【事前準備・スイム編】IRONMAN World Championship NICEレースレポート
2024年9月22日
フランス・ニースで行われたIRONMAN World Championship NICE に出場してきました。
IRONMAN World Championshipは、世界各地で行われるIRONMANレースにて各年代別上位に与えられるスロットを獲得した人が出られる大会です。
わたしは昨年アメリカ・コナで行われたIRONMAN World Championship KONAを
9時間53分、年代別(30-34)で7位入賞し、
ここで翌年の世界選手権であるNICEの出場権を得ました。
実はこの昨年のコナでIRONMANプロカテゴリーへの登録基準も突破していましたが、自分の中では「プロ登録を考えるのはエイジグループの世界選手権の表彰台に立ってからだ。」という強い気持ちがあり、2024年はプロ登録せずにエイジグループで戦うことにしていました。
.......
ニースが終わり、帰りの飛行機でレースレポート5割ほど書き進めていたものの、帰国してから仕事もプライベートも慌ただしく(翌週は67歳母の初トライアスロンレースデビューなどもありました!笑)、レポートから遠ざかってしまっておりました。
いつも応援してくださっている方にレースの様子をお伝えするためにも、今後NICEへ出場される方へ少しでも情報をお届けするためにも、なんとか頑張って書いていこうと思います。
はじめに
私は、フルタイムワーカーとして
スポーツとは全く関係のない仕事(医療関係)をしながらトライアスロンで世界を目指す、市民トライアスリートです。
水泳も自転車も陸上も、全くの未経験。
幼少期は小学校で少年野球と、中学高校ではソフトボールをやっていました。
2017年5月からフルマラソン、
2018年8月からトライアスロンを始め、
2020年10月にIRONMAN70.3の世界選手権への出場権を獲得。
現在はIRONMAN世界選手権での表彰台を目指してトレーニングをしています。
日々のトレーニングや食事については
Instagramで毎日更新しています。
目標設定
改めて、私の今の目標は
IRONMAN World Championship(IMWC)で年代別表彰台に立つことです。
今回のIMWC NICEで定めた目標は下記。
・年代別表彰台(5位以内)
・タイム10時間25分以内
Swim 1:05:00(1’42)
Bike 6:00:00(30.0km/h)
Run 3:10:00(4’30/km)
・プロカテゴリー登録基準突破
(世界選手権の場合、1位のプロ選手から118%以内のタイムでゴール)
これらはパッと見、かなり明確な目標のように見えるかもしれませんが、実はかなり曖昧な目標でした。
順位は他の出場する選手によってどうなるか分からないですし、プロ選手とのタイム差も未知数。
KONAとも異なるヨーロッパ勢が参加するレースでどうなるのか、もちろん運も関係してくる目標になります。
タイムに関しても予測がかなり未知数。
Bikeコースが獲得標高2400m強で、登りも下りも数値以上にかなり難易度の高いコースレイアウト。
2023KONAのバイクタイム5:17:42(34.19km/h)に45分ほどをプラスした時間を見込んでみました。
ルーシーの2023KONAと2024NICEのタイム差が45分くらいだったので、あくまでも参考程度に。
ただ、これはバイク自体の登り下りの得意不得意や、3種目のパワーウェイトに応じて変動しやすいので、人と比べて自分のバイクタイムを予測するのは困難です。
なので、登りはFTPの8〜9割で抑えて絶対に踏みすぎないこと、下りは安全に下ること、それをとにかく徹底してバイクフィニッシュタイムは気にしないことにしました。
※直近のFTP値(2024.8.22 20分間測定値)
20分間220w、FTP209w、PWR約4倍
(膝の怪我の影響で昨年のKONAより10wほど低いです。)
リザルト
■順位
総合 75位/ 1,138人中
エイジグループ総合 41位 / 1,101人中
エイジカテゴリ(30-34)16位 / 172人中
■タイム
総合タイム 10:49:50
Swim 1:02:52 (1’39/100m)
T1 3:52
Bike 6:18:54 ( 28.5km/h)
T2 2:53
Run 3:21:18 ( 4’46/km)
上記で述べた目標にはどれも届かずでしたが、今の自分の出せる力を100%出すことができ、多くの反省はありながらも良いレースができたと思っています。
めちゃくちゃ楽しんで、めちゃくちゃ苦しんで、いろんなものを得られて、本当に出てよかった。
特に最後のランは、あの展開からよくこのタイムで走ることができたと、自分でも自分を褒めてあげたいタイムです。
詳しくは種目ごとに後述していきます。
遠征スケジュール
今回はIRONMAN World Championshipに何度も出場されている大先輩であるみきてぃさんと、その応援団の方々に混ぜていただき、遠征してきました。
みなさま本当に暖かく、力強いサポートと応援をいただき、本当に感謝しています。ありがとうございます。
行って良かった場所やレストラン、ニースでの過ごし方、事前準備など、細かい旅路については別レポートでまとめようと思いますので、ここではスケジュール概要を簡単に。
今回は9/22(日)のレースに合わせて、6日間の有給を取りました。
4月から部署異動で勤務地も変わり、仕事内容も企画広報系からMRという真逆の仕事内容?
慣れない仕事かつ学ぶことがありすぎてバタバタな上半期でしたが、昨年よりも休みは取りやすく、職場の方々もトライアスロンのことを理解・応援してくださっていて本当にありがたいです。
快く送り出してくださり本当にありがとうございます。
(トラッカーまで追ってくださっていました😭🙏🏻)
スケジュール概要は下記。
9/16(月祝)夜便でニースへ(ヘルシンキ乗換)
9/17(火)昼前ニース着、バイク組み立て
Swimレース受付
9/18(水)朝8時 Swimレース1.9km参加
アスリートチェックイン
調整Run6.7km、Bike10km
9/19(木)車でBikeコース試走180km
この試走でコースの印象が変わった。
全コース走って本当に良かった!!!
運転してくださったスーさん大感謝😭
9/20(金)Swim試泳800m
Bike試走32km
Run刺激入れ1000m+ws
Athlete Briefing(競技説明会)
Welcome party
9/21(土)Swim試泳600m
ギア・Bikeチェックイン
9/22(日)レース当日
9/23(月祝)Award party
リカバリースイム
9/24(火)昼前の便で羽田へ(ヘルシンキ乗換)
9/25(水)お昼すぎ羽田着
9/26(木)朝から仕事・通常運転
9/28(土)母のトライアスロンデビュー!笑
▶︎プレスイムレース
レース4日前に開催されるSwimレースに参加しました!
参加費は35€。
レース当日のコース半分を泳げるレースで、レースコンディションを確かめるには最適でした。
この日の水温は23℃で、レースであればウェットスーツ着用可能な水温でしたが、レース当日の水温がなんとも言えないところだったのでスイムスキンで参戦。
ウェットスーツ着用の方が私は得意なので、苦手な方をチョイスした方がいいかなというのと、スイムスキンの場合の身体の冷えなども確認したかったので。
この日は風もなく、波も穏やか。
水温の低さは泳いでいる最中は気にならない程度。
透明度も高く、海の色がとにかく美しく、とっても楽しいスイムでした。
この日は1’45/100mペースで完泳。
アンクルバンドつけたけど、タイムは測ってないっぽい?スタートもゆるゆるで、特にリザルトとかはありませんでした。笑
▶︎現地での調整
レースまでの期間はできるだけ環境に適応できるよう、疲労を溜めない程度に外に出て身体を動かすように過ごしました。
水感を高めるために、スイムは出来るだけ毎日海で泳ごうと思い、バイクコース試走の日以外は毎日海へ。
ニースは毎日天候がかなり変わるので、毎日泳いでいろんなコンディションを試せたのは良かったと思います。
風が強くなると波が出てくるし、雨上がりは濁って視界が悪い。
水温的にウェットスーツの可能性が高くなってきたので、ラスト2日間はウェットで試泳。
晴れの日は8時をすぎると結構眩しくなったので、スタート時は暗くてもゴーグルはミラーの方が良さそうだなとか確認しながら。
バイクは2回、少し坂を登って筋肉に刺激を入れて。
ランもレース2日前に速いペースで刺激入れ。
ランは1000m×2の予定でしたが、ラン前に予定よりバイクを長く乗ったので疲労を考慮し1本に変更。
動きも悪くない。良い感じ。
▶︎前日セッティング
前日は朝軽く海で泳ぎ、ギアチェックインへ。
この日はものすごく風が強く、バイクラックにかけたバイクが煽られて落ちてしまうほど。
わたしがバイクをセットしている15分くらいの間に、近くのバイクが3回も落下していました。
バイクラックも絶妙に掛けづらい高さと太さで、ハンドルをかけようにもパイプが太くて両ハンドルはかけられない。
サドルだけでは不安定すぎて危険だったので、養生テープでぐるぐる巻きに。
ギアバッグもメッシュバッグの中にビニール袋を入れて雨が降っても濡れないようにしておきました。
袋二重にするとトランジションでアイテム出しにくいかな?と心配だったけど、結果的には脱いだものを入れるのと、身につけるものを出すのを同時にできてとても使いやすかった◎
夜は20時くらいにはベッドへ。
しかし緊張と不安でなかなか寝付けず、脳内はずっとレースのシュミレーションをし続けてしまう。
このレースに向けて、かなり明確に目指したいところを定め、さらにそれを公言していたことで自分自身に相当なプレッシャーをかけていました。
8月に入ったくらいからずっとピリピリしていて、心身ともに余裕がなく、しょうもないことでイライラしたり。
9月の佐渡が終わってからはいよいよレースが迫っている中でさらに不安がつのり、毎晩のように泣きながら眠っていました。
これほど不安を抱える夜も、今日で終わりかな、なんて思いながら。
レースのことを考えすぎたらいつまでたっても寝れない、ダメだ。
そうだ、羊の数でも数えてみようか。
羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、、、
羊のことを考えているうちに、脳内は大好きな「ひつじのショーン」に移り変わり、あのBGMが流れ始める。
ひつじっのショーン♩
ひつじっのショーン♩
転んでも ただじゃ起きないさ〜
タララッタッタ〜
前にすすっメェ〜
ひつじのショーンさっ
メェ〜
ひっつじのショーンさっ♬
こんな歌詞だったかなぁ?
オープニングのあの映像を思い浮かべて
少しクスッとしてリラックスでき
夜中1時くらいには眠れたと思います。
ありがとう、ひつじのショーン。
大事なレースの前はだいたいいつも眠れないので、眠れなくてもあまり気にしない。いつものこと、いつものこと。焦らない。
▶︎当日朝
7時37分スタートなので、スタート3時間前の4時半朝ごはんの計画で、4時ごろ起床。
お餅3つと味噌汁とバナナを食べて準備。
トランジションエリアは5:15オープン、7:30クローズ。
朝は寒いのであまり早すぎず、でも何かバイクにトラブルがあったら対応できるように1時間くらいの時間の猶予は持とうと思い、6:00頃からバイクセッティングする計画で、5:45くらいに宿を出発。(会場まで徒歩10分ほど)
しかしトランジションエリアに入るためのセキュリティチェックが今回かなり厳しくて、大行列に。ここで15分くらい並んで待ちました。
ヨーロッパはどのIRONMANもセキュリティ厳しいのかな?
少なくともニースの場合は少し早め行動が吉かと思います。
無事セキュリティゾーンを通過し、バイクセットへ。
両隣がディスクホイールで少しビビる。
✔︎テープ、ラップ類外す
✔︎タイヤパンクチェック
✔︎空気入れる(会場のポンプを使用、数少なめ)
✔︎パンク修理用の電動ポンプセット
✔︎ギア変換問題ないかチェック
✔︎補給ボトルセット
✔︎パワーメーター接続・校正
✔︎サイコンスタート画面セット(コースガイド画面に)
ポンプは会場のものを借用。
数は少なくて探すのに結構遠くまでいった。
順調に準備でき、スイム待機ゾーンでトイレに並ぶ。10分くらい並んだかな。
この待ち時間で旦那氏とスタート前最後の電話。
最初テレビ電話にしたんだけど、周りの雑音で声聞こえないし、顔を見ると泣いてしまうのでダメだった、、、!
「大丈夫だよ、大丈夫だよ」と励ましてもらい
「ちゃんと生きて帰ってくるから、待っててね」と約束してスタート地点へ。
危険が伴うトライアスロン。
特に今回のような海外遠征で初見のコースでは、言い方は極端かもしれませんが、毎回死を覚悟してレースに挑んでいます。
コースに対する不安と、目指すところに対する不安とプレッシャーを抱えながら、半泣き状態でスタートラインに立ちました。
Swim 1:02:52(1’39)
エイジ23位/172人、総合121位/1,138人
スタート前の試泳は無し。
誰もしてなかった、というか当日試泳のシステムがないのか?
エイジグループごとに列に並び、スタート3分前くらいから海に入って20mくらい進んだ場所からのフローティングスタート。
レース当日朝の水温は22.1℃でウェットスーツ着用可能なスイムになりました。
昨日に引き続き風があり、海のコンディションはニース入りしてからいちばん悪かった。
波が少し高めで、ブイも左右にズレていて、プロのスタートも少し蛇行しているように見えました。
さぁいよいよスタート。
海に入ってやっと、「よし、楽しもう!」のマインドに切り替えられた感じ。
号砲と共にGARMINのスタートボタンを押して泳ぎ始める。
海外選手の泳ぎはかなり力強く、スタートからバトルが凄まじい。
波もありブイも見えにくいので全体的に蛇行していて人とすごくぶつかる。
とにかく最初は必死でピッチを上げて泳ぐ。
500mラップで8:20を超えないように泳ぐ目標だったものの、いつまでたってもGARMINのラップが鳴らない。
嫌な予感がして手元を確認すると、スタートボタンが押せていない!!!
やばい、いまどのくらい泳いだんだろう。
これじゃトータル時間も分からなくなっちゃうな。どうしよう。
10分くらい経った?15分くらいかな。
焦りながらとりあえずスタートボタンを押して泳ぎ続ける。
スイムアップしたところにタイム掲示とかあったかな?そこでスタート時間からの経過を見ればいいのか?
このあとどうしたらタイムが分かるのか、腕と一緒に頭も必死に動かす。
そんなこんなで最初にとれた500mのラップが8:45。あれ、遅いな、やばいか?
ブイがとにかく見にくくて、多めにヘッドアップする。
周りの人も安定していない様子なので、人に着くもの難しい。
次のラップも8:45。
一往復めを折り返して岸に向かう方面になり、8:36。
なるほど、海のコンディション悪めかな?
ならばしょうがない、冷静になろう。
落ち着いて良いフォームで泳ぐのが大事。
前のウェーブの人たちもいるため、折り返しのブイ付近はかなり人が混雑。
GARMINのボタンもぶつかって押されてしまって一時停止になってしまって再開したり。
後半の残り1500mくらいのところで、後ろのウェーブの速い人たちに抜かされ、「ここ頑張りポイントだ!」とその人たちに着いていく。
500mくらいしか着けなかったけど、この人たちのおかげでリズムを取り戻すことができ、ペースを上げてスイムアップ。
スタートが遅れたわたしの手元の時計では53分。
もし+15分だと結構タイム悪いな、スイム失敗したかな、、、と焦りながら岸へ。
ニースの海岸は石なので、足場はかなり不安定。海岸沿いではボランティアさんが引っ張り上げてくれるのでものすごく助かりました。
わたしはここでひと転けしてからトランジションエリアへ。
スイムアップしてタイム掲示板みたいなのを必死で探すものの、どこにもない。どうしよう、時間わからない。
チェンジングテントでボランティアさんに「いま何時ですか?」と聞くと、8:40と時計を見せて教えてくれました。(助かりましたありがとうございます!!)
ん、8:40?
7:37スタートだから、1:02:30くらいで泳いだってこと?
んん?スイム速くない??
500mのラップ遅かったけど?むむ?
海のコンディションも悪かったし、速く泳げた感覚もなくよく分からない状態だったけど、見せてくれた時計を信じて進むことに。
押せてないスタート直後の部分がだいぶ速く泳げていたのかな、、、?
まあスイム中のGPSはあんまり信用しない方が良さそうだな笑
T1でやったことは
ウェットスーツを脱いで
ヘアバンドつけて、ヘルメットかぶって
バイクシューズと靴下は手に持ってバイクラックまで走る。
焦りすぎて手に持ったバイクシューズを走りながら2回も落とす。
落ち着け落ち着け。
ラックについてから靴下とシューズを履いて、乗車ラインへ。
(ビンディングシューズ履いて走るのはやっぱり走りにくいな、飛び乗り練習しよう)
T1のタイムは手元で4分。(実際3:53)
スイムと合わせて目標タイムより4分ほど余裕を持ってバイクスタート。
バイク編へつづく。