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20240922 2024年豊岡行⑤

photo by Kyono Hirose

豊岡での最終日は今回の豊岡訪問の最大の目的でもある奥野衆英さんのトークプログラム『22年のフランスでの経験が語るアヴィニョンOFF演劇祭の魅力と豊岡演劇祭の未来』のお手伝いへ。

▼会場は平田オリザさんが学長を務められる芸術文化観光専門職大学の劇場ロビーでした。

芸術文化観光専門職大学の劇場は静思堂シアターという名前です。

▼90分という時間ではちょっと足りないくらい、ものすごく充実した内容のトークプログラムでした。パリを拠点とする奥野さんにとって、同じフランス国内でもアヴィニョン演劇祭というものがもつ価値や意味を深掘りしつつ、アヴィニョンと豊岡演劇祭双方の経験をもつ奥野さんが両者を比較しつつ進められるお話は多くの演劇関係者の方、文化に興味のある方にとってものすごく興味深いものではないかと思います。

奥野さん。これまでの経験を柔らかな語り口で惜しみなく伝えてくれました。

▼お話を伺いながら特に強く感じたのは準備の大切さ、でした。アーティストにとって演劇祭というハレの場を単にお祭りで終わらせることなく、次の機会へと確実に繋げていくためには1年以上かけた周到な準備が不可欠であり、何よりも「自分自身がどういうものをつくっている人間なのか」という洞察、そして自分が望む場所へと進んでいくために劇場やテクニカルライダーの方達といった適切な人の力を借りなければならない、ということの大切さを強く感じました。

奥野衆英さん。

▼アヴィニョンに暮らす人々にとって、一つひとつの作品が「私たちが育てた」と言えるくらい、演劇祭は大切な誇りになっているのだそうです。今回各所で豊岡の方々と話していても、豊岡演劇祭で訪れるアーティストたちのことを応援したいというポジティブなエネルギーをビシビシと感じました。この演劇祭がこれからもっと豊かなものになっていくためにもこの演劇祭を単に作品発表の場とするだけではなくて、「豊岡から日本全国へ」「豊岡から世界へ」とつなげていけるようなアーティストの側の準備も必要になってくるのではないかと思いました。そうして豊岡の人たちの想いとアーティストの側の想いと準備が噛み合ったとき、演劇はこの街により多くのよいものをもたらし、この演劇祭は確実にアヴィニョンへと近づいていくのだと思います。

毎日一つの劇場で7つの作品が上演される時の具体的な設営、撤収についても伺うことができました。

▼トークプログラム終了後には奥野さんの仕込みが終わってすっかり劇場の雰囲気を備えたApartmentの三階に伺い、「青年、壮年、老年、死」のワンシーンを見せていただく機会にも恵まれました(写真を撮っていなかったのが悔やまれます……)。

昨年豊岡で上演されていた奥野さんの作品を拝見したときに、私が特に心を掴まれたのが「手仕事の美しさ」でした。その奥野さんが豊岡のカバンストリートでMaison Defの下村さんが運営されているこのApartmentという場所と出会い、作品を発表されていることの僥倖を一観客として心から喜ばずにはいられませんでした。

「いいものをつくる」というクラフトマンシップ、その一点で豊岡とパリがつながったのは必然だったのだと思います。

劇場ロビーのソファ。

今回の豊岡訪問で、単に演劇祭に野良で参加したということだけではない、真率にものをつくることの姿勢、心意気といったことを学んだような気がしています。時間をかけていいものをつくり、美しいものを磨き上げていく。そういうクラフトマンシップに溢れた人たちがいる場所が豊岡のカバンストリートにあるということが、何にも増してまた豊岡へと訪れる大きく強いモチベーションになりました。

こうして奥野さん、下村さんといった普通に東京で暮らしていては出会えない方々と出会えたのも他ならぬ豊岡演劇祭のおかげであり、昨年私を豊岡へ連れてきてくださったy/nのお二人やコーディネーターのノブさん、ナイトマーケットで見かけた平田オリザさんやすべての豊岡演劇祭の関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

奥野さんのトークプログラムはこちらのページからアーカイブも配信されていますので、ぜひご覧ください。

今回の豊岡行の一連の日記はひとまずこれにてひと段落です。書き足りていないことは後日少しずつおたまに書いていく予定です。

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【公演詳細】

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