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サンタクロースとシンタクラース【仮想編集後記#8】
いまから20年くらい前に、勤めていた雑誌にサンタクロースの記事を載せた。寄稿してくれたのは、オランダ在住のジャーナリスト。
オランダではサンタクロースとその祭りが日本と随分異なるというコラムだった。オランダではサンタクロースはシンタクラースと呼ばれている。起源は聖ニコラオス(聖ニコラス)。
シンタクラースは、トナカイではなく、黒い肌に色を塗り、巻き毛のかつらをかぶった従者を引き連れて回る。これがズワルトピートだ。それは明らかにアフリカ人であり、差別的ではないかという内容だったはずだ。
その話があらためて気になったので、ちょっと調べてみた。
下のgettyのサイトに写真があるので、シンタクラース(Sinterklaas)の祭りの様子がわかるだろう。
シンタクラース祭とは
このオランダの祭りは、さまざまな記事によれば次のようなことだそうだ。
まず祭りの期間は、毎年11月11日の次の土曜日(今年は11月16日)から12月6日まで。12月5日がシンタクラース•イブで、12月6日が「聖ニコラウスの日」。
そもそも聖ニコラスは西暦300年前後に活動したトルコの司教だったが、オランダのシンタクラースはスペインから来たと位置づけられている。聖ニコラスは、貧しい人々に施しをしたので、今もシンタクラースやサンタクロースとなって12月にプレゼントを配る役割を担っているようだ。
シンタクラースは蒸気船でオランダの指定された町に到着することから祭りは始まる。シンタクラースは海運の守護人でもあるそうだ。
シンタクラースは馬に乗り、従者であるズワルトピート(Zwarte Pieto、英語ではブラック・ピートになる)を伴って町長に正式に歓迎される。ズワルトピートもしくは、この馬がいつのまにかトナカイになったのかもしれない。
到着は国営テレビで放送され、国中の子供たちが歓迎のために列を作り、歌を歌う。シンタクラースらは入国後、数週間かけて学校、ショッピング モール、児童養護施設を訪問する。
12月5日がイブ
それぞれの家庭では祭りの間、ペペルノーテン(スパイスクッキー)、クリスドノーラン(ジンジャークッキー)、オリボーレン(揚げパン)などのおやつを食べる。
またこの期間、子どもは毎日、プレゼントをもらえる。毎日だ! 靴下ではなく靴を用意して、そこにシンタクラースや馬のためのプレゼントである絵や人参などを入れておくと、朝になると小さなプレゼントが代わりに入っているそうだ。プレゼントを配るのはズワルトピートの印象が強いようだ。そのためかピートはシンタクラースよりも人気者だとか。
そして12月5日のシンタクラース・イブは特別な日。子どもサイドはプレゼントを用意することなく、6日朝になると麻袋に大きなプレゼントが入っている。そのため、子どもにとってこの日は一年の中でももっとも楽しみな日なのだとか。
クリスマスを祝う国ならばどの国でも消費が大きく動くだろうが、オランダではこの時期になるのだろう。そのため、オランダにはシンタークラース専用のサイトもある。
アフリカ人のようなピートがプレゼントを運ぼうとしているサムネイルだ。シンタークラース1週間前からテレビでは、シンタークラースニュースを放映するとか。
オランダでは私が記事を掲載して数年後、実際にズワルトピート論争や激しい対立が起きたそうだ。これについてはしっかりとした日本語の記事がアジ研のサイトなどにあったので関心のある方はご覧いただきたい。
日本人は西洋の祭りにとても貪欲ですが、もう少し歴史的なアプローチを見てみてもいいかなと思う次第です。(H)
*サムネイルのイラストはCopilotで作りました。