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アジア最大級のコーヒーイベント、SCAJ2024に行ってきました。

はじめに

10月9日から12日まで東京ビッグサイトで開催されていたSCAJ2024(World Specialty Coffee Conference and Exhibition)に2日間参加してきました。世界中からコーヒー関係者が集まるイベントとあって、コーヒーラバーにはたまらない場なのですが、実際に行ってみると想像の何倍も熱く楽しい場で、ずーっとコーヒーを飲みながらずーっとコーヒーの話ができる夢のような場でした。

東京ビッグサイトの看板

公式サイトによると、今年は世界35の国と地域から350社、4日間で7万人が参加したそうです。戦利品(記事冒頭の写真)を眺めつつ、参加体験を振り返りたいと思います。


台湾珈琲を日本、そして世界に(台湾珈琲研究室)

数年前にLightUpCoffeeさんが焙煎して販売されていた台湾産のコーヒーを飲んで感動したことがあります。以来、台湾のコーヒーが気になっていたのですが、あまり日本のお店で見かけることがなくなりました。ブランド化して高価格になったとかいう話も聞き、手の届かない高級コーヒーになったのかなあと思っていました。

今回のSCAJには台湾珈琲研究室(TCL Taiwan Coffee Laboratory)さんが出展していて、コーヒーの試飲はもちろん、ドリップバッグやグッズの販売をしていました。特徴的だったのは生産者がSDGsや環境保護に重点を置いていることをアピールしていたこと。もちろん良いことなのですが、そうするとコーヒーも高額になってしまうのかもと思いました。

さて、わたしの戦利品(記事冒頭の写真左上隅)は台湾珈琲のドリップバッグセット。正直なかなか良いお値段でした。箱には「初めての珈琲」と書いてあって、何が「初めて」なのだろうと後から思ったのですが、台湾コーヒーの日本での販売を目指すクラウドファウンディングのページによると、日本人が初めて飲んだコーヒーは日本が台湾に伝えて栽培した「台湾珈琲」だったかもしれない、というコンセプトに基づいた台湾珈琲のブランド名が「初めての珈琲」なのだそうです。2020年には、台湾の珈琲と日本とのつながりを題材とした同タイトルの短編映画が政府主導で製作されています。

ローストマスターズチームセッション(SCAJ企画)

1日目でざっと全会場を見て回れたので、2日目はステージイベントを見てみようと思い、日本全国の焙煎士さんが8つのチームにわかれて同じコーヒー豆をそれぞれ焙煎してプレゼンし、ゲストと会場の参加者がそのコーヒーを試飲してコメントするローストマスターズチームセッションを見ました。今年の課題豆はわたしが一番好きな産地、ケニアです。会場では8チームが焙煎したコーヒー豆もセットで販売されていたので自分へのお土産に購入しました(記事冒頭の写真右上)。

面白かったのは、同じ豆なのに、焙煎前に目指す味のキーワード(オレンジ、ザクロ、アップル、など)がチームごとに違っていたこと。特に印象的だったのは、中四国チームが焙煎プロセスを進める前に、目指す味のフルーツを実際に買ってチーム全員で食べて味のイメージをしっかり共有していたこと。焙煎によるコーヒーの味づくりというのは、すごくクリエイティブなプロセスで、言葉やイメージが果たす役割が大きいんだなと思いました。

プレゼンはかなりマニアックというか専門的で、焙煎時の豆の温度変化グラフがプロジェクターで会場に映し出されるのですが、その温度カーブを会場に座って見ているかなり人たちがスマホでスクショしていたのが印象的でした。

8チームのプレゼンが終わった後は、会場のわたしたちも8種類のコーヒーを飲み比べさせてもらえました。どれも美味しいけど、違う味と質感。しかも同じコーヒーも温度が変わるとどんどん味が変わるので、どれが一番美味しい、と決めるのはなかなか難しいなと思いました。

エチオピアのマイクロロット(nano coffee roaster、東京)

わたしはアフリカのコーヒーが好きです。エチオピアの文字を見かけて、ふらふらっとnano coffee roasterさんへ。何種類か美味しいエチオピアのコーヒーを試飲させていただき、2020年のCOE(カップオブエクセレンス)に輝いたニグセゲメダ農園のナチュラルを購入しました。こちらはエチオピアに産地を限定したエチオピアコーヒーの専門店で、コーヒーの「香り」にフォーカスして日本でもまだ流通の少ないマイクロロットを扱ってるそうです。

素敵な笑顔の写真を撮らせていただきました!

インドのロブスタのスペシャリティ(YETTU、東京+インド)

初めての海外旅行で行ったのはインドということもあり、インドのコーヒーも気になるのですが普段はあまり見かけません。YETTUさんはインドのコーヒー豆を直接取り扱っているそうで、ブースにはインド人スタッフの方も。

インドのコーヒー自体もあまり見かけないのに、今回さらに珍しかったのは、スペシャリティコーヒーグレードのロブスタ種があったこと。ボディがしっかりして、ナチュラルプロセスなのにアナエアロビックのような、まるでお酒のような個性のあるコーヒーでした。ちなみにロブスタ種のカフェイン含有用はアラビカ種のおよそ2倍だそう。

YETTUさんのコーヒーはパッケージのイラストも独特です(記事冒頭の写真下左から2番目)。

軽い力でエスプレッソレベルの細かさに手挽きできるコーヒーグラインダー(中国)

今回、SCAJの会場でいろいろなコーヒー器具を見ていて感じたのは、中国のメーカーが作るコーヒー器具のデザインと質の高さ。しかも価格は欧米の製品に比べてリーズナブル。

個人的にはエスプレッソに対応した細かさに挽けるグラインダーを探していて、コーヒー豆が浅煎りで硬い場合は、正直手挽きでは無理だろうから電動にしようかなと思っていたのですが、中国のコーヒー器具メーカーMAVOさんのグラインダーPhantox Proはあっさりその思い込みを覆してくれました。このグラインダーなら、比較的軽い力でエスプレッソを手挽きできます。しかも挽き目がきれい。

しかも価格は今使っているTIME MOREの旧機種よりリーズナブル。展示品を割引価格で購入できることになったので衝動買いしました(記事冒頭の写真真ん中)。

中国の人たちがみんなスペシャリティコーヒーを飲むようになったら、コーヒー器具が大量生産されて良いデザインの良いものがお手頃価格で入手できるようになるのかもしれません。

日本一、世界第二位のバリスタさんが淹れたコーヒー(Bespoke Coffee Roasters, 埼玉)

スペシャリティコーヒーにハマり始めた数年前、よく見ていたのがJBrC(ジャパンブリュワーズカップ)2019年と今年の優勝者で、WBrC(ワールドブリュワーズカップ)2021年2位の畠山大輝さんのYoutubeチャンネルでした。ふと数メートル前を見るとその畠山さんがいたのでびっくりして挙動不審になりました。近づきたいけど恐れ多くなり、まず数メートル離れたところでスタッフの方と談笑。せっかくだから、列について写真をとスタッフの方に薦められて列につき、畠山さんの前に行ったところ、「あ、サブスクの方ですね」と声をかけられ、え、名前を覚えてるんだ、すごい!とさらにびっくり。心震えつつ、畠山さんが淹れた雲南ブレンドを試飲させていただきました。

JBrC2冠、WBrC2位の畠山大輝さん

雲南のコーヒーは何度も飲んだことがあり、果実酒のようなフレーバーですが、畠山さんの淹れた雲南はこれまでで一番上品でやさしい味でした。自宅でも飲みたくなり、このブレンドとボリビアのシングルオリジンを購入(記事冒頭の写真右下)。

そして畠山さんがドリップしてる写真、いや動画を撮ろうと「撮っていいですか?」と許可を得て近づき撮影‥したつもりが、気が動転していたようでなんと動画の録画ボタンを押していませんでした‥。というわけで、手元に残るのはおまけで撮った数枚の写真のみ。

ちなみに今年のブリュワーズカップ決勝はこの翌日で応援したかったのですが、体力が尽きていたのと仕事があったので会場に行けませんでした。うー、優勝の瞬間を生で見たかった。

ランチタイムとおやつタイムはコーヒーラバーと交流

SCAJってコーヒー好きの集まりでお祭りなんだな、と実感したのは会場でお昼を食べる時でした。会場のテーブルで相席すると、初対面でも苦もなく会話が続き、ずっとコーヒーの話ができてしまいます。というわけで、会場ではひとりぼっちになる暇がありませんでした。間借りカフェをしている方、コーヒーをテーマに絵を描いている元バリスタさん、最近焙煎を始めた編集者さんとコーヒー談義を楽しみました。

まとめ

アジア最大級のコーヒーイベントとあって、会場は大賑わいかつ出展者が多すぎて人の多い迷路のようでした。それでも2日間参加しただけで、大量の情報が得られ、いろいろなコーヒーを味わい、楽しくいろんな話ができました。この記事でご紹介したのはその一部です。

実は期間中開催される各種セミナーにも参加したかったのですが、気づいた時には参加申し込みが定員に達していて参加できませんでした。次はもう少し計画的に、早めに申し込みたいと思います。

1年に1度、このイベントに参加できたら、コーヒーラバーとして相当に幸せです。ぜひ来年も参加したいと思います。またいつかは、世界規模のコーヒーイベント、World of Coffeeにも参加したいなと夢がふくらみました。


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