に立つのなら絶対に所作台が必要だと思った。
▼所作台というのはもともと歌舞伎や能のもので、足拍子の響きをよくしたり足の滑りをよくしたり、とにかく第一にはそこに立つ俳優のためのものである。俳優がそこに美しく、力強く存在し立つことができるということは絶対に観客のためになる。そこに一枚の板があることで、これからそこで上演されるだろう演劇やダンス、あらゆる表現の質が変わるだろう、という確信がある。
▼野外では日中の作業が主である。朝から作業をして日が暮れる頃には終わって解散となって、自宅に帰っていろいろ事務作業をしていたのだけれど、なんとなく気になって夜会場へ向かっていた。木や草、花の匂いにまじって真新しい木材の香ばしい匂いがする。ただ床を敷いているだけなのだ。ただ床を敷いているだけなのだが、「ああ、これでここが劇場に変わっていくのだ」という確信がいよいよ強くなるのを感じて、立ち去り難くしばらくそこにいた。
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◆現在資金調達に挑戦しています!ぜひご一読ください。
【平泳ぎ本店 クラウドファンディングについて】
「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」
https://motion-gallery.net/projects/hiraoyogi_toyamaopenairtheater
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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【チケット】
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02czx9t72zj31.html
【公演詳細】
https://hiraoyogihonten.com/2024/02/24/hiraoyogi8th_info/
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