2-6 外敵なき時代、正義はどこへ向かうのか

博士 これからの学会が担う役割、再び成長期に入るための要件、これらの前に「なぜ学会が成長期を終えたのか」を背景から考えたいと思います。
 私の見立てでは、強力な外敵がいなくなったのが大きな要因ではないかと思います。国家の歴史を見れば、内政を安定させながら領土を拡大しつづけるためには常に外敵と戦いつづけることが必要です。外敵の存在が、民衆にリーダーを必要とさせ、殊勲を上げた幹部にカリスマをもたらします。

チェ 成長期が終えた要因は大きく3つあると考えていますが、そのひとつがまさに強力な外敵の不在です。これにより組織力(会員を守る)、指導力(会員を導く)、求心力(会員の歓喜)の低下が起こり、衰退がはじまりました。
 あとの二つは〈職員の官僚化・本部執行部の密室化〉〈タテマエの陳腐化〉です。

博士 まずは〈強力な外敵の不在〉についてうかがいます。〈ストレイト・アウタ・学会員〉で提唱された多くの学会員が感じている悪しき(不必要な)安定感、ぬるま湯につかっていることへの憂慮ですね。

チェ 私が見てきた時代……80年代以降、私は創価学園生、創価大学生として見てきたわけですが、学会発展の背景には、常に大きな外敵や反逆者がいました。社会的に影響力の大きい敵・僭聖増上慢(せんしょうぞうじょうまん)への危機感、反発が、大きな推進力だったと感じています。

博士 学会の推移を中から見てきた人の実感ですね。
 外敵の存在は〈不必要な安定感〉と真逆の〈必要な不安定感〉だったのでしょう。自民党、四月会、顕正会、山友、日顕宗……。顕正会や宗門の動きに油断は出来ないでしょうが、大部分の敵は掃討されたのではないでしょうか。

チェ 学会は会員を攻撃し混乱させる敵を、言論のカウンターで迎撃してきました。
 訴訟、本幹での報告、聖教新聞でのプロパガンダ、すべて仕掛けられたデマやワナに、会員が動揺しないための言論戦だったと理解しています。
 また、会員たちも敵に対して直接何かをするのではなく、ひたすら教学を研鑽し、池田先生の指導に殉じて日々の活動に情熱を注ぎこむという戦いをしてきました。

博士 結果、自民党は手を組む相手になり、四月会は解散。山友は裁判で完敗し、死去。日顕宗は経営手腕と信仰心が貧弱なため、衰退への道を歩んでいます。顕正会はいまだに蠢動していますが、学会が敵と認識するほどのスケール感はありません。
 学会は会員を堅守し、外敵は身を滅ぼしたというかっこうですね。

チェ 最近は、外敵がほぼいなくなりました。それは学会の勝利であり、喜ばしいことですが、組織の成長を支えてきた緊張感が途切れたのも確かです。

博士 いまもっとも外敵の役割を担っているのは政敵、法戦の対抗馬ですよね。ただ、政治には様々な解釈があるため、過去の敵と違って「完全に悪、徹底粉砕!」というテンションにはならないうえ、〈ストレイト・アウタ・学会員〉で語られた、舌足らずな公明党に疑問を持つ会員が急増しているため、組織を団結・成長させる要因には、なりにくいのではないでしょうか。

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