琴平 第2のふるさと
私は関西に住んでいる大学3回生。
そんな私がここ数か月で泊り込みで3回訪れた土地がある。
それは香川県琴平町。
日本で1番小さい人口の都道府県の2番目に小さい町。こんぴらさんの愛称で有名な金刀比羅宮が観光地で有名な場所だ。
しかし私は観光で来たのではない。
第2のふるさとをつくりに来たのだ。
「1度きり」から「何回も」へ
私はこれまでに日本各地様々な土地を訪問してきたが、泊まり込みで複数回訪れた場所はこれまでに無かった。1度きりで終わることが多かったのだ。
「観光地は1回訪れたらそれで良いのでは?」
「同じ土地に何回も訪れる理由はあるのか?」
というのが過去の私の考えである。
もちろん一度きりの観光でも得られる体験は素晴らしく、時間や費用の関係で複数回の訪問は難しいといったケースが多いだろう。
しかし4か月の間で計3回を通して、地方との絆の高まりを実感した。
それは2倍、3倍というように倍数的ではなく、2乗、3乗と指数関数的に増えている。
本当に第2のふるさとはできるのか??
私が所属する学生団体TABIPPO学生支部の繋がりで琴平町のツアーの案内を受けたことがきっかだ。このツアー企画で興味を持った点として、4回以上訪問することを参加条件として示されていたことだ。
地方に訪ねるツアーはこれまでに山ほど聞いてきて、既に何回か参加したこともある。このようなツアーでは友達と行く観光とは異なり、地域の人と繋がりよりその土地のことを知って関わることができることがメリットだと思ったからだ。
振り返ってみるとその土地固有の景色を見たり、農業など地方ならではの経験をさせてもらったりと、滞在している瞬間にスポットを当てると確かに充実していた。
しかしそれ単体では十分にご縁を繋ぐことは難しい。私の経験からもそれ以来そこで知り合った地域の人や他の参加者と関係が継続されるケースは稀で、
「1度きりのご縁は何とも脆いのか……」
ということを痛感してきた。そして訪問している時に自身の中にあった「もう一度行きたい」、「もう一度会いたい」という気持ちが時間の流れと共に擦り減っていく。そして私から連絡を取ろうという気持ちも無くなっていく。
一言で表すと1回ぽっきりでは長期的な充実度には繋がらなかった。
短期滞在を繰り返すとなると日程調整や交通費の負担が増えるなどネックなこともあるが、末永くお付き合いできる関係を築けるのではと思った。
だからこそ今回の企画では「第2のふるさと」をキャッチコピーとしてではなく本当に体現できると思い参加を決意した。
何をやっているのか??
私を含めたTABIPPO学生支部のメンバー6人が観光庁の「第2のふるさとづくりプロジェクト」に参画した。複数回の琴平の滞在を通して琴平の魅力を発見し、それらの発信や独自の企画を通して「第2のふるさと」として何回も帰ってきたくなるような場所を作るというプロジェクトだ。
具体的な活動内容として、8月と9月の滞在には、事業者さんの元で短期アルバイトをしたり、地域のイベントのボランティアをしたり、SNSの運用を手伝ったり、地元の人が集まる懇親会に参加したりと普段の観光では行えないような経験が盛りだくさんの内容だった。
3回目の訪問の期間である2024年11月9日から10日にかけてはTABIPPO学生支部のメンバーにも声をかけ、追加で7人が来る運びとなった。
「短期間だけど琴平を知って楽しんで欲しい!」
という思いを込め、琴平の観光に関わるミッションが書かれたデジタル版のビンゴカードをプロジェクトメンバーの6人で作成した。
達成時の写真を撮影しビンゴカードに張り付け、1枚のビンゴカードに思い出が集約されるように工夫した。また3チームに分けた上でビンゴの数に応じてチーム賞と個人賞を用意し、琴平のお土産がゲットできるチャンスを示すことでゲーム性を持たせた。
充実度MAXの2日間!!!!!
たった2日間の滞在で充実した時間を過ごせるか不安もあったが、結果的に非常に密度の濃い時間となり私の心配は杞憂に終わった。
1日目はイベントの参加や講演を通して琴平のことを知り、2日目はインプットした内容をもとに琴平の各地を自分の足で巡ることができた。
ビンゴのおかげで行き先が明確になり、達成の度に写真を撮影していたことからメンバー内で共有されている写真の総数はなんと1000枚を超えた。それだけ沢山の思い出を作れたということを意味しているのだと思う。
今回はあっさりとした感想にとどめておくが、詳細な当日の様子は一部分でも別の記事にまとめられたらと思う。
心境の変化
1回目の8月は地元の方と初対面でツアーの参加者として訪問した感覚、2回目の9月は自由時間が比較的多かったが他のタスクで頭がいっぱいで純粋に楽しめなかった記憶が残っている。
しかし3回目の11月は1日目のイベントで出会った人との会話やこんぴらさんの朝参拝など初めての経験もあり、いつもより多くのメンバーと沢山の場所に訪れることができた。
夜通し起きていたことで疲労が蓄積しているはずだが、純粋に旅を楽しんでいる様子をみんなから感じられた。
みんなが楽しんでいる様子を見たり、「楽しかった!また行きたい!」という声を聞くだけでも心が温まった。
そしてこの記事を執筆中なのに手を止めて1000枚の写真を見返している自分がいた。
「みんなと行けてよかったな~」と思い出に入り浸りながら1時間程ほっこりとしていた(笑)
TABIPPO学生支部に入る前は同年代の学生と旅をする機会が無く、1人で旅をしていたが
「グループ旅もめっちゃたのしいやん!!」
と思うようにもなった。
私はたまたま学生団体の繋がりのおかげで地元の事業者さんと深く関わることができたが、繋がりがなければ1度きりの観光客として終わっていたと思う。なので第2のふるさとを必要としている人に届けたいという気持ちを今は持ち始めた。
プログラムとしては12月の年末の訪問が最後となる。しかし少なくとも年明けに2回は個人で行きたいと考えている。1月にはこんぴらさんに参拝を、春先には桜と地元で有名な歌舞伎を見に行きたい。
琴平町は第2のふるさとになりつつある。
次の訪問が楽しみだ。