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なぜミネラルウォーターの“エビアン”は取水地のフランス・エビアンよりも日本の方が安いのか?
先々週スイスを訪問した際に、スイスとの国境沿いにあるフランスのエビアンを訪問しました。エビアンとはあの有名なミネラルウォーター“エビアン”の取水地です。人口7500人ほどの小さな街でボトリングされ、世界104ヶ国に輸出されているそうです。多国籍食品メーカーダノンがブランドを保有しており、日本では現在伊藤園が販売しています。
エビアンに来て疑問に思ったことがあります。それは何かというとミネラルウォーター“エビアン”の販売価格が日本よりも高いことです。日本でのエビアンの希望小売価格は下記のようです。
・500ml:170円(税別)
(伊藤園HPより)
以前と比べて高くなった気がしますね。資材高騰や為替によるインフレの影響もありそうですね。
それではエビアンの街での販売価格はというと、
・500ml:1.5ユーロ=255円(1ユーロ=170円で計算)
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更にはスイスの街中でもエビアンの価格を調べてみると、
・500ml:3.75スイスフラン=675円(1スイスフラン=180円で計算)
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取水地もボトリングする工場もすぐそばにあるエビアンやスイスの街よりも、はるかに遠くにある日本の方が価格が高いというのはなぜなのか?不思議に思いました。
日本で販売している“エビアン”はもしかしたら他の地域(国内や東南アジアなど)で取水しボトリングしているのではないかと思いましたが、現地ガイドの話ではフランス・エビアンの街で取水したものを世界中に発送しているとのこと。当たり前ですが、輸送コストも掛かりますし、流通業者の数も増えそうです。
なぜミネラルウォーターの“エビアン”は取水地のフランス・エビアンよりも日本の方が安いのか?拙著と同じテイストの疑問です笑
現地で街を歩いている際に一つの仮説が思い浮かびました。
それは、現地の卸売業・小売業が結構な粗利を確保しているということです。
今回スイスで3都市に滞在しましたが、日本のように飲食品を購入できる小売店が少なかったです。
コンビニは無く、営業時間も短い気軽に何か買うということができません。また一部のスーパー以外では店舗も狭く品揃えも少ないです。
つまり消費者として購入の選択肢が少ないのです。
そのような環境がお店と消費者のパワーバランスに影響を及ぼしているのではないかと感じました。
エビアンのあるフランスも調べてみると、コンビニが無くスーパーの営業時間も短いようです。
つまり店舗が供給過剰となっている日本と比較してヨーロッパは小売業が価格決定権を持っており、それが取水地に近くにも関わらず価格が高い理由ではないでしょうか?
ちなみにある清涼飲料水メーカーの方に話によると日本の小売業は飲料ではあまり利益を稼げていないということでした。
同じ場所で製造しているのであれば製造原価は同じなので流通チャネルのどこかで利益を得ていることは間違いありません。
ヨーロッパでは小売業を守るために営業時間含めて様々な規制がありますが、それは小売業者が利益を確保することに繋がっているのではないかと考えられます。