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中小企業は社内の周知を集めるために社外人材を活用すべき

私は経営コンサルタントとしてこれまで多くの中小企業の経営に携わってきました。
そこで感じるのは経営者に物を言える存在が少ないということです。中小企業は株主であり経営者であるオーナー経営者が多いです。オーナー経営者は会社において絶対的な権限を持っており、極端に言うと会社における全ての意思決定を下すことができます。従業員の生殺与奪権を握っており、オーナー経営者の意に反する発言をすることが大きなリスクに繋がります。そのため従業員はオーナー経営者の意に反することを言うということはとてもハードルが高い行為です。
オーナー経営者が会社を私物化し、私利私欲に走ってしまう原因もそこにあります。
しかし、そのような私利私欲に走る経営者は論外としても、このような構造が社内の意見を押さえつけ、結果的に成長の阻害要因になっていることがあります。

私は取締役や経営会議に参加する機会が多いのですが、参加メンバーは経営者がこうしたいという意向に逆らうことはあまりありません。意向に逆らうと経営者に嫌われ出世や待遇に影響することが多いと考えるからです。たまに意見を求められても、自分の意思というよりも経営者がどのようなことを考えているのかということを真っ先に考え、その考えにいかに沿った発言をすべきかということばかり考えてる人も居ます。それでは健全な議論になりません。
たまに地方に行くと良く分からないオブジェや博物館、テーマパークがあったりしますが、あの手のものは大体がオーナー経営者の突飛なアイデアを周囲のメンバーが忖度して生み出されたものです。
健全な議論と言うのは、それぞれの視点や立場でその議題に対して考えていることを主張し、そこで意見をぶつけ合うことです。健全な議論を一通りしたあとに、多数決ではなく一番経済的リスクを負っているオーナー経営者が自分の責任で決定すべきです。そうでなければわざわざ高い人件費のメンバーを集める意味がありません。

そうは言っても、自分の立場を危うくして従業員がオーナー経営者の意に反した意見を言えるかというとそんなに簡単なものではありません。やはりそこには資本の論理という大きな壁が立ちはだかっています。
それではどうすべきか?やはり外部人材を活用すべきだと思います。外部の立場として客観的に疑問に感じたことを伝え、経営者の耳の痛いことを言える人材を経営の場に参画させるべきだと思います。私自身、社外取締役や顧問として現在も10社以上の会社の経営会議に参加していますが、経営者からはこの立場になるとそんなこと言ってくれる人が居ないので有難いということを言っていただけることがあります。
前述したような私利私欲にまみれた経営者は論外として、人間的に素晴らしくビジネスセンスもしっかりしている経営者でも時として現場の感覚を乖離することがあります。また他のメンバーの方が経営者よりも良いアイデアを持っていることもあります。そのような周囲の意見を引き出し健全な議論をするためにも、経営者のワンマンショーにならないようにする外部人材が必要だと思います。

しかし、現実的なことを言うと外部人材も経営者に雇われている立場です。経営者に嫌われ仕事が無くなると収入も減ります。そのため、経営者に迎合してしまう外部人材も少なくありません。私自身も、正しいと思うことを言えなかったら自分の存在意義がないと感じながらも、本当に言うべきことを言えるようになったのは、実績と経験を積み、沢山のお客さまに仕事をいただけるようになってからです。外部人材としても遠慮なく発言をするためにはある程度の収入基盤の確立が必要です。

性格的に穏やかな方ですが、時には経営者と激しく議論することもあります。勿論、経営者も否定されることで気分を害します。そんな時も、明らかに間違っていることを言わなかったら自分の存在意義がありませんからとハッキリ伝えることで最終的には分かってくれます。むしろ、そういう一件がその後の飲みの席においても良かった思い出として出てくることが多く、信頼に繋がっていると感じます。

社内の周知を集めて健全な議論をし、会社を成長させるためにも中小企業において外部人材を登用すべきだと思います。

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