米国株 SaaS関連「業界地図」っぽいもの No.2 成長率 追加版
先日作成したSaaS関連の「業界地図」っぽいものに、直近の成長率を追加してみました。業界全体の状況を俯瞰するのに参考にしてみてください。
注意事項
1.各社のIRページから、最新の決算を取得したつもりですが、誤りがある可能性があります。正確な情報はご自身で確認してください。
2.他の事業を含めた成長率になっている部分もあるので、注意してください。(AWS等のクラウドサービスは該当箇所を抜き出したつもりです。)
3.景気循環(半導体サイクル)、コロナ需要等で一時的に高い成長率になっている可能性があります。継続的な成長率を保証するものではありません。短期的な4半期の推移ではマイナス成長になる可能性もあります。
注意事項を述べたところで、画像を無料で公開しまーす。
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9月8日版
9月11日 最新版(Zscaler、Oracle、Bigcommerce、Peloton、Slack更新)
9月23日 最新版(Microsoft Dynamics365、Hulu売上成長追加)
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ココからは個人的な見解です。
気になる人だけ読んで頂ければと思います。
個人的な見解ですが、全体を俯瞰すると古くからある企業は健闘しているものの、厳しい状況にあるなぁというのが全体の印象です。
DBのOracleもネットワーク機器のCiscoも苦戦しているし、セキュリティ関連のTrendMicroやノートンライフロック(旧シマンテック)も苦戦しています。仮想化技術のVMWやCTXSも苦戦しています。
古い企業は、既存で抱えているものが大きいので、新しい市場で得るものよりも、失うものが大きく、新しい市場に積極的に進出できないという「イノベーションのジレンマ」みたいな状況が垣間見えます。
例えば、ビデオ会議のZoomは認証ステップを簡易化し利便性を高めることで離脱率を下げ、爆発的にユーザ数を増やしましたが、同じくビデオ会議を提供するMicrosoftのTeamsはレガシーのシステムが足かせになって、認証ステップを簡易化できなかったのでは無いかと思います。また、Cloud化されていないような、旧来からのCiscoのビデオ会議システムのWebEXは突然の需要増に対応が出来ていなかったのではないかと思います。
一方で、古い企業にも強さが伺える分野があります。クラウドサービスではAWS、Azure、Alibaba Cloud、Google Cloudが、高成長を維持しています。この市場は、マーケット規模が非常に大きい事と、大資本が勝ち安い市場であることが伺えます。古参の企業としては、資本力を武器にして大きな市場で戦う事が最善策なのでしょう。また、逆に新興企業としては、資本力の勝負にならない戦い方、レガシーのシステムが足枷になるような戦い方をするべきなのでしょう。
個人的な話になりますが、私は、CrowdStrikeのような企業に技術的な優位性を認めつつも、TrendMicroやノートンといった古参に直ぐに追いつかれてしまう一時的な優位性だと過小評価していました。なぜなら、セキュリティ対策はシステム全体をトータルで考えるものであり、古参の方が周辺機能や過去のノウハウによる優位性を発揮すると考えていたからです。しかし、上図の成長率を俯瞰しつつ「イノベーションのジレンマ」という観点で見直すと、レガシーの資産を持つ古参の方が、既存システムの足枷があり、厳しい戦いを強いられているのかもしれないと思い直しつつあります。(これは天井フラグかもしれません。(笑))
他の部分も見ていくと、
DNS関連のVerisignは利益率が高く強固なビジネスだと思いますが、この図の中では成長率が低く見劣りして見えます。
ネットワーク機器の部分は謎です。全体としてトラフィックは増えているはずなのに、軒並み減収になっていて、誰が儲かっているのか今一つ状況が良く分かりません。Huaweiは米国と周辺国から締め出しを受けているはずなのに、伸びているのはHuaweiだけ。何か見落としがあるのか、これから需要が伸びるのか?謎です。
CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)に着目すると、高い需要が伺えます。ユーザの離脱を防ぐため、少しでも早くコンテンツを表示させることに需要がある事が伺えます。少し話がそれますが、大手の小売りWlamartやAmazon等で即日発送サービスが人気があるようです。それどころか、インターネットで注文して店舗に取りに来るサービスもあったります。こういう事を見ていると「ユーザは待てない!」という事を痛感すると共に、ユーザーを待たせない事に強い需要があることを、度々感じます。(短期的な話ですが、Tiktokは、Fastlyの顧客だったと思いますが、MicrosoftがTiktokを買収するとAzureのCDNへ乗り換えが発生するかも知れないので注意が必要かも知れません。)
CPU・GPUは小型化競争で後れを取っているIntelが少し苦戦しています。Intelは、製造をTSMCに外注するようになるのではないかという噂もあるようです。しかし、小型化競争も物理的な限界が近づいているようで、中長期的には、新たな方式の発明がテーマになっているようです。
半導体関連は、詳しくないですが、半導体サイクル等の景気循環があるので、この需要が続くか注視したほうが良いかもしれません。
データセンターは全体的に伸びていますが、低成長です。コロナ需要があるのかと思いましたが、シェルターインプレイスの影響で、現地で物理的な作業が必要になるようなものは伸び悩んでいるように見えます。暫く高成長だったVmwareの高性能製品も伸び悩んでいるようなので、物理的な作業を伴うものは厳しい状況だったのかもしれません。もしくは、景気の先行きを心配して大型の支出は控えられているのかもしれません。
図の上位のSaaSに注目すると、
幾つかに分かれた強い需要があるように見えます。
・リモートワークの需要。
→ ZM、WORK、DOCU
・利便性向上とIT部門のコストダウン需要。
→ DDOG、OKTA、SAIL等
・ヘルスケア需要
→ TDOC、LVGO、PTON
・オンラインサイト構築、実店舗の代替販路確保
→ SHOP
個人的には、IT部門を効率化するシステムが成長しているとは知りませんでした。
【追記】IT効率化システムの高成長について
これがどういう事か考えていたのですが、IT部門の目線で考えみると、複数のSaaSのシステムを導入する場合、統合認証・ID管理(・システム監視)は絶対あった方が良い気がしてきました。これが無いと、誰がどのシステムを使えるのかという権限制御や、課金対象のユーザ管理と言った運用が煩雑になってしまいます。従業員が多い企業の場合、この機能がないと運用が回りません。雇用の流動性が高い米国では、尚更、必要になると思います。(注意:類似するソフトやオープンソースもあるので、今回紹介した企業が絶対使われるとは限りません。)
以上、個人的な見解ですが、少しコメントしてみました。
最後にひとこと。コロナ後、金融政策と財政政策で支えられ、株価が上昇してきましたが、ワクチンが出来て、コロナ需要が減少することも考えられます。今後、どうなるか、確かな事はわかりませんのでお気を付けください。
一度、導入したら元に戻れないようなシステムは?スイッチングコストが高いシステムは?解約率が低いサービスは?みたいな条件に合致すれば、ひょっとすると、逆風になったときも少しは強いかもしれません。
作業おつかれさん、の意味を込めて、
「缶コーヒー一杯ぐらい、ご馳走してあげよう」という
太っ腹な方がいれば、お願いします!
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