鳥の演劇祭15 「老貴婦人の訪問」の感想。
屋外の特設ステージで行われた「老貴婦人の訪問」をみた。
19:00 開演、この時期はもうすでに辺りは暗い。
道標の灯りにたくさんの虫が集まっていた。
正義とか罪とか、大衆の力について考える。
クララが 17歳の娘だった時にこの町でみつけた美しさと失ってしまったものを、お金の力で取り戻そうとする姿は、歪んでいるけど純粋であるように感じた。後半、森の中でのイルとの会話の場面でそう感じた。町や周囲の人間が彼女を歪めてしまった部分もあるよな、と思うとなんだか切なかった。
歪みを生み出してしまった町や帰ってきてからの大衆の動きというのが、なんだか現実に重なる部分があって、いい感じにモヤモヤしている。
異常なことが数の力で正当化されていく様子は、物語の中だけの話ではないと思った。
アフタートークでも語られた「大衆の恐ろしさ」。
SNSが話題にあがりがちだけど、リアルの場にもあるよなと思った。母数の大きさよりその社会の中での割合なのかもしれない。何かをきっかけに倫理とか正しさは姿を変えてしまう。
演出家の中島さんの言葉が忘れられない。
立場・権力・お金、時にはプライドとか個人的な欲望かもしれない。目の前のソレを手に入れるために小さいイルを何人も殺しながら生きている。
仮に上手くやってみせても、それ以前には戻れないんだよな。と思った。
みたいな言葉をどこかで聞いた気がする。
自分の中の膿が、何かをおかしくしてしまうんだろうか。
物語のその後が気になる。
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