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正解を求めた作品は失敗する:メンバーシップ
仕事では正解を求められます。私がやっている映像のクライアントワークでも正解を求められます。クライアントワークでは「正解」が私たちクリエイターの商品だからです。
本質的にはクライアントワークにも正解なんて無いんですが、「これが正解です」と言うしかないんです。あるいは監督なんかは「これが正解です」と言う仕事とも言えます。「監督がこれが正解って言うならこれが正解なんですよね」とホッと胸を撫で下ろすクライアントは多いです。
そんな時、私は自分の仕事がシャーマンの様に見えるんです。根拠はないけど断言することで現実が動くと言いますか。世の中には「あーでもないこーでもない」と検証を重ねるよりも、根拠なき断言によってそれが現実化することがよくあると思います。
呪いの藁人形のシステムも同じです。呪いの藁人形は、呪いたい人の髪の毛を藁人形の中に入れて、山の入口の大きな木に釘で打ち付けます。その呪いが通じて呪われた人に災難が降りかかる様に思われますが、現実は違うみたいです。
現実には呪いの藁人形が打ち付けられていることを、呪われた人に人づてに伝えるそうなんです。実際に噂で流れてきた通りに山の入口に行ってみると、そこに自分を呪った藁人形が打ち付けられているんです。
誰かに藁人形を打たれるぐらいに呪われてると思ったら、メンタルがやられて身体もやられます。そうこうしているうちにストレスで死んじゃう人も出てくるんです。ポイントは山奥じゃないところです。山奥だと確認出来ませんから。
そういう意味では現代のSNSは、呪いの藁人形がDX化されたものですね。匿名で「死ね」って書く人がいっぱいいるんですから。その「死ね」という書き込みを見たり知ったりしてしまったら、呪いの藁人形と一緒でその呪いが現実化してしまいます。
だから、有名人はエゴサなんてしない方がいいんです。あるいは作品を発表した人はエゴサしない方がいいんです。仮に「祝いの藁人形」がたくさん打ち付けられてたとしても、強烈な呪いの藁人形を知ってしまったら病んでしまいます。
私は『SHELL and JOINT』という長編映画を劇場公開した時、YahooのレビューやFilmarksのレビューを一切見ないようにしました。あと、Twitterでも出来るだけ検索しないようにしました。絶対に呪いの藁人形が打ち付けられていると思ったからです。呪いの藁人形が打ち付けられやすい作品でもありましたから。そして、今でも検索していません。そして、みなさんも私に言って来ないでくださいね。「こんな酷いこと書かれてますよ」って。
ちょっと前置きが余りにも長くなってしまいましたが、クライアントワークでは正解を求められますが、「作品」では正解を求めない方がいいという話です。
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