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察してあげない

長男が塾に行く前。そこそこ雨が降っていて。
雨、大丈夫かな、長男くん、塾行けそうかな?と私が声をかける。
「傘、大きくしたい」
うん、大きくすれば?こう、ビヨーンと伸ばして。
「じゃなくて、大きい傘にしたい」
うん、いいんじゃない。ビッグライトでも当てれば?
「大きい傘を!買ってください!」
よろしい。
それなら、何をしてほしいか分かる。

長くなってしまったので、今日は見出しつき。

「傘、大きくしたい」はどうとでも取れる

最初の「傘、大きくしたい」で、「じゃあ、大きい傘買おっか」と話を進める親も多いだろうが、私だと「今日だけ大きい傘にしたいってこと?新しいの買いたいってこと?今日の帰りの傘がもっと大きかったらな、と過去を悔やんだ話?まさか、きのこの話っ!?」…と、いくらでも他の意味にとれてしまうので、あえて、そのまま受けとって話を進める。

親は先回りしちゃうもの

親は自分の子どもとずっと一緒にいるから。
子どもが何を言おうとしてるのか、最後まで聞かなくても大体分かってしまう。だけど、それをやりすぎていると、中途半端な言葉だけで全部伝えようとしてしまうような気がする。「やばい」「えぐい」etc…
特にありがちなのが、子どもって「自分がして欲しいこと」をちゃんと言わない。
さっきの傘の例でもそうだが、「与えられるのが当たり前」になっていると、要望を最後まで言わないことが多い。
「お母さん、お茶ー(とって)」→お母さんはお茶ではありません。
「お母さん、水筒(準備してー)」→お母さんは水筒ではありません。
最後まで言わないとわからんよ、とたしなめて、要望をきちんと伝えてもらうようにしている。
ちなみにコレ、2歳児にもやってる。まぁ、2歳児はまだ語彙力も表現力もそんなにないので、ほどほどにしているが(でも、自分の知ってる言葉で一生懸命に伝えようとしてるの、ほんとかわいい)。
少しでも表現力を伸ばそうと、あえて先回りして回答はしないようにしている。

子どもの表現を上書きしない

先回りして回答すると。
子どもの本当の言いたかったことが、親の回答に引っ張られてしまうことがある。
本当は何が言いたいのか、ニュアンスを含めて聞きたいから、会話の時も、直接的な表現は避けて「どうだった?」と訊くことにしている。
「楽しかった?」と言ってしまうと「楽しかった!」になるし、
「悲しかった?」と言うと「悲しかった…」となる。
本当は、楽しいよりも嬉しかったの方が強かったかもしれない。
悲しいよりも、悔しいとか、つらいの方が強かったかもしれない。
そういう微妙なニュアンスを私の表現で消したくない。

人によって違う、モノに対する表現

モノに対する表現力って、本当に人それぞれで。
同じ色を見て、多くの人が「赤」と言ったとしても、「橙」という人もいるだろうし、「紫」「黄色」「ピンク」「緑」「黒」「白」って人もいるだろう。「青じゃない色」って表現をする人もいるかもしれない。色なんて、色覚に優れた人が「この色はこう呼ぶことにするわー。」って感じで感覚に名前をつけただけの話だから、同じ感覚を持ってない人からするとピンとこないのは当たり前。
表現力、言葉とかもそう。
うちの次男は表現力が独特で、一度目では何を伝えようとしているか分かりづらい。一般的にみんなが使っている表現力だけで会話すると、「ちょっとこの子何言ってるかわからない」となりがちだ。本人も、自分は懸命に伝えようとしているつもりなんだけど、伝わらないことが多いので、段々自信をなくしてしまう。
話を整理して聞いてみると、ほとんどの人には「赤」と言えば伝わるものを、次男は「ポストの色」「血液の色」と言っているだけで、指してるものは同じだったりする。語彙力だけの問題ではなく。

認識合わせも大事

できるだけ、子どもの表現力を大事にしつつ、私個人の受け取り方はこうだ、一般的にこう受け取られそうだな、と言うのも伝える。
「ポストの色といえば『赤』が一般的だけど、『青』を想像する人もいる」
「『赤』といえば『(一般的な)血液の色』を想像する人が多い」とかね。
表現力はいくらでもある方がいい。
で、相手と自分の認識にズレがないかどうかの確認は、例え話で行う。
昨日投稿した記事の中にもある、「小腹空いたから軽くおやつでも食べるつもりが、がっつりラーメン食べちゃった」が、まさにそれだ。
「あーそれそれ!」となれば表現が違ってても、感覚の共有はできる。認識が合っているかの確認ができる。出来なければ、また別の言い回しを試す。

私の子ども時代の習慣

思えば私が育った家族環境、ちょっと変わっていたかもしれない。
父、母、姉、私の4人家族だったが、いわゆる言葉遊びが横行していた。
テレビのリモコンが欲しい時に、「リモコンとって」とはまず言わない。
「ボタンがいっぱい付いてて、黒くて細長くて…」
条件を聞いて、分かったら、ああ、リモコンね。と、誰かが渡す。
「つめたーくて、あまーくて、とろーっとしてて…」
こう言われて、アイスだ!とすぐ答える時もあるが、伝えたいものが何かわかっているのにわざと「練乳?」とかふざけることもある。
若干、回りくどいんだけど。
なんだか、物心ついた時から、ずっとそれが習慣になってる。
いまだに、そんな会話を実家に帰った時にもしている。


夫婦間なら「全部言わなくても察してよ!」で、いいかもしれないが(実際は察するの無理ですよん)。
子どもは、できるだけ、察しない。
全部引き出す。全部言わせる。

長くなってしまった。
さ、大きい傘を買いにちょっと密林行ってこよっと。

長文お付き合い、ありがとうございます。ぺこり。

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