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有能でありたいと思ってる若い人たちへ伝えたいこと。
今日、あるエピソードを聞いて涙が止まらなくなってしまった。そこまで泣くほどのことではないと思うのだけど、僕の中でピンとしてしまったのだから仕方ない。おそらく、僕の中にも同じ苦しみがあるから共感して涙がボロボロとこぼれてしまったのだろう。
何人かの起業家を目指す子たちの話だ。
ある一人の子は、今、選抜された起業家コミュニティで自信を失っていると人から聞いた。僕はその子のささやかで丁寧なプロジェクトが好きで、そんなに計画的じゃなくて緩い感じで試行錯誤しながらファンを作ってその子が一人どうにか食べていけるくらいになるところから始めるといいと思ってた。だからそうなるような規模感で支えられるように自分ができることをいくつか考えていた。
その子がやりたいことは、自分がそれをやることで周りの人が笑顔になることだという。素敵だ。そのために都心から実家の北国に帰るという。やっぱ素敵だ。とにかく実家に帰って、そこでの暮らしの中で少しずつやれることを見つけて、ご近所付き合いをして、一緒に考えてくれる人、手伝ってくれる人たちと出会っていけばいいんじゃないかなあってフワッと思ってた。計画的すぎるのは何か違うと思っていた。
ところが起業家コミュニティに入ったらしく、そこではとにかくスケールを求められるし厳しい目に晒されるから、それまで温めてきた大切なアイディアが「大したことないもの」に思えたのかもしれない。いろいろ悩んでいるようだ。
僕は「ふざけんな」と思った。
やりたいことを破綻しないでやれたら、それでいいじゃんと思ったからだ。なのに、メンターやチーム内で評価して、弱点を見つけ出して、勝者を決めるみたいなことになってるんだろうな、と。
なんでそんなことしないといけないんだろう。
何で「価値ある自分です」と証明しないといけないんだろう。いつからそんなことになった?
そんなことを(妄想含めて)考えていたら、なんか泣けてきた。世界中で今、下手に向上心があるが故に、理不尽に「私が有能であることの証明」をさせられている若い子たちが無数にいるのかと思うと、もうなんていうか、頭にきた。
そしたら、何人かのこれまであった子たちの顔や言葉を思い出した。
僕にたまに連絡を取ってきてくれる見知らぬ人がいる。もしくは誰かの紹介でZoomで話したりする。その中で「いかに自分は有能か」をアピールしたり、もしくは「僕の知恵で自分が少しでも有利になる方法はないか」という質問を遠回りにしてくる子たちがいる。
僕はそういう時、まず「生意気だなぁ」「ズレてるなあ」「なんだこいつ」とうっすら思って、でもまあなるべく誠実に向き合おうと思うものの、結局噛み合わなくて、お互いにいつの間にかフェードアウトして深い付き合いにはならない。
そのことを思い出して、「なぜ手を離してしまったのだろう」と自分の冷たさにまた別の意味で泣けてきた。あいつら、生意気じゃなくて、あなたにとって私は価値ありますよ、と必死に「言わなくてはならない」というふうに何者かによって思い込まされているだけじゃん、と気づいた。なのに僕はそいつを「生意気だなぁ」思ってしまったわけだ。
ある意味、そいつが被害者だろ?と気づけなかった。
だから僕は、「どこで教わってきたか分からないけど、人と人とよ出会いで大切なのはお前が有能であるということを相手にアピールすることなんかじゃない!」ってハッキリというべきだったのだ。
もしくは「お前が僕のことをメリットがあるかどうかで推しはかろうとしたら、お前はこれからも人とメリットデメリットで人間関係を決める人生になるんだぞ」と食い下がるべきだった。
ごめん、めんどくさくて、手を離しちゃったよ。
本当に申し訳なかった。こっちが大人なんだから、せめて気がつけなくても、いつか思い出すかもしれないから、嫌われようとハッキリというべきだった。
ああ、そんなふうに苦しんでいる若い子たちがどれだけいるんだろう。能力主義、有能でなければいけないというプレッシャー、成功者にならないといけない、有利な選択肢を選べる自分にならなければ損をする、などなど。
そんなもの、長きにわたって自分を苦しめるだけだ。僕の中にもそういうろくでもない気持ちがあるから分からなくはない。だからこそ、伝えられるだけ精一杯正直にいうべきだったのだ。
本当にごめん。
これからは「何だこのおじさん」と思われても、能力主義に偏りすぎてる奴には、「それ本当に君の人生にとっていいの?そうしたいの?」って聞いてみる。物分かりの良いおじさんを演じたり、サーって冷たく距離を置いたりしない。
そしてそういうことで悩んでいる子がいて声かけてくれたときには、しっかりと話してみようと思った。わざわざ苦しい生き方を選ぶ必要なんてないと思うんだよね。当たり前なんだけどさ。でも僕も、ずいぶん損得で物事を考えている時期が長かったな。それが悪いという意識すらなかった。
なるべくそういうの、やめたいね。
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