DSCL METHOD CARDS 「INTERVIEW & ENQUETE -質問調査-」 #07
Cf. 6C MODEL:DESIGN SCHOOL KOLDING, 2014
WHAT:このメソッドは何?
「INTERVIEW & ENQUETE -質問調査-」とは、顧客・利用者・専門家などに質問し、その回答を得ることです。これらは「アイデア発想の源」になりますが、それらを集めて固めただけでは、良いアイデアになりません。
WHY:何のために?
・当事者や第三者の意見を聞き、新しい気づきをえるため
HOW:どうやるの?
1:調査の目的を決める(Research Questionを決める)
2:その目的を達成するために適した、顧客、利用者、専門家に出会う
3:好奇心をもって、質問する。楽しそうにしながら、頷く
4:調査後、Facts(事実)とFindings(発見)に分ける
参照文献
P46|コンテクスチュアル・インクワイアリー(文脈的調査)
P102|インダビュー
P180|プロトコル分析(思考発話法)
P38|トレンド・ウォッチャー・インタビュー
P88|専門家インタビュー
P114|エスノグラフィー・インタビュー
P126|フィールド活動
解説
「INTERVIEW & ENQUETE -質問調査-」は、プロジェクトの対象となる人に会い、質問を通して返答を得ることで、新しい視座を得ることです。インタビューやアンケート作成に関する詳細なやり方は、色々なメディアで解説されていますので、ここでは実体験から得た大切なことを記載したいと思います。
1:リサーチクエッションの重要性
まず、やらなければいけないことは、インタビューやアンケートをする前にリサーチの方針を決めることです。
1-1:私たちは「既に何を知っているのか?」
1-2:私たちは「何を知るべきなのか?」
1-3:私たちは「どうやって見つけるのか?」
この1−3でリサーチの手段として、インタビューやアンケートが適切と判断されて、はじめてリサーチに取り組む必要があります。そして、偏ったデータ収集ではなく、できるだけ包括的なデータ収集がオススメです。また、リサーチと一言で言っても、大きく4つの目的に分類されます。どの目的なのか?を確認した上で取り組み、共通言語でリサーチクエッションをつくることで、リサーチ方針をブレなくできます。
2:感謝と関心
いざ、インタビューやアンケートを対面でとる場合、対象を被写体としてではなく、デザインパートナーとして扱うことが大切です。手土産にちょっとしたモノをプレゼントしたり、インタビュー中ジュースやお菓子を用意したり、事前に用意した質問をただ聞いていくのではなく、本人が面白そうに話していることを深めたりすることで、リサーチ前には想像もできなかった回答に出会うことができます。良いセレンディピティを起こすために、感謝と関心を忘れないことが大切です。
3:図解する、板書する、表現する
色々なインタビュー方法がありますが、僕のオススメのインタビューのコツは「図解」「板書」「表現」に大別されます。図解は、聞き手と記録に別れ、話し手の内容を簡単に図解していくことで、次の話に持ち込むことができます。「板書」は、話し手の発話内容をキーワードでホワイトボードに書いていき、マインドマップのように表出させ、次の話に持ち込むことができます。「表現」は、インタビュー前に粘土やレゴブロックで、リサーチキーワードになるものをつくってもらい、表現物を指差しながら、次の話に持ち込むことができます。
4:「なぜ?」より「どうして?」
「なぜ、なぜ、5回」「5 whys」のような、なぜ?を繰り返すことで思考が深堀りされることは有名ですが、それは自分自身の思考を深ぼる時に有効であって、インタビューで利用してもワークしません。むしろ、怒られているように錯覚しますのでやめましょう。もし、どうしても質問につまった場合は「どうして?」と問いかけることをオススメします。「どうして?」はマジックワードなので、話し手が手段(How)、現象(What)、理由(Why)の全ての選択肢の回答権を得られることができるからです(経験上)。
最後に、インタビューやアンケートは1次情報として利用できます。その情報を「探索型」リサーチで利用するのか、「検証型」リサーチで利用するのか。その用途を間違えるとリサーチはだいたい失敗します。前者であれば、インスピレーション素材として。後者であれば、エビデンス素材として利用することがオススメです。また、アンケート設計は、質問のやり方次第で、回答結果を誘導できます。検証型でする場合は、その恣意性と向き合う自覚が必要です。レポートラインの意思決定レベルの利用であれば、恣意性を高め、純粋なファクト集めであれば、恣意性を下げる必要があります。
参考
STANDARDさんのブログで、現在Aalto大学に留学中の川地さんが書いた下記の記事は、超参考になるので、インタビューをこれから始める人は一読すると良いと思います!
https://www.standardinc.jp/reflection/article/ux-how-to-conduct-user-interview/
DSCL METHOD CARDSについて
DSCL METHOD CARDSは「デザインおばけ」が解説する、誰もがデザインの力を使えるようになることを目指したメソッドカードです。メソッドを読んで学ぶのではなく、絵で見て楽しんで、その意図を掴む。その見立ての役割として「デザインおばけ」が存在します。
DSCL METHOD CARDSは、何をするべきか(Doing)を1コマで描き、直感的に伝えます。「私でもできるかも」と感じ、「やってみたい」から出発する、デザインの道しるべです。
リサーチ・文章:平野友規
https://twitter.com/hiranotomoki
企画・イラスト:大竹沙織
https://twitter.com/otakesaori
制作:株式会社デスケル
https://dscl.jp/
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