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pasteltime
月曜日のおかあさんを応援する使者(477字)
幼稚園に到着して間もなく、肝心のリュックがないことに気づいた。月曜日は用意する荷物が多いため、うっかりやらかしてしまったようだ。
息子を園に置き、鬼の形相で自宅へ自転車を走らせる。その途中、どこからともなく、頭上に黄色いちょうがフワフワ寄ってきた。
ふわふらちらちら、頭やら肩付近を舞っている。
赤信号で止まったら、ちょうも止まり、
青信号で進んだら、ちょうも進む。
はじめは鬱陶しく感じた。
しかし優雅にふわふわ舞う様が、次第に可愛く見えてきた。
飛ぶリズムが、何だか私を応援しているかのようにも見える。
黄色い蝶はなんと50メートル以上、私の近くを舞い続け、自宅に着いたところで離れて行った。
私が慌てるあまり事故らないよう、気を落ち着けようとしてくれたのだろうか。離れたタイミングがあまりに絶妙で、そんな風に勝手に解釈してしまった。
単純に汗の匂いが蝶を惹きつけたのかもしれない。
だけど、ふわふわちらちら並走してくれたおかげで、心に平穏を取り戻せた気がする。
さぁ、今日もオカアサンは頑張るぞ。