「土に呼ばれて」番外編~畑日記①蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
畑をやることにした。それに伴い、「土に呼ばれて」という月1連載をしている。その一方で、日記を書き溜めており、それを今回noteやほかのSNSに載せていくこととした。
ちなみに日記は3月6日の畝づくり、種まきからはじまっており、それまでの経緯は「土に呼ばれて」1、2を読んでもらえたらうれしい。
ではさっそく!
3月6日 畑1日目 畝づくり、種まき
いよいよ畝づくりだ。1.8m長さの畝を3つつくる。メジャーで1.8mを測り、それに沿って土を掘る。掘った土を右に積んで畝にしていく。
今日も風が強い。土がけっこうブロック状になっており、これで大丈夫だろうかと不安に思いつつ「ま、いっか」ととりあえず進める。
息子は近くで寝転んで何かを見ている。1時間ほどで3畝ができた。
まずタネイモを植える。種類はメークインにした。ねっとり感が好きなのだ。30cm深さのところに埋めると本に書いてあるが、30cm掘るのはなかなか大変だ。25cmほどで「ま、いっか」と子を呼び、タネイモを土中に下ろしてもらう。土をかぶせる。
次はラディッシュの種まきだ。赤丸はつかという種類にした。支柱で土に1cmくらいのくぼみをつくってそこにすじまきにするのだが、土がブロック状なのでくぼみが分かりにくい。三度目の「ま、いっか」だ。撒いたら薄く土をかぶせる。
最後にミニニンジン。種は緑色をしている。これもすじまきにするのだが、光が当たらないと発芽しないらしく(好光性というらしい)ごく薄く土をかぶせる。水やりをしておしまい。
途中で友人家族がやって来た。子どもたちは夢中で鬼ごっこをしている。畑に入って種をまいたところを踏まれたのは少しショックだった。
顔を上げると、雲ひとつない空の下、向こうの方に山が広がっている。いいところだ。
水やりについて、どのくらいやればいいのか、いつやればいいのか分からず、雑談がてら母に聞く。まだ朝夕は寒いので、日中暖かいときの方がいいのではとのこと。夏になったら根腐れするので涼しい朝夕かなと。明日からさっそく毎日通う。
おまけ。子どもたちの作品。草の瓶詰め。
3月7日 畑2日目 ヒバリとの出会い
曇り。歩いて畑へ。じょうろを持って住宅街を歩く。我ながらシュールだと思う。
到着すると、ポンプで地下水を汲み上げ、じょうろに入れる。畑に行って見ると、まだ少し土が湿っているようだ。坂口恭平が『土になる』で土に指を入れていたのを思い出し、入れようとするが、土が硬い。こんなに硬くて育つのだろうか。
友人の畑もいっしょに水やりをし、畑を後にする。道路から畑を見るのと畑の中に入るのとでは、見える景色が全然違う。
帰り道、ヒバリに遭った。空の高いところを舞いながらさえずっていた。
畑に行って水をやり、帰宅するまで往復50分。「少し遠いな」「歩くの面倒だな」と思いつつ、ふと父方の祖母のことを思い出す。どこへ行くにも自分の足で歩いていく人だった。私も歩こう。自分のからだは自分で運ぼう。時間がないときは自転車で行こう。そうだ、自転車のサビ取りをしなければ。
3月8日 畑3日目
晴れた。昨日より日差しが暖かく、風も冷たくない。日に日に春になっている。今朝はどんより落ち込んでいたけれど、春の日差しのなかを歩いて畑に向かっていたら、元気が出るまではいかずとも平穏な心持ちに。
友人のアドバイス通り、ジャガイモには今日は水はやらず、ミニニンジンとラディッシュにだけ水やりする。ラディッシュもあまりやらなくてよいそうなのだが、ミニニンジンに水やりするとラディッシュにも水がかかる位置関係に植えてあるのだ。
今日は往復50分があっという間だった。
3月9日 畑4日目
晴れ。風が強い。畑の日記に「風が強い」とよく書いている。この季節はそうなのか、今年がそうなのか、今まで気をつけていなかったので分からない。
住宅街を抜け、田畑が広がる場所に出ると、一気に自然が広がる。鳥の鳴き声がする。先日ヒバリに遭ったと書いたけれど、ほんとうにヒバリなのか、いまいち自信がない。
友人が教えてくれたサントリーの鳥百科で調べるも、少し鳴き声が違うような気もする。地鳴きだと違う鳴き声なのかと思って検索するけれど、やっぱり分からない。空の高いところを舞うか、地面にいるときは姿を見せないので、見た目の特徴で判断することもむずかしい。
誰か鳥に詳しい人はいないだろうか。そういえば大学のときの先輩がFacebookによく鳥のことをあげているなと思い出す。彼に鳴き声を送ってみようか。
畑に着くと、土の表面がすっかり乾いていたので、今日は全体に水やりをする。天気予報も日曜まで晴れだ。水やりをしていて、ふと何かの芽が出ていることに気づく。まだ発芽には早いので雑草か何かだろうか。かわいい。小さな変化がうれしい。
昨日市役所で畑の年度更新をしてきた。農業畜産課の人に「土が硬くてほんとうに育つか不安です」と話すと、「たしかに野田(畑のある場所)の土は硬いとみなさんおっしゃいます」とのこと。先輩方の畑は実っているので大丈夫なんだろう。いつ発芽するか楽しみだ。
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