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あなたは人のビジョンの何を評価していますか?

グローバル人材基盤形成教育の受講者が若手・若者の場合、講師としては、上層部や教員との関わりこそが重要だと考えています。教育では、「主体性の確立」の次に「ビジョン意識と行動」です。ビジョンの質を理解し、可能な人は、自分のビジョンを設定し、仲間と共有・表現していきます。

この、表現の場を作ることはとても大切です。「自分の真剣」を知ってもらい、「仲間の真剣」を感じることによって、若者の中に当事者意識が生まれたり、人との心の距離が近くなったり、表現力と聞く力を得たり、自分のビジョンを色々な視点で揉むことに繋がります。より良い社会作りは、若者が仲間の真剣を知ることで加速すると感じます。

たとえば高校の場合、表現の場には、最初は先生が関わることが多いのですが、そこで先生たちが若者のビジョンの「どこを見ているか」が大切になってきます。たとえば、若者はこのようにビジョンを熱く語ります。

「ボクは〇〇が得意なので、それを活かして、食糧問題のない世界を作りたい!」
「パイロットになって沢山稼ぎ、貧しい人でも海外旅行をして異文化に触れられるよう、会社を作りたい!」


一方で、
「家族に恩返しをしたい!」
「自分が育った〇〇市で公務員として、安全な街を作りたい!」
「出世して、金持ちになりたい!」
という人もいます。


大人はつい、「世界」「地球」「世の中」などと聞くと、規模の大きさを評価したくなります。
大人はつい、「自分のことより他者のために生きること」を、美しい心だと評価したくなります。


そうすると若者は、「家族の幸せは願ってはいけないのかな…」「地球規模のことを言わなければ…」「自分のことは犠牲にするのがいいのか…」「お金持ちになりたい、出世したいと言ってはダメなのかな…」と考えてしまうことがあります。


でも、ビジョンに規模も貢献対象も、決まりはありません。本人が考えて抱いたビジョンはすべてが素晴らしいものです。そのことを、大人自身が深く理解し、そこから湧き出る言葉を若者が聞くことが最初は大切です。壮大なビジョンも称賛です。規模的には小さなビジョンも称賛です。


そして、ビジョンや目標があること自体を評価するというより、自分のペースで自分に向き合いビジョンが出てきたことを温かく見守るきもちが大切です。「ビジョンがあって凄い」「目標が明確で凄い」「将来就きたい仕事が既に決まっていて凄い」これも確かにそうです。


でも、ビジョンも目標も、焦って抱くものではありません。捏造ビジョン・即席ビジョンは簡単に抱くことができますが、若者に本当に必要なのは何でしょうか。外的刺激を自由に取り入れながら、内から湧き出る意識で抱くことが何より大切です。そしてそのことは、自分自身が、自分の内から湧き出る意識でビジョンと目標を抱いている大人であれば、説明されなくても体で理解していることなのかもしれません。


人は毎日変化します。若者の変化は速いです。目の前の山に一歩足を踏み入れたり、見失った自信をすこしだけ取り戻したり、メガネからコンタクトに変えたときに、ビジョンを意識し始めることがあります。それは、隣の席の子のスタートから1年、2年遅れていることもあります。でも、スタートが早かった子が何かを成し遂げ、疲れたころ、遅れてスタートした子が世の中を支えていることだってあります。そうやって、世の中は人の存在に助けられて成り立っています。


大人たちは何を評価したくなるのか?そこには、私たち大人が向き合うべき内面的なものが隠れていることがあります。大人自身の主体性の確立が実は教育では最優先なのです。でも、大人もいろいろ葛藤し生きていて、社会を作り、若者を守っていて、すべてがありのままで尊く、価値です。だから、若者の葛藤も、葛藤からの逃げも、やる気のなさも、「別に…特に…」も、ビジョンがないことも、目標を持とうとしていることも、すべてがありのままで尊く、価値です。


結論。評価する対象は、目の前のありのままのすべてかもしれません。この前提を共有した大人が近くにいると、若者は、顔を上げ、道を見つけ、スタスタ歩き、挫折し立ち上がり、仲間に肩をかします。こうして人材基盤形成は後押しされます。


「そんなうまくいく人間ばかりじゃない。どうしようもない社員もいるんだよ」という考えもあるでしょう。そのような考えを抱くのは、多くの葛藤を乗り越えてきた、経験豊富な人です。その葛藤が大きな支えとなるときは、その人たちが自分自身の価値と可能性を改めて自覚し、他者のそれにも気づいたときです。かなと。。

ビジョン教育企画の手引き
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