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短編映画の作り方

ここに書いてある短編映画の作り方は、一般的ではありません。私が20年ぐらいかけて短編映画を作った経験を元に、私が短編映画を作る時に気をつけている事を書いたものです。映画制作の基本ではなく、思考方法の一つと思って下さい。見出しが並んでいますが、順番に意味はありません。どこから読んでも大丈夫です。


ビジュアルから考える

一般的に映画は脚本を書くところから始めると思いますが、私は短編映画を作る時にビジュアルから考えます。テーマを考える前にビジュアルから考えています。部屋、海辺、白ホリ、暗闇、森の中などの撮影場所を考えます。ビジュアルから先に考えるのは、作品の世界観を強くすることが出来るからです。「ああ、あの森の中の作品か。」とか「白ホリで撮ってる作品ですね。」などと、イメージが残りやすくなるからです。

実は短編映画は長編映画とは違い、世界観を武器にしずらいフォーマットです。長編映画ではいろんなシーンの積み重ねで世界観を作ることが出来ますが、短編映画では世界観を作る程の時間(尺)がありません。長編映画の武器は長い時間で、長い時間その世界に浸っていると、嫌でも親近感が湧くものです。長編映画では観客の感情が作品に馴染む時間が使えるんです。しかし、短編映画ではそれが使えません。でも、ビジュアルから考えることで、シーンを積み重ねること無く、世界観を強く押し出せる短編映画が作れるんです。

脚本から考えたとしても、強いビジュアルのシチュエーションにすればいいと思うかも知れませんが、脚本から考えた場合、そのテーマに最適なロケ地を探すことになります。その場合、最優先されるのはロケ地ではなくテーマです。テーマに合ったロケ地を探すので、最強のビジュアルになるかどうかは分かりません。でも、ビジュアルから先に決めてしまえば、どうやっても強いビジュアルを残すことが出来るんです。

デメリットとしては、選んだそのビジュアルでは不可能に思えるテーマがあることです。

しかし、そこに面白い化学反応が起きるんです。例えば、パワハラ問題をテーマに描きたいのに、欲しいビジュアルは洞窟の中だとします。そうすると、洞窟の中でパワハラが起きるとしたらどんなストーリーになるのかを考えることになります。ここにものすごい化学反応が起きるんです。これが先にパワハラをテーマに脚本を書いてからロケ地を探す場合、洞窟など出て来ません。

ビジュアルから先に決めてしまうことで、圧倒的に独創的な世界観を持った短編映画が出来上がる可能性が上がるのです。

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