赤片亜美

短歌 小説 などをアップしています。記事を公開してから編集する事がめちゃくちゃあります。推敲って難しいですね。

赤片亜美

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最近の記事

インイートイン/赤片亜美

体内におもちのようなさみしさが落ちていっては子宮で止まる 待っているわたしとおかずはらがへりのりたまでごはんだけを食べた ピザポテトの袋開けたらわろてまうあんたの足のにおい食うやで コンビニのスイーツ彼に頼んだら脳の貸借対照表へ 富士山の五合目の雪ともだちと食べてわたしだけが下痢をした 家族からシチューとおでん禁止令出た日にいつも冬がはじまる 君の舌吸いながら見る (根元から抜けて窒息する)はくちゅうむ 丁寧に血抜きしてないタンは臭いきみのぶあつい舌に立てる歯

    • 勝手に自動音声入力されてた怖い

      これなんかこれカス3個ぐらいしか入ってないごめんこれ食べちゃったのごめん他のも3枚ぐらいしかなかった どこに売ってんじゃんめっちゃすごい量じゃんこれ 覚せい剤? フレンチサラダまだあるなら4枚ぐらいあったかないやほんとに3枚ぐらいじゃんごめんねこれしかなかったわ 今日あたしさーなんかミニストップ行かなきゃいけない気がしてたらこれだった そうだよ1歳児食べるよ なにこれこのひと58でしょ?59?密輸!会社役員なの?社長?やってて?わたし?じゃあお給料ほんとにもらおうかね 明太子

      • 夏が狂っていないなら

        泣くだろう犬の臭いの染みついた風呂場へ入るたびに裸で 大きめの犬と目が合い頭から食われる夢を夢見て歩く 死ぬ前にあとどれくらい唇の皮を剥いたら死ねるのだろう 朝帰りひらいたドアにぶちまけたヤクルトきみよ甘く腐れよ いとおしい人の中にもホルモンとうんこがあるんだよなあ 生きる さよならと言ったくちびるに押し込むぼくの一番ざらついた部位 服を脱ぐ事を恥じらう人間も動物なのにまた服を着る ‪根元まで吸ってしまった煙草さえ君といたなら花火の味だ‬ レモンでもイチゴでも

        • 血の筋/赤片亜美

          壊された家で隠れていた古い下着姿のような壁面 ふと消えた電気 夜とは暗いものスマホ探さず君のにおいを 潔癖の病に罹る母が来て僕のベッドで背合わせねむる 猫なんか捨ててきなさい我が家には畜生にやるご飯はないの 知っている海老じゃなかったあの色は茹でられ変化した色だった 父さんが死にかけた時見た夢はばあちゃんが布団かけ直してくれた夢 自らが潰した家に乗ったまま夜を迎えた重機の見る夢 髪の先から次々と落ちてゆくしずくわたしの代わりに泣いて ‪花束をくれた友達 ラッピ

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        • 盗んだ
          4本
        • 縄隠し
          2本
        • 蛇舌花
          3本

        記事

          三面鏡

          すっかり娘の物となった三面鏡をテーブルに置く。 去年百均で買った。白くて、大きくて、下の部分がトレイになっている鏡。 わたしのお気に入りだった。 最初から二つ買っておけば良かったのだ。こうなる事はわかっていたのだから。 でもこれは百円ではなく五百円商品で。わたしが買ってもまだ二つ残っていたからまた買いに来ればいいやと思ったし、いちいち買う物をチェックする夫から『なんで二つ買うの!?二人で使えばいいじゃん!!』と責められるのは目に見えていたので一つだけにしてしまった。 次の日行

          部屋干し

          いつも布で隠されていて いつも湿っていて かわいそうね お風呂から上がっても またすぐに布で覆い隠す 隠さなきゃいけないの? そんなに大事なの? 守らなきゃならないの? 誰から? わたしのものなのに カーテンと窓を開け 股を開く 空気に触れなさい 風を感じなさい あなたは悪くない あなたは悪くない そっと二つの蓋を開けば 恥ずかしさに 誰にも見られていないのに あなたは悪くないの わたしが悪いのよ

          シロガンミ

          故郷の部落を出て30年になる。部落には高校がないので寮のある学校に行ったが、あまりの厳しさに飛び出した。しかし家には戻れないためこのアパートをお袋方の祖父が借りてくれた。それから俺は画家を目指し独学ではあるが夢に向かって頑張ってきた。俺が40歳になった時親父から電話が来て、45歳の誕生日までに芽が出なければ故郷に戻るよう強く言われた。お袋が手術をした事もその時初めて聞いた。この言いつけに従わなければ仕送りと物資を送る事を止めるとも言われた。それでは生きていけない。あの家に戻る

          シロガンミ

          川柳連作『鬼ごろし』

          本当は捨てられていた赤鬼よ 吸えるだけ吸い尽くされてリサイクル さようならまた出会ったらころします

          川柳連作『鬼ごろし』

          目に映る物は綺麗で汚くて

          赤片亜美の私家版第二(写真詩)歌集を、しまうまプリントさんに作って頂きました。 一冊目の(フォトブック)歌集をTOLOTさんで作って頂いたのが2020年の1月でした。そして今はもう12月。はやいものです。 二冊目を出したい出したいと思ったり呟いたりしながらも、なかなか手を出せずにいました。わたしは難しい事が苦手なのです。しかもPCも使えません。習う気もなし。完全なる不得意分野だからです。 編集作業が簡単なサイトであっても、歌集を作るのにはかなりの気力、体力を使います。ADH

          目に映る物は綺麗で汚くて

          鎖の椅子

          僕は鎖から手を離して飛んだ。 落ちた先は雲の上ではなく土の上だった。スペオキ脱走の危機と勘違いした奴が走って来る。エゾヒグマ『袈裟懸け』のように両手をあげた奴の足を引っ掛けたら巨体は倒れた。やってみたら簡単な事だった。 脱走する気はなかった。ずっとそうしたかったけれどもうしなくてよくなった。僕はただこの高い椅子に自分で乗りたかったのだ。やってみたら簡単な事だった。立ち漕ぎをする事も。鎖から手を離して飛ぶ事さえも。 僕は僕が乗っていた椅子の横の吊り輪に奴の両手をねじ込み腹の下に

          汚くて綺麗/赤片亜美

          唇とわたしの縦の唇のクロスに参加する厚い舌 スカートの波に溺れて息継ぎをするからめくり上げた 見たいし 人により異なるんだね肌の味きみはおいしい汗や垢でも 興奮をすると出て来る液体が溢れて垂れるまでの快感 見る事も触る予定もないはずの汚い場所の可愛さを知り 人間も狩りをする前お互いの性器舐め合い狂乱したの ひどい人割れたところをこじ開けてそんな物騒なものを入れて 根元までゴムを嵌めたら繋がっていない気がしてまたMを買う 子供でもこんなに我慢しないよと毎回思

          汚くて綺麗/赤片亜美

          アタシのドア

          お葬式の時に笑っちゃう子っているじゃん。 あれアタシ。未だにその癖が直らなくて、今日のばあちゃんのお通夜で笑っちゃったのよ。葬式じゃないんだからまだいいじゃんね。 絶対笑っちゃダメよ、って母から言いつけられていたんだけど、手のひらに爪を突き刺さしても、太ももをつねっても、風にひらひらなびいてたばあちゃんの大きな薄い水色とピンクのイロチのパンツを思い出しても、思い出したからかな、どうしても笑っちゃうんだから仕方ないじゃん。ねえ。 そしたら、アタシを怒った事なんかなかった母がアタ

          アタシのドア

          桜咲けば、雨 (#同タイトルで連作短歌)

          神様はいじわるだよね咲いてすぐ雨を降らせるあなたのように 『桜咲く日まで頑張る』東京でなくて良かった父の住む町 お花見をした事のない家を出て広いベンチでビールを開けた 散る時も美しかった花びらを掃いて集めて出す月曜日 生きるって大変だなと私より長く生きてる幹をさすって あと何度桜咲くとこ散るとこを見られるだろう恋がしたいよ じゃ、元気で。告げた背中を見てましたそれから春が憎いのでした 花びらと涙のレース舞う事も出来ずに落ちて勝ちなのに負け 死ぬのなら生きなくて

          桜咲けば、雨 (#同タイトルで連作短歌)

          柿のいた部屋 (あみもの2周年号掲載)

          熟れるのを待っていたのに皮ふやけ体液流し死んでいた柿 声もなく腐っていった柿達よわたしはずっと家にいました 閉ざされた段ボールの中死んだのが柿ではなくて人だったなら 柿好きじゃないのにもらって放置してネグレクトの末死に至らしめ 干し柿が粉をふくのを待つ祖母の口癖 おなごはがまんすねばわがんね 町内一美人であった姑の嫌っていた柿を喰らう祖母 アル中でDV男のじいじゃんが死んでニートになれたばあちゃん 美しい人間の中に棲む悪魔どこからきたの元からいたの 曽祖母

          柿のいた部屋 (あみもの2周年号掲載)

          不自由な自由 (2019年歌壇賞応募作)

          水色のペンで『自由』と書いてみてわざとらしさに塗り潰す 空 妊娠中出目金の夢ばかり見た母はわたしと目を合わせない 言ったよねメロンパン屋はやめなよと今日でさよなら家と父親 尻尾がないうちのフレブル笑うならあなたの長さ見せてください 逆さまに吊られたカラス人間のゴミを漁るのどれほどの罪 かっこよく鎌を構えたカマキリをひき逃げしてく黒いベンツが 虹を吐く事は出来ない溶け合った複数の死の色はイエロー アナスイのリボンで手首縛ってよきっとかわいく喘げるパープル ‪繰

          不自由な自由 (2019年歌壇賞応募作)

          団地飼い (2019年笹井宏之賞応募作)

          ヨソモノは出てけと‬団地のベランダで‬今年入居の老人叫ぶ‬ ‪お母さん‬‪今の彼氏と暮らすにはわたし邪魔でしょ‬口で言ってよ‬ ‪あと一つ‬母に聞けない事があり‬この乳輪って遺伝ですかね‬ ‪なまぬるい風がまとわりついてくる‬ロングスカートは転ぶために穿く‬ ‪リスカとかオーバードーズはしない主義‬偶然怪我をするエキストラ‬ ‪若い頃舞台女優だった母は‬バイトのホステス本業となり‬ ‪寝たきりの少女が暮らす団地の花壇に‬‪今年も‬白いカラー

          団地飼い (2019年笹井宏之賞応募作)