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日枝久フジサンケイグループ代表に物申した電通の元テレビ局長

▼フジテレビが中居正広問題で未曾有の危機にある。ここで注目されているのが日枝久相談役の老害ぶりである。実際どの程度、老害なのかは詳しくは知らないが、50歳で社長になって以降、いまもフジテレビ相談役として居座っている。安倍晋三元総理に近いと言われていた人物だ。
▼老害が生まれる卑近な話の一つはハイヤーである。朝、黒塗りのハイヤーが迎えに来なくなることが耐えられないというVIPがいるのだ。
▼私が「電通の正体」というキャンペーンを連載しているときに、日枝氏と同期だった電通OBを取材した。電通テレビ局長だった狩谷健さんである。すでに鬼籍に入っておられる。銀座の焼き鳥屋で飲むと白いスーツをさらっと着てくるダンディな人だった。狩谷さんはおかしいと思ったことははっきり言う、言ってしまう豪快で真っ直ぐな人だった。

▼広告代理店にはテレビ局担当の局担がいるが、狩谷さんはフジテレビ担当だったそうだ。テレビ局にはテレビ局で広告代理店担当の営業がいる。狩谷さんのフジテレビのカウンターパートが日枝氏だった。若い頃から日枝氏を親しく知っているということだ。
▼狩谷氏は、広告とは無理やり口を開けさせて飴玉を放り込むようなものだとたびたび言っていた。買う必要もないものを買わせているということだ。狩谷さんはその罪悪感のようなものから、テレビで還元するようなキャンペーンをやったらどうかと、電通社内で提案したそうだ。それに対する幹部のは、「狩谷は頭がどうかしてしまったのか?」という反応だったそうだ。その結果、狩谷さんは電通で新聞局以上に稼ぎ頭であるテレビ局のトップでありながら、役員になれずに外に出されることになった。ちなみに王道の新聞雑誌局長を務めた故・成田豊電通グループ会長も日枝氏のように長年、会社に君臨した。
▼そんな狩谷さんは日枝氏のありようを当時から問題視していた。そこで、2010年頃、日枝氏の友人として狩谷さんに日枝氏への質問状を私の務めていた雑誌に寄稿していただいた。それが日枝氏に届いてのかわからないが、雑誌は日枝氏あてに送った。馬の耳に念仏か。
▼今、テレビ局では過去のセクハラ・パワハラ問題を再調査する動きがある。伊藤詩織さんの映画「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」が、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされている。映画の主題でもある当時現役のTBS記者だった山口敬之氏の性的暴行疑惑をTBSはきちんと調査したのだろうか。山口氏も安倍元総理にきわめて近い人物だった。フジテレビを追求するマスコミにブーメランは帰ってくる。(H)

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