【読書】コンビニ人間
著者:村田沙耶香
幼稚園児の時から倫理観が欠如していて、周りから言われたことに対して非道徳的な発言や行動をしてまったために集団から外れてしまった女の子の物語です。
大学一年になってコンビニ店員のアルバイトを始めたことがきっかけで、”マニュアルに従って他人に求められる仕事をこなすこと”を身につけるようになるのですが、その後18年間の自身の生活の全てをコンビニの仕事に捧げてきたため、勤務時における信頼は高いものの、偏って屈折した考え方に凝り固まったまま36歳を迎えます。
更に、コンビニに新たに採用された、主人公と似た境遇の男性との出会いが重なり、主人公が本当の意味で人間社会から外れていくことを決意してしまいます。
本作は最初から最後まで主人公目線で描かれているため、地の文までもが主人公の思想に基づき記載されています。
そのため、理解しようとすればするほどに社会から離れていく感覚を覚えました。
更には、そもそもこの主人公の考え方を理解できないことは果たして正しいのか?もしかしたら理解できないということが独りよがりの考えなのでは?というように、主人公の思考に取り込まれていくような印象も受けました。
一般論とは根本から異なり、交わることのない思想で気味の悪さすら感じられますが、だからこそ引き込まれ、癖になりだすと寝る間も惜しんで読み切ってしまった一冊でした。
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