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HIPHOP Metro Networks Vol.4: Why / Jadakiss feat Anthony Hamilton


前回のStyles P(スタイルズピー)から、The Lox(ザ・ロックス)、そしてRuff Ryders(ラフライダース)繋がりで、今回はJadakiss(ジェイダキッス)にフォーカスしてみます。彼の数ある楽曲の中でもコンシャスなリリックが痺れるWhy / Jadakiss feat Anthony Hamiltonを今回はピック。

まずとにかくビートがヤバいです。調べてみると、プロデューサはなんとMobb DeepのHavocなんですね!どうりでカッコいいはずだ。
Jadakissのラップでは音楽業界、銃社会、刑期/刑務所、著名なHIPHOP/R&Bアーティスト、バスケットボール選手、政治、友人の事故、ドラッグ、芸能界、自分のスタイルなど、様々な分野に対してWhy?と疑問を呈していきます。
そしてAnthony Hamiltonの落ち着いた王道のHookも良いです。

リリック / パンチライン

リリックの内容については、アメリカの文化、時事ネタなどに精通していないと正直理解が難しいのではないかと思います。一通り読んでみましたが、バックグラウンドが理解できてないので非常に難解だと感じました。今回は分かる範囲でいくつかラインを取り上げてみます。

まずはHookです。

All that I’ve been given
It's this pain that I’ve been livin'
They got me in the system
Why they gotta do me like that?
Tried to make it my way
But got sent on up the highway
Why? Oh why?
Why they gotta do me like that?
私が与えられた全てのもの。それはこれまで生きてきた痛みだ。
彼らは私をシステムの中に入れる。
なぜ彼らは私をそんなことをするのだろう。
私のやり方でそれをやってみた。しかしハイウェイに送られてしまった。
なぜ?なぜなのか?なぜ彼らは私をそんなことをするのだろう。
(ハイウェイはスラングと思われるがピンとくる表現を見つけることができませんでした・・・)

黒人として虐げられてきた痛みや貧困、政治に対する不満や不条理さ。
なぜこんな世の中なのか。変えようとしても変えられない。そんな心情が伝わってきます。

ここからはJadakissのバースで分かりやすいものをいくつか抜粋します。

Yeah, and why they gonna give you life for a murder?
Turn around, only give you eight months for a burner?
なぜ彼らはあなたたちに殺人者としての人生を与えるのだろう
振り返ってみると、銃のために8ヶ月を与えるだけだ。
(銃犯罪の刑期が軽く、法を犯してもすぐに刑務所から出てこれるため、再犯率も高い。)

アメリカでは銃を容易に手に入れることができ、かつ刑期の短さから殺人を犯してしまう人が多いという意味でしょうか。銃に関する法律の規制を訴えています。

Why they kill 2Pac and Chris?
なぜ2pac、ビギーを殺すのか?(Chrisはビギーのニックネーム)
Why Aaliyah have to take that flight?
なぜアリーヤはあのフライトに乗らないといけなかったのか?
(2001年、ミュージックビデオの撮影を終えたアリーヤを載せたセスナ機が墜落、帰らぬ人となった)

この2ラインは既に亡くなってしまったHIPHOP、R&Bスターへの言及ですね。これらのアーティストへのリスペクトが感じられます。

Why I sell in the stores what you could sell in the streets?
Why I say the hottest shit but be sellin' the least? 
なぜ、ストリートで売れるものをストアで売るのか?
俺は最高のsh*tを飛ばしているのに、なぜ売上が伸びないんだ?
(路上でミックステープとして売った方が稼ぎがでるのに、レコード会社に所属して売上の一部をもっていかれることへの憤りや、最高の作品を出しているのにレコード会社のプロモーション不足で売上が伸びないことへの怒りが表現されているとのこと)

こちらのラインでは自身とレコード会社の関係やプロモーション不足など、暗にレコード会社への批判が読み取れます。

その他、完全に翻訳することは難しいですが興味をひかれるパンチライン多数ですので、是非他のバースも読んでみてください。

サンプリング元

元ネタはフランス発のジャズ、和楽器等を取り込んだプログレッシブロックバンド、GONGのMandrake。怪しい雰囲気ムンムンなインスト曲です。
この曲が入ってるGONGのアルバムShamalは他にも楽器主体の曲が多数収録されており、ビートのネタとして一枚持っておいてもよさそうです。

Photo by Raluca Seceleanu on Unsplash


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