「児童養護施設」という場所をご存知でしょうか。もしかしたら「はじめて聞いた」という方や「名称を聞いたことはあるけれど、どういう場所なのかよく知らない」という方が多いかもしれません。
児童養護施設とは、保護者と死別したり保護者から虐待を受けたりなどさまざまな理由で保護者と一緒に暮らせない子どもたちが日常生活を送っている場所です。
今回、4歳~6歳と14歳~17歳までを児童養護施設で暮らした経歴を持つりゅうさん(29歳)にお話をうかがいました。
りゅうさんと私の出会いはTwitter。私が次のようなツイートをしたところ、快諾のお返事を寄せてくださいました。
ある日とつぜん父親が逮捕された
児童相談所の職員さんが親身になってくれた
※1 一時保護所:児童相談所に付設されている、保護が必要な子どもを一時的に保護するための施設。りゅうさんと兄弟は児童養護施設に入る前にここにいた。
※2 児童自立支援施設:犯罪などの不良行為をしたりするおそれがある児童や、家庭環境等から生活指導を要する児童を入所または通所させ、必要な指導を行って自立を支援する児童福祉施設(Wikipediaより)。
児童養護施設の職員さんがすごくおもしろい人だった
親と適度な距離感があり依存関係がなかった
子どもを社会で育てる気風が広まってほしい
児童養護施設の子どもたちに僕たちが持っているものを提供していきたい
りゅうさんのお話をうかがって
りゅうさんは現在29歳。上場企業が運営する子ども向けプログラミング教室で教室長として働いています。結婚し子育て中の親でもあります。
かつてご両親が犯罪を犯し、その影響で児童養護施設に入ることになったりゅうさんにとって、児童相談所や児童養護施設での大人との出会いは大きなものでした。大人が愛を持って子どもにかかわり続けることの大きな意義をりゅうさんのお話から私は感じました。
りゅうさんは過酷ともとれる環境で生き抜いてきながらもポジティブであることを「親から直接虐待を受けたわけじゃないことも大きい」と話してくださいました。このことは、虐待をしてしまうことを恐れて子どもを施設に託した私にとって一筋の光のように感じられます。
社会には「子どもは血のつながった親が育てるのが一番」という認識を持つ人が多いと私は感じています。しかしりゅうさんのように、児童相談所や児童養護施設が介入することによってそれがいい方向に向かうこともあり、そこで素敵な大人と出会う人もいるんだなということを今回私は知りました。
もちろん、児童養護施設で子どもが幸せになるとは一概には言えません。しかしそれは親元で育つことも同じです。子どもにとって何が幸せか、正直なところケースバイケースなのだと思います。ただ、りゅうさんが教えてくれたのは、公的支援が子どもを救い、育てることがあるという実例です。
りゅうさんが「親が一人で頑張らなきゃいけないという社会ではなく、子どもを社会で育てていく気風が広まったらいい」とおっしゃっていたように、子どもの幸せのためにも、多様な選択肢が取れる寛容な社会だったらいいなと私も思います。