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沖縄の基地マフィア 【仮想編集後記#6】

▼後輩の野中大樹から連絡。いつのまに某経済誌の副編集長になっている。なにかと思えば、9月7日付『琉球新報』の論壇の新聞記事の切り抜きを送ってよこした。よく見ると、官房機密費の話についてである『国防政策が生んだ沖縄の基地マフィア』が引用されている。この本は私と野中の共著だ。2015年に書いた本が今もサイテイション(引用)されるとはうれしいことだ。ちなみに引用文は野中が取材した部分やんけ(苦笑)。
▼この本は主に沖縄県北部の名護市を取材したものだ。名護市は普天間基地(宜野湾市)の移設先である辺野古地区が所在する自治体だ。馬鹿みたいなカネをかけて、地盤の悪いところに新基地を作ろうとしている。

こんな本です


▼この本が出版されたときは、又吉直樹の『火花』が発売された時期に重なる。又吉の父親も偶然にも名護出身だった。自慢してしまうが、同時期に出版された本(しかもこっちは七つ森書館という零細出版社でいまや破綻している)だったが、那覇の書店ランキングでは『基地マフィア』のほうが売れている時期もあった。それほどインパクトがあった。
▼私は単に出されていない事実の断片をマッピングして公表しただけだったが、東京の人間は沖縄への配慮が強すぎて、沖縄を批判することは許されない空気だった。それは沖縄の地元メディアも同様だった。私も知人の国会議員から、沖縄を批判するのかと言われた。だが、事実は事実である。事実がなければ判断はできない。新基地が沖縄で作られるということに沖縄の多くの人が反対していても、賛成して推進している人がいなければ作られることはない。米軍基地ができる場所は米国の土地ではなく日本の土地だからだ。米軍基地はいまでも日本の地主に賃料を払っている。
▼そこで、沖縄の基地建設推進派である集団(マフィア)や基地利権に焦点を当てたのが、『基地マフィア』だった。最初は沖縄バッシングの連中にも勘違いされたらしくこの本は歓迎されたようだが、当然そのような意図はなかった。『トヨタの正体』を出版したときも、トヨタの礼賛本だと勘違いされた。
▼2015年以後、オール沖縄の動きも出たが、いまや空中分解。名護市の市長も自民党推薦の辺野古容認派であり、2期目の当選をしている。最初の当選には菅義偉官房長官(当時、元総理)が大きく関与している。
▼米軍基地で言えば、種子島のある鹿児島県西之表市では来年3月には市長選がある。最大の争点は種子島沖にある馬毛島における自衛隊基地建設だ。基地建設反対を掲げる三宅公人さんが市長に立候補を表明している。三宅さんは「戦争に加担しない」を掲げている。なぜなら、馬毛島の自衛隊基地は米空軍のために作られるからだ。米軍はもちろんイスラエルなどにも武器供給をしている。新しい産業を作れない島はやはり防衛費に依存するしかないのか、が問われている。(H)

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