『SHELL and JOINT』劇場公開初日
3月27日(金)に『SHELL and JOINT』の劇場公開が始まりました。作り始めてから2年以上が経っているかと思います。いろんな映画祭を経て、「こんな映画は劇場で公開出来ない」と言われながらも、ギグリーボックスの宮崎さんのお力もお借りして、シネマートさんでやって頂けることになったんです。
初日ということで、本当ならシャンパンタワーぐらいしたいところでしたが、新型コロナウイルスの影響で、初日舞台挨拶を含めて、いろいろな事が中止になり、いぶし銀の公開初日になりました。
映画は初日を含めた金土日の動員で、その後の上映も決まるのですが、初日の金曜日だけ上映して、土日は都内の映画館がほぼ閉まってしまうので、動員も何もどうしようもありません。
3月25日(水)の都知事の会見がかなり大きかったですが、そのだいぶ前から自粛ムードでしたので、最後のトドメが刺されたような感じですね。憤りのあまり憤死しそうになったとかではなく、逆に「おいしいな」と思ってしました。ここまで直撃すると、今回の新型コロナウイルスで影響を受けた「当事者」そのものですから。発言権あるなと思いました。中途半端よりも良いかなと。
一方で、私がずっと気にしていたことがあります。それは、出演者やスタッフの方々の心情です。監督の私やプロデューサー陣は、劇場が決まり、スケジュールが決まってますので、新型コロナが広まって来ようが、「やりますよ」ということを、ペースを落とさず粛々と淡々と言ってきました。本当はビックリマーク入りで「来て下さい!」を連呼したいのですが、「やりますよ〜」ぐらいのトーンにせざるを得ませんでしたが。
でも、出演された当事者の方々は「当事者」ですので、「あんまり大きな声で言ってほしくない」と心配された方もいると思います。さらに、SNSでコメントがアップされたり、カウントダウンで顔が出てきたりしますから。出演した作品をちゃんと応援したいのに、行動を伴った応援が出来ないと思っていることも想像出来ました。
「観に来てね!」という事は、極端に言うと「新型コロナに感染して死ぬかも知れないけど、観に来てね!」みたいな印象がありますからね。今回の自粛ムードの圧力はそこなんだと思います。中国やイタリアやスペインやアメリカで、毎日何百人もの人が本当に死んで行ってますから、リアリティがありすぎるんです。もしかしたら、親や兄弟や知人に「こんな時に自主的に中止しないなんておかしいよ、あなたの出ている映画。」などと言われた方もいるかも知れません。特に年配になればなるほど、人に迷惑をかける事こそ「最大の罪」と思ってる人がたくさんいますから。
そんな状況ですので、出演者やスタッフの方々は、こんな最中に、本当に劇場に来て頂かなくてもいいんです。私やプロデューサーの気持ちにご配慮して頂く必要は全くありませんので。いや、大きなスクリーンで観てみたい方を無理やり止めませんけどw
なんかその、「あの人の気持ちを考えたら行かなきゃ」とか、優しい人は思っちゃいますから。そういう気持ちは素晴らしいと思いますが、状況によると思いますし、命と引換えにするものではありませんので。
逆の立場で考えるとすごく分かるんです。「マジで予定通り結婚式やるのかよ。」とか「あのどうでもいい打ち上げ、いま決行するんだ。」とか、私だって思いますから。「止められる権限がある人間が止めろよ!」と思いますもん。
今回の劇場公開は、自粛ムードの暴風雨の中で、まともに成立していませんので、落ち着いたところでもう一度仕切り直して、「観に来て下さい!」と言える場を設けたいと思っています。それが今回と同じ様な2週間のレイトショーなのか、1回だけの特別上映なのかは全く分かりませんけれども。その時は、思いっきり「祭」にしたいと思います。
ここまで、私が最近思ったこと、悩んだことを、記録として書いておきました。のちに、書いたことが正しかったのか間違っていた、もしくはどうでもいい事だったのか判明しますが、それも含めて記録することは大事だと思っています。
しかしこの「自粛」というのは、本当にズルいですよね。さっき「劇場に来なくていいですからね」と「感染の危険」の観点から書きましたが、「自粛」を続けていたら映画館が潰れてしまいます。半年後、本当に潰れてしまった時、「あの時、私たちに出来る事は無かったのか?」などとTwitterとかに書いたりすると思うんですけど、「あの時」って「今」なんですよね。今、何が出来るんでしょうね?
そして何となく、東日本大震災の頃を思い出します。あの時「放射線で汚染された東京に残ってるやつはバカだ」と言って、東京を離れて行った人がたくさんいました。その逆を言う人達もたくさんいました。自分の行動を正当化するために、他人の行動を批難する人たちです。自分の行動を正当化するのはいいと思いますが、その正当性を強化するために、逆の意見の人を批難するから分断が生まれるんだと思います。
なんか、取り留めもなくなってしまいましたが、テンションの低い劇場公開初日の日記を終わります。いや、実際には全然テンション落ちてませんけどねw。初日を終えて、気は抜けました。
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