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20240906 だらだらできて居心地がよくて

助成金の申請などをしながら来年の公演のことを考えている。これでもすこし(というかかなり)遅いくらいで、毎回本当はもっと準備に時間をかけられたらいいのだけれども、なかなか目の前の仕事に追われてうまくいかない。それでも今から、できる限りしっかりと準備をして来年を迎えたいなと思っている。

▼いろいろと自分の公演のことを考えていて、ここ数年の自分の問題意識というか関心事が主に観客のことに向いているのだな、とふと思った。演劇をただ観ることももちろん大切だけれども、欲を言えば舞台を観る前やあとにゆっくりと話すことができる場所と時間があったらそれが一番良い。出演者のアフタートークのような一方向のものではなくて、もうすこし時間を気にせず、双方向でゆるやかに(あるいはだらだらと)話し続けられる場がどうにか設けられないだろうかと思い続けている。

▼コロナ禍のときはそもそも人が集まって話すこと自体にブレーキがかかっていたのでほとんどなすすべがなかったけれども、それでもパーテーションで区切ったラジオブースのようなものをつくって、感染症対策をしながらAudi-toriumというイベントを開催した。”Auditorium”という言葉の通り、観客、そして観客席のことを考えたイベントだった。

▼作品の上演とアーティストによるトークの二本立てを旨として、出演者も(願わくは観客も)ゆるやかに対話をすることができる場がつくりたかった。先日の野外劇でも「野外劇のバックステージツアー」というものを企画して、観てもらった後にいろいろと野外劇のしつらえをシェアできるような時間を設けた。それだけではなくて会場となった戸山公園、箱根山という場所の由来を知ってもらうことも目的で、戸山公園センター長の唸るスピーチが日に日に完成度を上げて磨き上げられていく、とても豊かな時間になった。公園だから別に退館時間なども気にしなくてよい。お酒の入ったうちうちの打ち上げとかではない、もう少し健康的な時間のシェアの仕方ができたらいいのにと思い続けている。

▼演劇の公演をするたびに、集まってくれる人の多さに対して自分たちのからだがひとつずつしかないことの不自由を思っていたりする。それぞれの人たちにしっかり挨拶がしたいし、あれもこれも話したいし、紹介して繋げたい人も沢山いるけれども実際は会場の撤収作業やなんやかやに追われてなかなかうまくいかない。誰だったかが言っていた、パリの劇場文化の「ビールやコーヒー一杯を片手に、夜通し時間を気にせず話し続けられる」ような環境の贅沢さを思う。

▼自分自身作品の上演だけ見てすぐに帰ることも多いけれども、せっかく野外劇なんてやっているのだからもう少しハレの日の雰囲気を出せたら楽しいのにな、と思う。誰もが居心地よく観劇の前と後の時間を過ごせるような場所をつくりたい。演劇は作品を上演しただけではなかなか有機的な存在になっていかない。それを観に来て、考え、関係あることでもないことでも語って、時に想いをつないでくれる観客の存在がもっと演劇を豊かにしてくれるものだと思っている。

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◆日本全国の73名の方々から535,000円の応援をいただき、資金調達が無事に成功しました。ありがとうございました!!
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「一枚の舞台の床が、才能のゆりかごに。
野外で自由に演劇を上演できるようにするための所作台をつくりたい。」

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【公演詳細】

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