公明党に、片思いする学会員
2020年2月18日、コロナウィルスの蔓延を受け、宗教法人創価学会は3月度の本部幹部会を中止。この本部幹部会は「関西総会」を兼ねており、当年いちばん熱い会合として、全国を挙げて折伏に取り組んできた集大成であり、最重要と言える会合だった。
創価学会は、これのみならず全国的に地域単位の小会合もすべて禁止。
家庭訪問などの個人的な活動は「当人の判断に任せる」としたが基本的には電話など非接触での活動を推奨した。
その後、最短でも2ヵ月先まで個人的活動も含めた全面休止を確定させ、3ヵ月後以降の会合予定についても、順次キャンセルをした。
これは創価学会90年の歴史を遡っても、例の無いことだ。
与党・公明党の支持団体である創価学会のこの判断は、国に集まる情報を基準にしてのものであることは間違いない。
普通に考えて、いちばん情報が早く多く集まるのは政府である。その政府は、「全国で休校」「緊急事態宣言を発するか」の政治判断をちらつかせては、批判の声に揺れるのみだった。また与野党が力を合わすことはなく、国民の苦境を政争の具にしては政治全体への信用と評価を下げつづけた。
話の前提となる「危機意識」を政府と国民が共有できていないため、「騒ぎすぎ」と騒ぐ人もいた。また外出禁止やイベント中止で経済や人間関係、また精神衛生上の都合が悪くなるため、あえてコロナを深刻に受けとめないようする人もいた。
春休みを前倒しにして休校、卒業式は中止、人が集まる業態の経営自粛などが、批難を浴びるであろうことは、容易に想像がつく。「子供たちの気持ちを考えろ」「経済が死ぬ」「コロナはただの風邪」……ひとつ一つは一理ある意見だ。
しかしそれをやる必要が、あの時点ではあった。医療崩壊は、目前。「それどころじゃない」レベルまで事態が進行していた。
オリンピック開催の色気をギリギリまで持っており、言いたいこと(東京をはじめ日本全土が危ない)が言えない政府に代わって、学会が必要な政策を実行したと、私は感じた。(決まっていた御本尊流布が延期になり複雑な思いもしたが、これはまた別の話として続編「22世紀への対話」に書く)
学会は政府与党に集まる情報をもとに、余計な風評を立てずに「有効と思われる手段」を通達することで、実質的に、あるべき状態を実現せしめた。
学会が活動全面休止を発表した翌日には、大阪府がイベントの全面中止を呼びかけ、10日後には北海道知事が「緊急事態宣言」を発している。
意識の濃淡ありながらも、国内だけで800万を超える信徒を擁する組織力。これを活用し、政治が二の足を踏む判断さえも、学会は先んじて実行した。
諸説流れる中、全人口の約16パーセントに「正しく恐れる緊張感」を流布したのだ。この影響は、小さくはない。宗教法人としての役割を超え、与党最大の支援団体として恥じない働きをしたと言えよう。
過去にも災害時には組織力、流通インフラ、施設インフラを活かして被災地および避難民への貢献をしてきたが、今回は情報インフラとしての実効力を示した。これは創価学会の新たな機能の発見というほか無い。
学会は、立法、行政、司法とは別に、国を動かす勢力をつくってしまった。国民自身が、草の根がごっそり動いてしまう仕組みを構築した。
そしてそれが世界中に広がっている。池田先生は、世界広宣流布を現実化するために、凄まじい構想を具現化してくださった。
厳しい規律と訓練に身を投じ、己の生活や家族との時間を犠牲にして戦った諸先輩がたの存在なくしては、ありえなかったことだ。その時代のヒロイズム、カタルシス、大歓喜には憧憬の念を禁じ得ない。
しかしそれを外部の視点から見ると、どうだろう。「稀代のフィクサーがつくりあげた、芸能界から政財界まで根を張る巨大教団」に見えても仕方がない。組織が大きいうえに透明性が無いので、陰謀論はいまや学会員の中にまで蔓延している。
「学会と天皇の関係、知ってる?」
「学会に集まる金が何に使われているか分かってる?」
「中国共産党と池田先生はね……」
これらは純真なる一般会員から、私に寄せられた「情報」である。情報とは彼らの言っている内容よりも、こんな思いを抱えている人たちがたくさんいるという事実のことだ。この人たちは、変なウワサを広めているわけではなく、真剣に混乱し、なんとか正しい情報を得たいと願って、私にコンタクトをとっている。
私はと言えば、この手の陰謀論には興味がない。本当かもしれないし、嘘かもしれない。どっちだったとしても、いっこうに不思議に思わない。言えるのは、今のところ「自分の広宣流布」とは関係がないということくらいだ。
とはいえ、学会はこれからもっとガラス張りの運営をしていくべきだとは思う。そうしなければ求心力を失っていくし、なにより人材が育たない。なにも財務の使途や、人事登用の基準をつまびらかにしてほしいとは言わない。興味を持っている人はいるだろうが、個人的には興味がない。
蛇足ではあるが、補足しておく。会則に会計に関する規定は一切ない。
学会の通常の財務内容を知りえる人間は、総務および参議から総務会で選出された責任役員の17名に限られている。
2008年の「規則」改正によって、新たに「監査法人または公認会計士の外部監査を受けなければならない」(第34条)規定が設けられたが、監査報告は責任役員会にされるもので一般会員が知るのは不可能。
法律に従って、正当な理由があること、不当な目的がないことを示し、閲覧を請求すれば創価学会の財務諸表は見られるかもしれないが、任意団体のSGIへ移管された財産の使途は知りようがない。
そして私は、知りたいとも思わない。知る必要を感じないし、知らなくても財務も広布基金もできる限りする。私が納得したいのは、公明党についてだ。
つい先日も、不評に不評だったアベノマスクの8000万枚追加配布が決定。追加分配布に118億円の予算を計上しているとの報道に激震が走った。
前回、巷間にマスクが不足していたので配布したというのは、まだ理解できる。
結果として遅きに失したが、初めての試みだったので上手くいかなかったと同情的な見方もある。仲介業者に疑義もあったが、きっと事情があると信じていた。
これらは、私が学会員だから(池田先生に免じて)ギリギリこの解釈で踏みとどまっているのであって、市井の人々はひとつも納得していない。
公明党・衆議院議員に直接、聞いてみたら「マスクそのものの調達は完了しており、備蓄分を介護施設等に配布する」とのこと。詳しい決定時期や、予算配分まで教えてくれた。
すでに買ってある物(118億円分)を必要としている現場に、追加で送るということだ。マスコミは「新たに配布」との報道で、予算を追加で118億円使ったかのように印象操作をし、学会員が嫌な汗をかいている。
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