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【平戸を醸す】飛鸞はどのように地域性を表現しているのか?(酒米編)

飛鸞は長崎県平戸市で醸される日本酒です。平戸に賑わいをもたらすため、長崎県平戸市でしか実現できない唯一無二の酒造りを追求しています。

実は飛鸞では、「平戸の風土」を酒に限りなく反映するため、数多くのことを行なっております。

本シリーズでは、飛鸞が「平戸の風土」を日本酒で表現するために、どのようなことを行なっているのかを、生酛編・米編・酵母・未来編の4つにわたって紹介します。
👇前回の記事はこちら

今回は、飛鸞の酒造りで用いられてる「酒米」にフォーカス。

酒としての美味しさのみならず、地域性という情緒的な価値を表現することで、芸術作品として日本酒を昇華させる。そんな飛鸞の奥深い取り組みに触れます。


平戸で栽培する飛鸞の「酒米」とは?

ーーーはじめに、飛鸞では平戸で酒米栽培を行っているとお伺いしましたが、酒米の品種はどんなものがありますか?
森:現在は、にこまる、山田錦、五百万石、雄町の4種類があります。

契約している平戸の酒米研究会の農家さんに飛鸞の酒米の栽培をお願いしていて、検討会などには蔵元も参加しています。

ーーー検討会とは何でしょうか?
森:追肥といってどの肥料をどれくらい入れるのかだったり、田植えや稲刈りの時期だったり、米づくりの細かい栽培方法について農家さんと話す会ですね。

酒粕を使った循環型農業への取り組み

ーーー農家さんには、飛鸞の意向をどのように反映いただいているんでしょうか?
森:一部では有機肥料を使った酒造りを行っています。その足掛かりとして、酒粕を圃場に戻して、極力肥料を使わない米作りができないかな?と考えているところです。循環型の農業を出来る範囲内で実現しようと動いています。

ーーー他の蔵元を見ても、酒粕を用いた肥料づくりはあまりない珍しい取り組みですよね?
森:全然まだ試しているところは少ないと思います。かなり難しいです。

ーーー酒粕を用いる上で、難しいのは具体的にどういったところなんですか?
森:土壌がどれだけの力を持っているのかを見極めながら細かく数値化を行う必要があります。あと、酒粕はもともと固形なので、圃場に戻しやすくするために調整する必要がありますね。
他の肥料はドローンで均一にまくことが出来ますが、酒粕だけしかやらないとなると、どれだけの栄養分がお米に吸収されるかがまだ未知の領域なので、均一に定量的に行うことが可能なのか、まだまだ研究が必要です。

ーーー酒粕からの肥料づくりによる農家さん側のメリットはどう考えていますか?
森:農業の中にやる意義を見出すことで、農家さんにもやりがいを感じていただけたらと思いますね。農家さんが米作りで生計を立てることは年々難しくなっていると感じています。その中で、平戸で新たなチャレンジをしていくことがモチベーションに繋がったらいいなと考えています。

あとは、将来的に酒粕を使うことで肥料代をカバーし、コスト面にも優しくなるといいですね。酒造りの副産物として生み出される酒粕をまた酒米栽培の肥料に使うという循環型農業を目指しています。

平戸で米づくりをする必要性

ーーー飛鸞では平戸での米作りを大切にされていますが、なぜ地元平戸でお米から作る必要があると考えていますか?
森:やはり、「平戸の風土」を反映した酒造りを実現するためには、地元平戸の酒米を使うことに価値があると考えているからです。

お米って環境だったり、気候に左右される部分が非常に多いので、栽培地域によって酒米の種類や適正があります。例えば、兵庫県は山田錦、岡山は雄町が有名ですよね。

お米にも等級があり、特上のお米と2等3等のお米ではつくりやすさも味わいの出方も全く変わってくるのは間違いではありません。そういった背景から、有名な産地の等級の高いお米を買って酒造りをする蔵が少なくないんです。

飛鸞では、お米の品質的には等級が落ちるかもしれないですが、平戸で醸す酒の酒米から平戸で栽培することで、酒としての美味しさのみならず、地域性という情緒的な価値を表現することに意義があると考えています。

ーーーとはいえ、暖かく海に近い平戸での酒米造りは簡単なものではないですよね。難しさを感じるのはどういったところでしょうか?
森:品質を担保することでしょうか。平戸は暖かいので、昼夜の寒暖差が起きづらく、高温障害を受けやすかったり、自由に水が使えずに水不足が起こったり、平戸の気象状況は酒造りに向いてないのではと思う時もあります。

必ずしも適正度が高いわけではなく、お米の収量数が多いわけではないですが、飛鸞の目指す世界感を表現するために平戸での酒造りには今後も力を入れていきます。

平戸の風景

味わいを担保するために、毎年兵庫県の特A地区の農家さんにお越しいただいてお米を見ていただいたり、自分でも特A地区の圃場に伺って米作りを勉強させていただいています。

飛鸞が描く理想的な米づくり

ーーー最後に、これからの展望としてはどんなことを考えていますか?
森:まずは、自社田をちゃんとつくりたいです。耕作放棄地が増えていく中で、酒米研究会だけでそれを行うのは非常に難しいですし、農家の方々も高齢化が進み負担が大きくなっていくと思います。そこを飛鸞として受け入れて体制を整えていきたいですね。

にこまるに関しては、このロットはこの生産者にお願いするなど、生産者に紐付けされているので、どこの圃場から生まれたお米かわかる酒造りも今年からスタートしています。

ーーー飛鸞オリジナル酒米を作りたいと以前伺いましたが、開発にはどのくらいの年月がかかるのでしょうか?
森:10年はかかると思いますね。。そのくらい品種改良に時間がかかります。イメージしたお米が、醸造適正、栽培適性のどちらも兼ね備えているかを見る必要があります。

ーーーオリジナルの酒米を作るならどんなものを作ってみたいですか?
森:にこまるを活かしてベースにした酒米を作ってみたいです。ストーリー性を重要視したいので、飛鸞の看板酒にも使用しているにこまるをイメージしています。

ーーーありがとうございます。いつまでに作ってみたいというイメージはございますか?
森:40代のうち(約10年後)には、全て軌道に乗せられるようにやり切りたいですね。飛鸞オリジナル酒米を平戸で醸すことが出来るように頑張ります。

「飛鸞」は全国の飛鸞販売店で販売中

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飛鸞は、国内だけではなく世界に羽ばたいていくブランドを目指しております。そのため、今まさに『人の力』がより重要になる段階に差し掛かっています。

私たちの目標は、モノづくりを楽しみながら、飛鸞というブランドを成長させていくことです。10年後、20年後には、より素晴らしい景色を皆さんと共に見たいと考えております。

飛鸞を通じて、日本酒の価値を高め、業界の常識を変えていけるような酒造りを実現できればと思います。そのために、私たちと一緒に新しい挑戦を楽しみ、共に成長していける方をお待ちしております。ぜひ、奮ってご応募ください。

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