HIPHOP Metro Networks Vol.7: Me Myself And I / De La Soul
前回紹介したA Tribe Called Questが所属していたのがHIPHOP史における伝説のグループ、Native Tongue(ネイティブタン)です。彼らはそれまでHIPHOPの定番であった「ハードコア」「銃」「金」といったキーワードを排除し、自分たちが本当にやりたい音楽を追求、以前のステレオタイプ的HIPHOPに対して新しい価値観を提案したのです。これをきっかけにHIPHOPはニュースクールの時代に突入していきます。
そしてA Tribe Called Questと共にNative Tongueの中核をなしたのがDe La Soul(デラソウル)です。Posdnuos(ポスドゥナス)、Trugoy the Dove(トゥルゴイ・ザ・ダヴ)、Pasemaster Mase(ペイスマスター・メイス)の三人からなるこのグループは独自のワードセンス、ジャズ/ファンク/ソウルをベースとしたポップかつドープなサンプリングビート、そしてある意味オタク的なスタンスと新しい価値観を引っさげて数々の名曲を生み出しました。TrugoyというMCネームは彼が大好きなヨーグルト(Yogurt)の逆読みから名付けられたというエピソードからも分かる通り、かなりユニークなグループです。
今回はそんな彼らの曲の中でも彼らのスタンスが良く分かる名曲、Me Myself And Iをピックします。Q-Tipもチラッとでてくるので要チェックです!
MVを見ただけでも伝わってきますが、メンバーがold school HIPHOP風の高校に入学し、それに対して風刺をきかせつつ、批判するという内容です。なかでもDEF BEATという名前の担任の先生が最高にユーモア効いてますw
それではリリックを見ていきましょう。
リリック/パンチライン
まずはフックはこちら。
It's just me myself and I
俺は俺しかいない。
短いですが、自分は自分であり他の誰でもないオンリーワンな存在である。既存のステレオタイプには染まらないぞという意思が強く感じられますね!
次に印象的なバースを見ていきます
Mirror, mirror on the wall
Tell me, mirror, what is wrong?
Can it be my De La clothes
Or is it just my de la song?
What I do ain't make-believe
People say I sit and try
But when it comes to being De La
It's just me myself and I
鏡よ鏡よ鏡さん、何が間違っているのでしょうか?
私のDe La 服でしょうか?それともDe Laソングでしょうか?
俺は見せかけだけの偽りじゃない
人は言う、私は座って真似をしているだけだと
でも、それがDe Laになるってことだ
俺は俺だぜ
冒頭からディズニーの白雪姫をサンプリングしながら、自分達のスタイルの何が間違っているのか?という疑問を投げかけています。また、要所要所にDe Laというワードが出てきますが、これは彼らのオリジナリティやアイデンティティを表現していると考えられます。
Always pushing that we formed an image
There's no need to lie
When it comes to being Plug One
It's just me myself and I
俺達が作ったイメージを常に膨らませ続ける
嘘は必要無い
Plug Oneになるってことだ
俺は俺だぜ
ポス(Posdnuos)は以前Plug Oneという名前を使っていたことがあるそうで、このバースでは、自分の中の原点であるPlug Oneというオリジナルになるということがキックされています。
Right is wrong when hype is written
On the soul, De La that is
Style is surely our own thing
Not the false disguise of showbiz
誇大広告に書かれたことは間違ってる
心の中に。それがDe La
このスタイルは俺らのものだ
芸能界の偽物の仮面じゃないぜ
ここでも自分たちのスタイルは偽物じゃない、自分たち自身の物だという気持ちが表現されています。
そして最終的にold styleなHIPHOPに別れを告げるように高校を辞めます。
彼らのスタイルや決意が表現された1曲でした。
サンプリング元
元ネタはファンクバンドの大御所Funkadelicの(Not Just) Knee Deep!
元ネタの雰囲気を残した良いサンプリングですねー!
Header photo by Hisae Kuroda on Unsplash
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