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インターン生に「採用面接」でアドバイスしてきたこと

はじめに

2011年にデザイン会社(旧トライアンド。現デスケル)を立ち上げ、Uzabaseに参画しても、数名のインターン生を微力ながら育てました。インターン生たちは、大学を卒業すると魅力のある会社に旅立ちました。

その中でも、数名のインターン生にはキャリア相談?にのってきました。

イラストレーションが得意なインターン生は、コロプラに。
UIデザインが得意なインターン生は、CyberAgentに。
インタラクションデザインが得意なインターン生は、GUILDに。

インターン生以外にも、縁がありキャリア相談・転職相談してきた方々もいて、TBSやnoteに入社された友人や知人もいます。もちろん、彼/彼女らの実力があったからこそですが、それでも入社の可能性を少しでもあげるために、採用面接に関するアドバイスをしてきました。

実は、最近色々と考える機会もあり、平野が“直接”メンターとなる学生インターン生の募集は、2021年で終わりにしました。詳しくは「おわりに」にてお話しています。

※Uzabaseでは、全力でインターン生を募集しています。
※私たちのデザイン組織「DESIGN BASE」でも不定期で募集しています。

そういった節目でもあり、今まで、インターン生に「採用面接」でアドバイスしてきたことをnoteで共有したいと考え、文章を書いています。「秘伝のタレ」というほどの価値ではありませんが、3月から2023年卒の就活が解禁されていますので、これからの時代をつくるデザイナーの就職活動のお役に立てれば幸いです。

以下は、これから大学4年になり、就活活動を始める若きデザイナーに向けて、語りかけて参ります。

ボールは遠くに投げる

漫画『働きマン』の中の13話「面接マン」で、志望理由の考え方が描かれています。その一節を簡単に紹介します。(ちなみに『働きマン』は働くとは何か?について多様な観点で捉えた漫画ですのでオススメです!)

たいていのヤツはボールを「入社」に向かって投げるから
最高でも「届く」で普通はもっと手前で落下する
ところが目標を「入ってから何をするのか」「どうなりたいのか」に設定すれば
自ずと遠くへ投げるから
結果として「入社」は飛び越えている

漫画『働きマン』の中の13話「面接マン」より

僕がUBに入った理由で例えるならば
「Uzabaseのカルチャーに共感したので入りたいです。なぜなら〜」
ではなく
「SPEEDAのUIデザインのリニューアルをしたいです!なぜなら〜」

この「入ってから何をするのか」「どうなりたいのか」を考える種は、パーパス(またはビジョン、ミッション)を下敷きに敷いて考えると良いでしょう。そうすることで、その会社が目指していることがより具象として自分事化されるはずです。

また、ミッションと自分の志望理由を紐付けておくことがは、入社後に自分が過酷な状況になったときに真価を発揮します。「なんでこの会社に入ったんだっけ?」と原点回帰し、自分がここで働く(ここにいる)理由と会社の目的を思い出し、奮起する可能性があがるからです。

表情と印象

誰かとコミュニケーションをとる場合「言語情報7%」「聴覚情報38%」「視覚情報55%」という割合で相手に影響を与えるといった「メラビアンの法則」があります。この法則が見出していることは「非言語コミュニケーションがいかに重要か」という点です。

つまり、面接とはそこで聞かれた問いに返答した「内容」だけで結論が決まることはなく「表情、声のトーン、仕草、雰囲気」などから伝わる情報も結論に影響を与えています。どんなに素敵な返答も「つまらなさそう」と相手が受け取れば(仮に本人が楽しそうに話していたとしても)、その面接官にネガティブな印象を残してしまう可能性があります。だからこそ、まず自分が普段「どんな風に人と向き合っているのか?」を知ることが大切になります。

僕が就活相談や転職相談でよくやることは、10分間の疑似面接を録画し、その録画を一緒にみて、ふり返ることだったりします。自分は「どんな表情で」「どんなボイス&トーンで」「どんな音量で」「どんなスピードで」「どんな仕草で」「どこを見て」「どんな顔つきで」を客観的視点に立ち、気づくことでこれは改善されます。いつもより、口角をあげて、目線をあげるだけでも効果が出るかと。

手土産を用意する

カジュアル面談で提案したSPEEDAのリニューアル案

デザイン会社、制作会社、事業会社(インハウス)。自分の入りたい会社があるのであれば、手土産を用意しましょう。デザイン提案の手土産です。例えば、その会社がプロダクトやサービスを持っているならば、サービスデザインやUXデザインの提案、または、UIデザインのリニューアル案など。デザイン会社や制作会社であれば、その会社が実績として手掛けた案件に対してのデザイン提案でも良いでしょう。

まず、そういった提案を持ってくるだけで目立ちます。なによりもデザイン提案を通して、プロダクトやクライアント理解が促進されます。そして、深い解像度で面接の場に立つことを可能とします。提案の筋が悪かろうが良かろうが、新卒の学生枠なんですよ。だから背伸びの必要なし!

新卒採用というのは、実力以上に「期待値」や「可能性」も見られるポジションなので、そういった+αの加点もありますし、なによりも、提案デザインは嬉しいですよね。心情としてもプレゼントする気持ちで試してみてください。僕だったら。そういう提案ができるデザイナーと仕事を一緒にやりたいです。

推薦の力

映画『プラダを着た悪魔』のラストシーンで、こんなくだりがあります。

ファンション紙の有名編集長の助手として働いていた主人公が、色々と仕事で結果を残した上で、大手新聞社に転職しようと考え、その面接に挑んだときの一コマ。有名編集長から面接官に次のような言葉が向けられます。

「今までのアシスタントで最も期待を裏切ってくれた。もし彼女を雇わないのであれば、あなたは愚か者である。」

映画『プラダを着た悪魔』より

無事に主人公は大手新聞社の転職を決めます。(ちなみに『プラダを着た悪魔』も働くとは何か?について多様な観点で捉えた映画ですのでオススメです!)

面接の数十分で、誰かを評価するのは限界があります。採用候補者は、少しでも自分を売り込みため、多少の演出が含まれた返答の中で、面接者は信じたいだけど、信じられないジレンマに陥ります。

そこで役立つのが「推薦の力」となります。インターン先の先輩や上司、大学の教授や先生、バイト先のデザイナーの先輩など。可能であれば自分がどんな人間なのか、紹介文や推薦文をもらえるならば、それは凄い力となります。

前提として、そのようなお手紙や紹介は、その職場や学校で結果を残してないともらえません。推薦文や紹介文を書いた人の信頼問題に発展するからです。僕の実体験としても、デンマークのデザインスクールに在外研究するための扉を開けるために、恩師である須永先生から紹介文をいただきました。

加点方式の評価で働く

最後のアドバイスとして、縁があった会社や組織に行くことを僕はオススメします。

どんだけ企業発信で素敵なことを伝えていても、現場でどんなメンター、上司、ボスの下につくかで白黒が引っくり変えるくらい変わります。

僕の新卒はトランスコスモス株式会社ですが、当時ネットで「トランスコスモス ブラック」と批判されていました。しかし、そこで生涯最高のデザイナーの師匠と出会いました。師匠とのエピソードは以下のnoteから

外から中を見えない状況で、過剰な何かを期待し、それが想像と違った場合は「こんなつもりではなかった」と幻滅します。

反対にたいして期待していなかったけど、入社したら素敵なことが見つかっていく場合は、加点方式で積み上がっていきます。選ぶのではなく、選ばえることを意識するとハピネスが高まると感じています。

おわりに

明るい春の日差しを浴びて、4月にUzabaseで約2年半過ごしたインターン生が、大変ありがたいことに新卒入社していただけます。

デザイン組織「戦国時代」の中で、B2B SaaSという学生からしたら捉えづらい事業にデザイナー参画いただけることには、本当に感謝しかありません。

自分の中で、これって凄い出来事なんですよ!
なぜなら、今までインターン生から「新卒」採用したことがなかったから。
その理由はズバリ

「怖かったから」

そう、責任を取りたくなかったんですね。

「新卒」ってブランドなんですよ。もしかしたら中途枠では扉が開かない会社でも、新卒枠であれば開く可能性だってある。そんな素敵なオプションを持っている人の人生を変えてしまう可能性もある「新卒採用」

インターンで出会った未来ある学生を前のめりで、一緒に働こうと言えませんでした。もっと良い条件や可能性があることを捨てきれないなと。

だから、自分の最後のインターン生とならば、新卒として採用し、その責任と向き合おうと。と考えました。

これが僕がインターン生を“直接”メンターとして向き合うのを止めた理由です。新卒採用した人に向き合い、デザイナーとして、生き抜け抜くためのスキルと知識を伝え、Uzabaseに入って本当に良かったって言ってもらえるように!がんばります!

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