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20241123 大入りの儀
演劇をやるようになってから大入り袋というものの存在を知った。劇団や劇場によっていろんな流儀があると思うけれども、公演が終了した時に公演関係者に向かって一人ひとりの名前入りの、赤い封筒に入った五円玉を渡すという儀式みたいなものだ(初めて見た時はギャラが入ってるのかな、と思ったけどそんなことはなかった)。
▼すべての公演が終わった時の打ち上げの席なんかでやったりしていたけれど、コロナ禍の影響でそういう場に居合わせることもそういえば少なくなったな、と思う。初めて商業演劇に出た時にもらった大入り袋はちょっと大きめで、中に500円玉が入っていたので大入りってどこでもそういうものなのかしら、と思っていたけれど、小劇場だとちゃんと5円玉でやっていたのであれは商業演劇なりの派手好みみたいなものだったのかな、と思う(他の現場でもあれ以外で500円玉の大入り袋をもらったことはない)。
▼かつてお手伝いしていた劇団では打ち上げもいい感じの時間になってきた時に「では、そろそろ…」といって大入りの儀が始まるのが恒例だった。公演に関わるすべての人たちの名前が入った大入り袋をプロデューサーの人が順番に並べて用意をして、主宰の方が一人ずつに感謝の気持ちを一言添えながら渡していく。もらった人も一言挨拶をするので、小劇場の規模でも全員分渡しきるまでにゆうに1時間以上はかかっていた気がする。
▼大入り袋のサイズが小さいので普通のプリンターだとうまく印刷できずに、公演のタイトルと日時、劇団のロゴなんかが入った大入り袋をつくるために、先輩の方のモバイルプリンターを借りたりしていたのもいい思い出だったりする。ぜんぶ手書きで用意することもあるけれども、それなりに関係者が増えるともうどうしたってプリンターが必要なのだった(お名前だけは必ず手書きで入れていた)。
▼公演が始まる前に「大入り袋を用意しなくっちゃ!」と銀行で5円玉を両替するのも、今思えばけっこう楽しかった。公演前から無事に終わることを見越して大入り袋を用意しているというのが周りの人にバレてしまうとなんだか無粋な感じがして、こそこそと封筒を買ったり印刷したり、5円玉を封入したりしていた。
▼5円玉というのはつまりは人と人との「ご縁」のことで、大入り袋をもらったら(これも諸説あるのだと思うけど、)シャカシャカと振って5円玉を袋から破いて取り出し、その5円玉を周りの人と交換するまでがワンセットになっていた。公演が無事に終わって、最後に一度あらたまって人と人の縁を大切にしようね、という、素朴といえば素朴なセレモニーだなぁと思う。演劇というのはつまり人と人、というとなんだかこそばゆいような気がする。最近だと自分の公演でもきちんと大入り袋を用意できていないけれど、また用意してみようかなと思う。
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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
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