森 雄太郎が見据える「蔵開きの未来」
今回の記事では、2024年5月25, 26日に行われた、飛鸞 森酒造場の「蔵開き」についての振り返りとその未来について、森 五代目蔵元杜氏に話を伺いました。
蔵開きの振り返りから、飛鸞が、平戸を拠点にどういった未来を描くか、その展望に触れてゆきます。
2024年の蔵開きについて
ーーー今回の蔵開きの感想をお伺いさせてください
森:まず、人が多かったことが本当に良かったと思います。たくさんの方に来ていただいたおかげで、イベントがすごく盛り上がりました。
私たちもそう感じましたし、出店してくださった業者の方々も、例年以上に売れ行きが良かったみたいで、商品を補充するために一度戻られた場面もありました。
そういう意味で、このイベントは地域の皆さんにも喜んでいただけたんじゃないかなと思います。
たくさんの方が来てくれたおかげで、出店業者の方々も私たちも、やりがいがありました。サービスの質も上がって、結果的にとても良いイベントになったと思います。
加えて、県外からもたくさんの方が来てくれていました。ホテルに1泊して、次の日に平戸まで滞在された方もいらっしゃったようです。
次の日は少し雲行きが怪しかったですが、それでも観光を楽しんでくれた様子をSNSで見かけました。平戸の魅力を感じてもらうことができたと思いますし、イベントの価値も少し高まったのではないかと感じています。
ーーーそういう意味では、飛鸞のビジョンでもある「平戸に賑わいをもたらす」ことが今回のイベントで実現できたのでしょうか?
森 : いや、まだまだこれからですね。本当に最初のステップといったところです。ただ、一歩一歩確実に進んでいる感じはありますね。
ーーー今回の蔵開きでは何人くらいの方が来られたのですか?
森:実は人が多すぎて、その対応で正確に参加者数を数えることができなかったんですよね笑
でも、お酒を飲んでいた人だけでも多分1000人くらいで、全体では1000人以上は超えていたと思います。確実に去年より多かったですね。
また、限定販売のお酒はすぐに売り切れてしまい、大変多くのお客様にお買い求めいただきました。絆 雫絞りなどの限定酒は価格が1万円近くするのですが、そういった内容でも大変多くの方にお買い求めいただき、本当に有り難いと感じております。
ーーー飲み比べの提供に関しては、私もお手伝いさせていただいたのですが、東京都内の日本酒イベントと同じぐらいかそれ以上の盛り上がりで驚きました。
森 : 忙しかったですよね?本当にありがとうございます…
ーーーすごかったですね笑、昨年と比較しても、2倍ぐらいの人数の方がいらっしゃていました。
森:そうですね。初日は快晴でしたし、二日目も雨は降りませんでしたから、天気に恵まれたのだと思います。
昨年は地元の他のイベントと重なっていたこともあって、多くの方に立ち寄っていただきましたが、今年は我々のイベントだけでこんなにたくさんの方に来ていただいて。ご来場いただいた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
例年とは異なる2024年の蔵開き
ーーーなぜ多くの方にお越しいただけたのでしょうか?
森:そうですね、一番の要因は飛鸞のブランド力が上がっているのだと思います。認知度が高まっているので「一度は平戸に行ってみたい」と思ってくださる方が非常に増えているのではないでしょうか。
ただ、一方で課題もあります。「また来たい」と思ってもらわないと、来年以降はお越しいただけません。例えば「限定酒が買えないじゃん」となったら、また来たいとは思っていただけないでしょう。
そういった意味では、限定酒などはお買い求めしやすいよう、多くつくるべきでした。この点は今回の反省点ですね。
しかし、どれくらいの方がいらっしゃるのかが不透明な分、量が多すぎても問題なので、そのバランスが難しいところです。でも今回は在庫が少なすぎたかもしれません。
また、事前にメディアで発信できたのは大きかったと思います。やっぱり期待感がイベント直前でより高まっていたと実感しております。
飛鸞におけるイベント限定酒の意義
ーーー限定酒に関しても、昨年と比べラインナップが非常に充実していたと思うのですが、その理由をお伺いしたいです。
森:そうですね、今回に限った話ではありませんが、各イベントごとに特別なお酒を出していて、それぞれのイベントで被らないようにしています。
お客様の視点で考えると、各イベントで限定酒がないと意味がないんですよね。いつも買っているものが出ているだけなら、わざわざイベントに行って買う必要はないですから。
我々も人間ですから、金銭的な勘定もしますよね。「イベントって正直、割高だよね」と。
お店でも買えるお酒をわざわざイベントで割高な形で飲む必要があるのかと考えてしまいます。本来考えなくていいところを考えちゃうんですよね。
シンプルにイベントをお楽しみいただくためにも、イベント限定のお酒を出した方がお客様にも喜んでいただけるのかなと思います。
蔵開きから考える平戸観光事業
ーーー今回のイベントの反省点などはございますか?
森:そうですね、お酒だけ買われてすぐに帰られてしまった方が多かったですね…
飛鸞のビジョンは「平戸に賑わいをもたらす」ことで、どうやって平戸観光をイベントと組み合わせるかを工夫したいと思っています。次の日まで滞在してもらい、平戸に一泊は泊まってもらえるようにしたいですね。
ただ、イベント中はイベント自体を楽しみたいお客様が多いので、そこから自然に平戸観光に繋げるのが難しいポイントです。
実は、ホテルや観光協会と連携して平戸を案内するバスガイドツアーを考えています。
バスガイドさんの案内と共に、平戸の歴史と風景を楽しめるようなツアーなら、ご自身でお車を運転して遠出する必要もありませんので、お酒を飲んでいても平戸の島全体を観光することができます。
ただ、それをどうやって蔵開きに組み込むのか、運営方法や金銭的な面も考えないといけませんね。
ーーー飛鸞のビジョンとしては、お酒造りに特化するのではなく、平戸全体を盛り上げていきたいという考えがあると思うのですが、そういった視点で今後やってみたいことなどはございますか?
森:まずは酒蔵ツーリズムを将来的にはやりたいと考えています。そこが第一歩ですね。
観光業を行うことになる訳ですが、どこまでやるかがポイントで、あくまで自分たち中心、森酒造場がやっている活動の延長線上でやりたいと考えています。
完全に独立した観光業をするわけではありませんが、酒蔵ツーリズムの中で、平戸を通じて飛鸞をより深く楽しんでいただきたいと思います。
例えば、青天や彩道などの名前の由来になった場所に案内したり、森酒造場のテイスティングルームでペアリング体験をしてもらったり、蔵の中を案内するツアーなどを考えています。
40代のテーマとなる酒蔵ツーリズム
ーーーオーベルジュなどの施設をつくる計画もあったりするんですか?
森:具体的な計画はまだありませんが、将来的にはおそらく実行に移すと思います。
ただ、それは酒造りが落ち着いてからですね。ある程度の生産量に達して現場を任せられるようになり、オーベルジュを任せられる人材が揃ったら考えたいなと。そこは40代のテーマかなと思っています。
30代はやはり酒造りに集中し、飛鸞のブランドを押し上げていくことが重要です。
常に需要があるブランドであり続けることが大切です。イベントや酒販店様、飲食店様でも常に求められるようなブランドでありたいと思います。
その次のステップは、平戸にどれだけ賑わいを生み出せるか、人を呼び込める企業になれるかだと思います。
そう考えると、平戸に来てくれる人が増えても受け入れ先がないという問題を解決しないといけません。オーベルジュもその一環ですが、来る理由や目的を作るという意味で、そういった事業もやっていきたいと思います。
地域の魅力度を上げる企業として取り組みたいですね。
お酒はあくまで営業マンとして、外にどんどん出ていって、平戸に多くの人々を呼び込んでもらう。
ただ、平戸に来ていただいても、その魅力を体験できる方法やサービスがなければ、せっかくの素材を活かせない状態になってしまいますので、40代でその点を強化していく流れになると思います。
ーーー今回の蔵開きは、そういった未来のための第一歩になりましたよね
森:そうですね、次は、イベントに来てすぐ帰られる方々に、どれだけ平戸を楽しんでいただくかを、より考えないといけないですね。
正直、今回の蔵開きがうちのキャパシティの限界でした。
行列も外でも中でも並んでいて、その時間が非常にもったいないなと感じましたし、他にも、飲み比べをした後に「買いたい」と思っても、すでにお酒がない。そういった状態は避けたかったです。
実は、平戸の市長や議員の方が蔵開きに来てくださって、来年は「森酒造場の目の前の道路を歩行者天国にしよう」という話も出ています。
そうなれば、またやり方も変えられるのかなと思っています。
ただ、それもとても大変で、交通整理なども全て森酒造場で行う必要があるため、人員的にも限界があります。
ーーーそういった意味では、今後採用も重要になっていきますよね。
森:そうですね。今後、採用についても積極的に募集していきたいので、メディアでも情報を発信していきたいと思います。
ーーーそれでは、最後に読者の方へのメッセージをいただけますでしょうか?
森:飛鸞のこれからの魅力をもっと伝えられるように、楽しんでもらえるような循環を作っていけるよう、みんなで頑張っていきますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします!
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