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エヌビディア急落で“バブル崩壊”?ミンスキー・モーメントとは?

【日経平均続伸】アドテスト持ち直しも、エヌビディア発「ミンスキー・モーメント」に市場警戒感

2025年1月30日

1. 日経平均は小幅続伸、半導体株が支える展開

30日午前の東京株式市場では、日経平均株価が前日比83円高(0.21%)の39,498円 まで上昇し、小幅ながら続伸しました。

日経平均株価とは?
日本の株式市場を代表する225銘柄の株価を平均した指数のことです。経済や投資家心理のバロメーターとされ、多くの投資家が注目しています。

今回の上昇を支えたのは、半導体関連株の上昇 です。特に、前日に業績予想を上方修正(利益見通しを引き上げること)したアドバンテスト(通称アドテスト)が好調でした。

◇ なぜアドテストの株価が上がったのか?

アドテストは、半導体の性能を検査する装置を作っている企業です。半導体市場の成長が続く限り、アドテストの需要も増えるため、投資家の期待が高まりました。前日の決算発表で業績が予想よりも良かったため、株価が大きく上昇しました。

しかし、ここで一つ重要な点があります。アドテストの株価は、米国の半導体大手エヌビディアの影響を強く受ける ということです。

2. エヌビディアの急落が市場を揺るがす

29日の米国株式市場で、エヌビディアの株価が 一時7%下落 しました。

◇ エヌビディアとは?

エヌビディアは、AI(人工知能)向けの高性能半導体を製造する米国の大手企業です。特に、ChatGPTのようなAI技術を動かすために必要な「GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)」の開発で世界トップクラスのシェアを持っています。

近年、AI技術の発展によりエヌビディアの半導体は引っ張りだこで、2023年以降、株価は約10倍に急騰 しました。

しかし、そのエヌビディアの株価が急落したことで、半導体市場全体に不安が広がりました。

3. 「ミンスキー・モーメント」とは?バブル崩壊のリスク

エヌビディアの株価が下がり始めたことで、市場では「ミンスキー・モーメント」という言葉がささやかれています。

◇ ミンスキー・モーメントとは?

経済学者ハイマン・ミンスキーが提唱した概念で、長期間にわたる投資ブームの後、市場が突然崩壊する瞬間 を指します。

例えば、
• 株価が好調な時:投資家はどんどん株を買い、市場が活況を迎える。
• 過熱しすぎると…:企業の業績や経済の実態以上に株価が上がり続ける。
• 突然の下落:あるきっかけで投資家の不安が高まり、一気に売りが殺到し、急落する。

2008年のリーマン・ショックのように、急激な株価の下落が金融危機につながる可能性 もあるため、投資家はこの現象に警戒します。

4. なぜエヌビディア株が急落したのか?

エヌビディア株が急落した背景には、次の3つの要因があります。

① 中国企業「ディープシーク」による競争激化

中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク) が、エヌビディアの半導体よりも 低コスト で動作するAIチップを開発しました。

エヌビディアの技術が独占的だった市場に 新たな競争相手 が現れたことで、投資家の不安が高まりました。

② 米国の規制強化

米国では、エヌビディアが中国に最新の半導体を輸出することを制限する動きが進んでいます。トランプ前大統領も**「対中輸出規制を強化する可能性がある」**と発言しました。

これが実施されると、エヌビディアの売上の一部が大きく減少する可能性があります。

③ 過去の急騰による反動

エヌビディアの株価は過去2年で 約10倍 に上昇しました。

このように急騰した銘柄は、一度下落し始めると投資家の利益確定売り(利益が出ているうちに売ること)が発生しやすく、大きく値下がりしやすい のです。

5. 日本市場への影響は?日経平均はどうなる?

エヌビディアの株価が下がると、半導体関連株であるアドテストや東京エレクトロンの株価にも影響が出ます。

結果として、日経平均株価の不安定な動き につながる可能性があります。

しかし、現時点では「本格的な市場崩壊」には至っていません。

◇ 市場崩壊の兆候はまだない?

JPモルガン証券の高田将成ストラテジスト は、現時点では「ミンスキー・モーメント」に至る証拠はないと指摘しています。

具体的には、
✅ 金融市場の信用収縮(お金が回らなくなること)が起きていない。
✅ 投資家のリスク回避行動が急速に進んでいない。

つまり、「今すぐに大暴落が起きるとは限らない」ということです。

6. まとめ:投資初心者が今意識すべきポイント

エヌビディアの動向に注意 → 半導体関連株に影響大
市場の過熱感には警戒 → 「ミンスキー・モーメント」の可能性
すぐに暴落が起こるわけではない → ただし、慎重な投資判断が必要

投資初心者にとって、こうした市場の変動要因を理解することが大切です。

特に、「ミンスキー・モーメント」のようなバブル崩壊のリスクを知っておくことで、冷静な投資判断ができるようになります。

焦らず、慎重に投資を続けていきましょう!

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