2013年M市


Google Driveを開けてみたらこんな文書が出てきた。

SACHICOを知ったのは2011年か12年だったと思う。加藤治子さんの講演で、阪南中央病院産婦人科とSACHICOでの性暴力被害者支援の活動について知った。 当時、僕の関わっていた性暴力サバイバーには高齢の人が多かった。中には70代で50年以上にわたって被害に遭い続けていた人もいた。そういう人たちの治療や支援は困難を極めた(これについてはいずれ書いてみたい)。 そんな僕には、性被害に遭った直後から支援ができるワンストップセンターは希望だった。 男性の精神科医を受け入れてくれるか不安だったが、加藤さんは快く受け入れてくれた。いわく、弁護士は女性がよいが、治療者は性別は二の次とのことだった。そして僕は阪南中央病院の常勤医となり、SACIHCOに関わるようになった。

これから何回かに分けて、僕のSACHICOとの関わりについて書きたい。以下に引用した文書からはその一端が垣間見えると思う。元は、学会発表のための抄録だ。


性暴力救援センターで精神科医にできること
【目的】
性暴力救援センター大阪(通称SACHICO)は2010年に阪南中央病院内に開設された。医療、司法を含む、被害直後からの総合的支援を1ヶ所で行うことのできる、いわゆるワンストップセンターである。
著者は2012年8月よりSACHICOに精神科医として関与してきた。
その活動を踏まえて、ワンストップセンターにおける精神科医の役割と今後の可能性について考察する。
【方法】
2012年8月から2013年6月までのSACHICOにおける活動のレビューを行う。
【結果】
活動は主に、紹介患者の診療、カンファレンスへの参加、鑑定書作成など司法分野の活動からなる。
紹介ケースは24例。直後から急性期での通常のサポートにも関わらず慢性重症化したケース、多重トラウマによる複雑性PTSDのケース、自殺念慮が強く緊急介入が必要なケース、などである。
カンファレンスは月1回開催され、毎回1、2ケースを取り上げている。カンファレンスは何より支援員のための場である。支援員の心理面へのサポートも含んだ控えめな助言・情報提供を行なって来た。
担当警察との話し合いは3例、鑑定書の作成は2例で行なった。
【考察】
一般病院精神科業務と平行してではあるが、著者が常勤精神科医としてSACHICOに関わることにはいくつかの利点がある。1.紹介がスムーズになり、被害者が精神科医療を受けやすくなった、2.産婦人科医・支援員との連携でチームとしての関わりが可能になった、3.弁護団、警察との連携で強力な司法的支援が可能になった、などである。
その一方で、課題も多い。1.明示的な紹介基準の作成 2.限られたリソースで可能な、被害者にとって敷居が低い、治療プロコトルの作成 3.SACHICOのカバーする広いエリアに対応した精神保健専門職による地域ネットワークの構築、などである。


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