【読書】星の子
著者:今村夏子
主人公の女の子が幼少期に病気を患ったことが理由で両親が宗教にはまってしまい、自身も何の疑いもなく親の信仰に従ってしまうところから話が始まります。
しかし、中学生になってから徐々に周囲とのギャップを認識し始め、いろいろな出来事を経て中立的な目線で物事を捉えようと足掻くようになります。
本作は全体を通して情景描写が少なく、また核心をつかない表現がされているため、常に不穏な雰囲気を感じ取れます。
また、中盤以降では会話や地の文から主人公が疑心暗鬼なっている様子が伺えるものの、かと言って両親を否定することはなく、一見すると幸せそうな、ですが不安な生活が続きます。
読み始めてからすぐにこのなんとも言えない落ち着かない世界観に引き込まれ、あっという間に読破できました。
また、最後の章は非常に考察のしがいがあり、読破後もしばらく楽しめております。
信仰と真実の狭間で揺れ動く者にとって正しさとは?幸せとは?愛とは?ということを考えたくなる一冊でした。
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