2-11 ぶっちゃけ安保法制は、学会の思想から見てどうなの
チェ 私は、安保法制は「創価学会の思想にはのっとっていない」と考えています。
博士 それ、個人的にはどうお考えなのか聞きたかったんですよ。
チェ 安保法制を可決させるとき、公明党・山口代表は次のような説明をしました。
「これは日本が戦争をするための法律ではなく、戦争を起こさせないための法律です。自衛隊は戦闘をせず、後方支援をするのみです。この法案を可決させ、アメリカとの同盟を強固にすることで、外国は日本に攻め込みにくくなります。たとえば空き巣が家に入ろうと思ったときに、警備会社のステッカーが貼ってあれば、やはり入りにくくなる。今回の法案はこのような働きをするものなんです」(要旨)
当時は私も「友人にこう説明すればいいのか」と思い、一度は納得しました。中国に「武力による尖閣奪取は不可能」と理解させるためには、日本が確固たる防衛力を持ったと思わせること。米軍の支援を取り付けるためには、米軍と自衛隊の連携を高める集団的自衛権の容認が非常に有効。国際社会から見ても〈国家存亡の危機〉が発生した場合に危険は他国任せ、後方支援もできないのでは、欧米の積極的な支持は望めない。国際社会では集団的自衛権は当たり前のものであり、有事の際に常識的な行動を取れるようにしておく必要がある。
中国は、アメリカに対して「太平洋には二つの大国を受け入れる十分な空間がある」と〈新大国間関係〉を提唱しています。これは〈世界の警察〉の重荷を下ろそうとしているアメリカと利害が一致する。日本が軍事的負担増に応じなければ、アメリカが〈新大国間関係〉に応じることもありうる。アメリカを東アジアにつなぎとめるには同盟国・日本の価値を高める必要がある。そう思っていました。
博士 安保推進派の主張は一理あります。核を持てない国は、国際社会では子供扱いが現実ですから。日本にある核ミサイルは、米軍のものです。
アメリカに同盟を破棄されれば、中国のみならず、韓国、北朝鮮、ロシアも武力行使で領土を切り取りに来る可能性はあります。そうなれば、自衛隊員は自衛のための戦争をせざるを得ない。その場合のリスクは、アメリカの後方支援どころの話ではありませんから。
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