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【じーじは見た!】 後編:経済財政諮問会議の様子を見てみましょう⁉

心はZ世代! 身体は還暦過ぎた昭和人! Z世代応援団のじーじです⁉

経済財政諮問会議は、内閣設置法第18条「重要政策に関する会議」に規定された会議の一つで内閣総理大臣の諮問を受けて経済財政政策に関して重要事項を審議する会議です。

1月~9月の間に11回もの会議が開催されています。令和3年も1年間に17回開催されていて、首相にとっても内閣にとって非常に重要な会議と言えます。

本編は後編です。前編から読んでいただくと話が繋がります。
前編では現状の課題認識をしました。さあ、後編は、具体的な政府への提言を見ていきましょう。

✅民間議員の復習から⁉

経済財政諮問会議の民間議員4名は、次のとおりです。

十倉 雅和 住友化学株式会社 代表取締役会長
中空 麻奈 BNPパリバ証券株式会社 グローバルマーケット総括本部副会長
新浪 剛史 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長
柳川 範之 東京大学大学院経済学研究科教授

第11回の会議議事録から新浪さんと中空(なかぞら)さんお二人の発言をピックアップしてみました。、企業経営者の視点を新浪さんの発言から、金融・投資家の視点を中空さんの発言から見てみましょう。

✅新浪議員の発言⁉

まずは新浪議員の発言です。

この3年間で米国に10回以上行ってきた中で、かつて閑散としていたアメ リカが今は躍動しており、これは賃上げによるもの。いかに賃金が上がることの効果がす ごいことかと目の前で体験した。
(中略)
一丁目 一番地は賃上げ。ただ、その時に忘れてはならないのは、雇用の7割が中小企業にあるということ。この方々の賃金をどうやって上げるか。何といっても最低賃金が、今回961円に決まったが、 何としても、来年には一刻も早く1,000円にするべき。そして、その後の1,500円に向けて ロードマップを描いていく。その中で重要なのは、人材の流動化を含めて、良い人材も動いていく枠組みを作ることで、中小企業が持つ雇用の7割の賃金を絶対に上げることをしっかりと実行していただきたい。
2点目は、皆さんおっしゃっているように人材の流動化について、人材の流動化の受け皿として、いわゆるニューフロンティアを作って、そこに質の高い雇用を作るということが重要で、そのためにGXへの投資、そして、日本はヘルスケアにもまだまだ投資する余地がある。投資を促し、いかに質の高い雇用を作るかということにもっと意識を持たないといけないのではないか。そこに人材が移動することによって結果的に賃金が上がる。また、リカレント教育も、教育の結果が賃金として現れる。兼業や副業も推進していくべきであり、特に副業は実質的な賃上げにもつながり、人材流動化の道筋になるものなので、 是非お願いしたい。
(中略)
私どもが人材育成にすごく力を入れているものの、結果が出るまで何年もかかる。今はハードウエアよりも ソフトウエアの時代で、いわゆる無形資産として人財投資をBSに載せるべきではないか。 岸田総理から、G7の場で世界に対して、人材育成はBSで償却処理をするなどのアカウンティングに関する新しいルールを作るというようなことを提言していただきたい。人材投資は5~6年、又は辞めたらwrite offするなど、見えない資産がこれだけ重要になっ た時に、重たいものだけをBSに載せるのではなくて、無形資産も載せられるように何か しら工夫をすることによって、BSで処理できるようなことも重要なのではないか。

第11回経済財政諮問会議議事要旨より抜粋

新浪さんが「残念な国だな」と思っているのは、日本の企業がムラだからです。ムラの中では上意下達が原則で社員には同調が求められ、批判的な発言は村八分にあうので空気を読む力が何よりも優先されます。

ムラの所属員であること、一つの会社にしがみついていることにインセンティブが働く日本の労働関連法令の下では変革は難しく、新浪さんは「残念な国」と表現されています。

「45歳定年制」などと過激発言(シンボリックな発言)をしてマスコミに「切り抜き」報道され、一時批判されました。

新浪さんが言いたかったのは、みんながチャレンジすることにインセンティブが働くようにすれば、学びを繰り返し成長していくのになあ「もったいないなあ」ということなのです。

心理的安全性が高い組織というのは、役員が言っていることに盲目的に同調する仲良しクラブではなく、社員の批判的な意見を役員が謙虚に受け止め、反省し、役員自らも学び、成長していくような組織を言うそうです。

新浪さんは、そういった批判的な意見を組織の中で発言する勉強家を排除せず、発言しやすい、学びを続ける生産性の高い、緊張感のある組織に日本が変わるためには、雇用が流動化する制度改革が必要だと主張されているとじーじは解釈しています。

✅中空議員の発言⁉

総理の国連での演説が近付いている。
(中略)
また、付随する問題の一つとして、教育制度の柔軟化も必要。 インターナショナルスクールは日本の学歴にならないという話があるが、こういった選択 の以前の分断された問題を、一つ一つ見付けて解決していくと、円安メリットを享受できるのではないか。
(中略)
GXについて、気候変動問題は待ったなしで、どれだけこの問題を大きく総理 が言ってくれるかについては、金融市場でも待っているところ。炭素価格が将来的に250 ドルや800ドルになると言われている分析もある。そう言われると、現下で取引できないのが本当にもったいない状態になっており、気候変動対策を経済成長の源泉とするためには、流動性ある市場形成が欠かせない。アイデアは随分出ている。準備に時間が掛かることももっともだが、秋からやるとか、それが決まったらやるとか来年やるとかでは、投資家の関心は引けない。少しぐらい大風呂敷でも良いので、是非、総理には、このような気候変動問題をやっていきますよ、本格的に動きそうだという期待を抱かせることを述べて いただきたい。

第11回経済財政諮問会議議事要旨より抜粋

人材投資、教育投資、カーボンの排出権取引、何かこれまで「じーじは見た!」シリーズで取り上げてきた内容ばかりですね。

でもじーじは、中小企業に賃上げを求めても今の下請け構造の中では、官製賃上げがそう簡単にできることにはなっていないので、中小企業基本法に手を付けて企業規模を大きくしていくことに舵をきるべきではないかと思っています。

雇用の7割が中小企業ではなく、雇用の5割は大企業になるような再編が必要だと思うのですがねえ。

新浪さんのアカウンティングルールをG7で提案してこいという提言も実に面白いですね。

さて、このような提言を受けて、岸田首相は、NY証券取引所や国連でどんな演説をしてきたのでしょうか?気になりますよね?

そのことについては、明日、一緒に確認してみましょう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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