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おもかさま-2023年6月14日の日記

 3時30分起床。静かな朝方のうちに日記を書き、スクーリング課題の続きを行う。スクーリングでは障害者の生活に正負の影響を与えた思想について、優生思想や社会防衛思想、ノーマライゼーションなどが取り上げられ、掘り下げていった。

 その中で担当の先生から「ピアサポート」といって当事者同士が支え合う重要性についても話があった。わたし自身も「当事者がどう生きるか」に関心があり、当事者が複数集まることで選択肢が複数あることを知ることができると考えている。

 スクーリングで学んだように、社会からの差別や偏見を打破していくために、国や国民にソーシャルワーカーが働きかけていくだけでなく、当事者が望むことに向けて、当事者であるたったひとりの自分の選択や生き方が周囲や社会に影響を及ぼしていくことができる。生きていくなかでの「わたし」の小さな選択が、どういう力を持っているか、いつも心に留めておきたい。

 それにしても、スクーリングの疲れがまだ取れていない。仕事前に仮眠を取る。午後は勤務。今日は家事支援スタッフのOさんが来る日なので、近所の生鮮食品店で買い物をして帰る。Oさんが料理をしている間、ソファに寝転がってウトウトする。夕食は、ギョーザ、卵入りのポテサラ、白ごはん、インスタントスープ。人に作ってもらった料理はおいしい。

 石牟礼道子『椿の海の記』を読んでいる。「海と山と川と暮らしが、不可分のものとして」続いていたころの水俣を「まだ人界に交わらぬ世界の方に、より多く」棲んでいた幼いみっちんの視点で描いた作品。

 まだ「もやい」といって村の人が共同で田植えを行う慣習があったり、ハンセン病の人が隠れるように暮らしていたりする当時の風俗が豊かな語彙で描かれる。まちには遊女や、「神経殿(しんけいどん)」と呼ばれていた今でいう精神障害者たちもいる。みっちんの祖母である「おもかさま」は神経殿で、みっちんは「いずれ自分もおもかさまのようになるのだ」と思い込んで生きている。

 自分の暮らす地域の風俗をこんなふうに綴ることが、延岡に住んでいるわたしにはできるだろうか。

 22時30分就寝。

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黒木萌
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