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2-17 思考停止する職員と、第一庶務のショルダータックル

博士 学会が成長期を終えた三つの要因、〈強力な外敵の不在〉〈職員の官僚化・本部執行部の密室化〉〈タテマエの陳腐化〉をうかがってきました。敵がいなくなったのは〈目的感の喪失〉、本部の官僚化と密室化は〈使命感の鈍磨〉、タテマエの陳腐化は〈活動の倦怠〉と言い換えられます。そしてこれらは総じて創価学会の成長が、池田SGI会長の存在に依拠するところが大きかったことを暗示しています。
 池田SGI会長の敵がいなくなり、池田SGI会長の目が届かないところがブラックボックスになり、池田SGI会長の威光を幹部が引き継げなかったことが、この三つを引き起こしています。

チェ それはほとんどの学会員が理解していることでしょう。現在、学会員が抱えているモヤモヤの根っこは、学会と公明党が本当に池田先生の意向のとおりに運営されているのか分からないところにあります。その不安と後ろめたさが、折伏・法戦から誇りと歓喜を奪い、功徳を疑わせているんです。
 知らず知らずのうちに我々は組織としての目的感を喪失してしまい、幹部の官僚化が顕著になりました。広宣流布のためを考えていたのに、気付けば組織の体裁を維持することに腐心して使命感が鈍磨した結果、活動から歓喜が失われ「信心を頑張っているのに、なんか倦怠感」という事態になっています。
 〈創価学会元職員三人組(以下、三人組)〉という人たちがいます。先に述べた安保法制反対のサイレントアピールをした35名の学会員の中心となったメンバーです。創価学会青年部サイト・SOKA YOUTHによれば、学会からは〈足軽会〉の名で呼ばれ、主に〈組織内組織を結成した〉との理由で配置転換、譴責処分を経て職員を解雇、会員として謹慎、役職解任を経て除名になっています。機会に恵まれ、関係者にも、取材を行いました。「個人が特定されると困る。学会からの攻撃が怖い」と本人が言うので、非常に彼らに近い関係者と言うにとどめます。さらに学会職員にもインタビューし、事実関係の確認、できるかぎり裁判資料も調査・取材しましたが、こまかい経緯の真偽は分かりません。ただ配置転換、解雇を不当とした三人組は、現実として最高裁まで学会と戦い、敗訴しています。
 しかし除名後、三人組は除名になっていない会員さんを動かし、サイレントアピールという穏当で法に反しないデモ活動を行っています。青年部サイトには、「彼らがかなり偏ったやり方で会員をボコ詰めにした」(要旨)ことが記載されています。三人組の著作には「本部執行部にとって都合の悪い人間は反逆者」〈実名告発 創価学会〉として扱われるという具体的なエピソードが列挙されています。

博士 学会員は学会の発表だけを頭に入れ、除名となった反逆者の言には耳を貸さない人が多いと思いますが、三人組の本も読まれたんですね。

チェ 私は学会員であると同時に、広宣流布員です。〈自分の広宣流布〉を標榜しています。自分の境涯……つまり、職業、立場、性格などを広宣流布に活かす価値創造のためには、リアルな情報に触れる必要があるのです。かなりの生命力を使いますが、自身の職能を活かし、背景として双方の主張を知りながら、生の証言を集め、真実をしぼりこんでいく活動をしています。
 三人組が正しいのか、間違っているのかはここで論じても仕方のないことです。彼らのエピソードは〈本当にあった話〉と確認が取れたものを判断材料にしています。

博士 ちなみに、どんなエピソードが書かれていたんですか。

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